今回は平成25年度 電力科目 A問題5を解説します。太陽電池の変換効率のおよその値、導入時に予想すべき量、設置条件、系統連系に必要な装置を埋める空欄補充問題です。
数字の相場観は変換効率およそ7〜20%(結晶シリコンで15〜20%、薄膜系で10%前後)。設置の方位や傾斜で変わるのは発電電力量、系統連系には保護装置を内蔵したパワーコンディショナ——sn10の知識とひと続きです。
(ア) 変換効率は7〜20 %
太陽電池の種類によって、効率は大きく変わります。
| 種類 | 変換効率 | 特徴 |
| ★単結晶シリコン | ★16〜20 % | ★効率が高いが高価 |
| ★多結晶シリコン | ★14〜17 % | ★最も普及している |
| ★アモルファス | ★7〜10 % | ★薄く曲げられる・安価 |
| 化合物系 | 10〜20 % | CIS・CdTe など |
下は7 %、上は20 %——だから(ア)は7〜20 %です。
「30〜40 %」は宇宙用の多接合型など特殊なもの——「現在広く用いられている」には当たりません。
火力の熱効率43 % に比べれば低い——けれども燃料代がかかりません。
(イ)(ウ) 発電電力量を左右するもの
予想すべきは日照時間ではなく発電電力量——光の強さと時間の両方が要るからです。
| 条件 | 最適 | 影響 |
| ★方位 | ★真南 | ★東西向きで15 % 前後低下 |
| ★傾斜角 | ★30度前後 | ★水平だと5 % 前後低下 |
| 影 | かからないこと | 一部でも大きく落ちる |
| 温度 | 低いほうがよい | 1 ℃ 上がると0.4 % 前後低下 |
だから(ウ)は方位——問題文が「方位や傾斜によって」と続く形です。
「面積」では傾斜と並びません——面積は出力そのものを決める別の要素です。
意外なのは温度——暑い夏より、晴れた春先のほうがよく発電します。
平成25年度 電力科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題5
電験3種 電力科目 【新エネルギー】 平成25年度 A問題5
次の文章は、太陽光発電に関する記述である。現在広く用いられている太陽電池の変換効率は太陽電池の種類により異なるが、およそ(ア)[%]である。太陽光発電を導入する際には、その地域の年間(イ)を予想することが必要である。また、太陽電池を設置する(ウ)や傾斜によって(イ)が変わるので、これらを確認する必要がある。さらに、太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換するためには、電気事業者の配電線に連系して悪影響を及ぼさないための保護装置などを内蔵した(エ)が必要である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 7〜20 平均気温 影 コンバータ (2) 7〜20 発電電力量 方位 パワーコンディショナ (3) 20〜30 発電電力量 強度 インバータ (4) 15〜40 平均気温 面積 インバータ (5) 30〜40 日照時間 方位 パワーコンディショナ

(エ) パワーコンディショナの役割
単なるインバータではありません——系統連系のための機能が組み込まれています。
| 機能 | 内容 |
| ★直交変換 | ★直流を交流に変える(インバータ) |
| ★最大電力点追従 | ★日射に応じて最も発電する動作点に合わせる |
| ★系統連系保護 | ★電圧・周波数の異常を検出して切り離す |
| ★単独運転防止 | ★停電時に発電を止める |
単独運転防止が最も重要——停電したのに発電を続けると、作業員が感電します。
だから系統が止まったことを検出して、自分も止まる——その機能が法令で義務づけられています。
問題文の「悪影響を及ぼさないための保護装置などを内蔵した」——まさにこの点を指しています。
だから「インバータ」や「コンバータ」では不十分——保護機能まで含めた呼び名がパワーコンディショナです。
⚠️ よくある間違い
(ア)を「30〜40」としてしまう——選択肢(5)がそれです。実用品でその効率は出ません。
(イ)を「平均気温」としてしまう——選択肢(1)(4)。導入判断に必要なのは発電電力量です。
(ウ)を「影」としてしまう——選択肢(1)。影も影響しますが、「傾斜」と並ぶのは方位。
(エ)を「インバータ」としてしまう——選択肢(3)(4)。保護装置を内蔵しているのでパワーコンディショナ。
(エ)だけで(2)(5)に絞れます——あとは(ア)で確定できるでしょう。
⏱️ 本番での進め方
①★実用の変換効率は7〜20 %。
②★予想するのは発電電力量。日照時間だけでは足りない。
③★真南・傾斜30度が最適。
④★保護装置を内蔵しているからパワーコンディショナ。
💡 覚え方
「効率は2割まで、向きは真南、装置はPCS」——3つ覚えれば解けます。インバータとの違いは、系統連系の保護機能があるかどうかです。
太陽光発電の原理は平成23年度 A問題5(新エネルギー:太陽光発電)にあります。
発電電力量を見積もる
(イ)の発電電力量は、実際に計算できます。
東京で5 kW のシステムを設置した場合を見てみましょう。
★2〜3割は失われる
★一般家庭の年間使用量とほぼ同じ
設備利用率にすると約11 %——年8,760時間のうち1,000時間ぶんに相当します。
方位と傾斜でどれだけ変わるか
| 設置条件 | 年間発電量の比 |
| ★真南・傾斜30度 | ★100 % |
| ★真南・水平 | ★約88 % |
| ★東または西・傾斜30度 | ★約85 % |
| ★真北・傾斜30度 | ★約63 % |
真南から東西へ振れても15 % 程度の低下にとどまります——意外に許容範囲が広いのです。
屋根の向きに合わせて設置できる——住宅用が普及した理由の1つになります。
最大電力点追従という機能
(エ)のパワーコンディショナが持つ、重要な働きです。
太陽電池の出力は、動作電圧によって変わります。
| 動作点 | 電圧 | 電流 | 出力 |
| 短絡 | 0 | 最大 | ★0 |
| ★最大電力点 | ★開放電圧の8割前後 | ★やや下がる | ★最大 |
| 開放 | 最大 | 0 | ★0 |
電圧×電流が最大になる点が1つだけある——そこで動かすのが最も効率的です。
ところがこの点は、日射や温度で刻々と動きます——雲がかかれば下がり、晴れれば上がる。
だから常に探し続ける必要がある——それが最大電力点追従(MPPT)です。
単独運転が危険な理由
停電したのに太陽光が発電を続けると、何が起きるでしょうか。
| 危険 | 内容 |
| ★作業員の感電 | ★切ったはずの線に電気が来る |
| ★機器の損傷 | ★復電時に位相が合わず衝撃が生じる |
だから系統の異常を検出して、すぐに止まる機能が要る——法令で義務づけられています。
単なるインバータにはこの機能がありません——だからパワーコンディショナと呼び分けます。
要点をもう一度
導入時に確認すべきことが、そのまま空欄になっています。
| 空欄 | 答え | 意味 |
| (ア) | ★7〜20 % | ★実用品の変換効率 |
| (イ) | ★発電電力量 | ★年間でどれだけ発電するか |
| (ウ) | ★方位 | ★真南が最適 |
| (エ) | ★パワーコンディショナ | ★保護装置を内蔵した変換装置 |
(エ)だけで(2)(5)に絞れ、(ア)で確定します。
「インバータ」との呼び分けが、本問の最大の要点——系統連系の保護機能があるかどうかです。
設置後に効率が落ちる要因
| 要因 | 影響 | 対策 |
| ★温度上昇 | ★1 ℃ で0.4 % 前後低下 | ★裏面に風を通す |
| ★汚れ・積雪 | ★遮光で低下 | ★傾斜をつけて流す |
| 経年劣化 | 年0.5 % 前後 | 20年で1割程度 |
屋根に密着させると熱がこもります——すき間を空けるのはそのためです。
系統連系で必要な保護
(エ)の「保護装置」が具体的に何を見ているのか、整理しましょう。
| 検出するもの | 異常の内容 | 動作 |
| ★過電圧・不足電圧 | ★系統の電圧が範囲外 | ★解列する |
| ★過周波数・不足周波数 | ★系統の周波数が範囲外 | ★解列する |
| ★単独運転 | ★系統が停電したのに発電が続く | ★解列する |
いずれも「系統から切り離す」動作——解列と呼ばれます。
単独運転の検出には受動的方式と能動的方式があります——電圧の変化を見る方法と、わざと乱して反応を見る方法です。
能動的方式は、微小な変動を注入して系統の応答を確かめる——系統があれば変化は吸収され、なければ現れます。
これらをすべて内蔵しているからパワーコンディショナ——単なる直交変換器ではありません。
まとめ
| (ア) | 変換効率はおよそ7〜20% |
| (イ) | 予想するのは年間発電電力量 |
| (ウ) | 設置する方位や傾斜で変わる |
| (エ) | 保護装置内蔵のパワーコンディショナ |
| 答え | (2) |
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