新エネ16【電験3種 電力】太陽光は半導体で瞬時変換!化石燃料との対比で読む 平成23年度 A問題5 完全解説

電験3種 電力科目 新エネルギー 平成23年度 A問題5 光がそのまま電気になる!化石燃料との違い

今回は平成23年度 電力科目 A問題5を解説します。太陽光発電のエネルギー変換の仕組みを、化石燃料による発電と対比しながら空欄を埋める問題です。

太陽電池の正体は半導体(pn接合の光電効果)。燃やさないので排気ガスを出さず、数千万年の環境変化の積み重ねで生じた資源=化石燃料を消費しません。文章の対比構造を読めば言葉が自然に決まります。

目次

平成23年度 電力科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 新エネルギー 平成23年度 A問題5 問題文
平成23年度 電力科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題5

電験3種 電力科目 【新エネルギー】 平成23年度 A問題5

 太陽光発電は、(ア)を用いて、光のもつエネルギーを電気に変換している。エネルギー変換時には、(イ)のように(ウ)を出さない。

 すなわち、(イ)による発電では、数千万年から数億年間の太陽エネルギーの照射や、地殻における変化等で優れた燃焼特性になった燃料を電気エネルギーに変換しているが、太陽光発電では変換効率は低いものの、光を電気エネルギーへ瞬時に変換しており長年にわたる(エ)の積み重ねにより生じた資源を消費しない。そのため環境への影響は小さい。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)半導体化石燃料排気ガス環境変化
(2)半導体原子燃料放射線大気の対流
(3)半導体化石燃料放射線大気の対流
(4)タービン化石燃料廃熱大気の対流
(5)タービン原子燃料排気ガス環境変化
答え正解は (1)——(ア)半導体 (イ)化石燃料 (ウ)排気ガス (エ)環境変化 です。

(ア) 太陽電池は半導体でできている

タービンも発電機も使いません——光が直接電気になります

発電方式途中の変換可動部
火力・原子力熱→運動→電気★あり
水力・風力運動→電気★あり
★太陽光★光→電気(直接)★なし

だから(ア)は半導体——「タービン」では他の方式と同じになってしまいます

光起電力効果

p形とn形の半導体を貼り合わせます——境目にpn接合ができます

起きること
★光が当たり、電子が弾き飛ばされる
★電子と正孔の対ができる
★③★pn接合の電界が両者を左右へ引き離す
★電子はn側、正孔はp側へ集まる
両端に電位差が生じ、電流が流れる

可動部がないので、摩耗も振動もありません——寿命が20〜30年と長い理由です。

(イ)(ウ)(エ) 化石燃料との対比

問題文は「数千万年から数億年間」と書いています——これが化石燃料の説明です。

★化石燃料★太陽光
★エネルギーの由来★数億年前の太陽光★今この瞬間の太陽光
★変換にかかる時間★数千万〜数億年★瞬時
★出るもの★排気ガス(CO₂・SOx・NOx)★何も出ない
★資源★消費して減る★減らない

どちらも元をたどれば太陽エネルギー——違うのは時間の隔たりだけです。

化石燃料は「地殻における変化」を経ている——だから(エ)は環境変化になります。

「大気の対流」では、地殻の話とつながりません

(ウ)は排気ガス——化石燃料を燃やせば必ず出るものです。

「放射線」は原子燃料の話——(イ)が化石燃料である以上、合いません

⚠️ よくある間違い
(ア)を「タービン」としてしまう——選択肢(4)(5)がそれです。太陽電池に可動部はありません
(イ)を「原子燃料」としてしまう——選択肢(2)(5)「数千万年から数億年間の太陽エネルギーの照射」とあるので化石燃料です。
(ウ)を「放射線」としてしまう——選択肢(2)(3)(イ)と対応しません
(エ)を「大気の対流」としてしまう——選択肢(2)(3)(4)「地殻における変化」に対応するのは環境変化
(ア)の半導体だけで(1)(2)(3)に絞れます——あとは(イ)で確定するでしょう。

⏱️ 本番での進め方
①★太陽電池は半導体。可動部がない。
②★「数億年」とあれば化石燃料。
③★化石燃料が出すのは排気ガス。放射線は原子燃料。
④★「地殻における変化」に対応するのは環境変化。

💡 覚え方
「化石燃料は昔の太陽、太陽光は今の太陽」——由来は同じで、隔たっている時間が違うだけです。だから化石燃料は減るが、太陽光は減らないのです。

太陽電池の変換効率や設置条件は平成25年度 A問題5新エネルギー:太陽光発電)にあります。

太陽電池の材料と構造

(ア)の半導体について、もう少し見ておきましょう

役割
表面電極(グリッド)光を遮らないよう細い線状にする
反射防止膜★光の反射を減らす(青く見える理由)
★n形半導体★リンを添加。電子が多い
★pn接合★ここに電界ができる
★p形半導体★ホウ素を添加。正孔が多い
裏面電極全面に付ける

太陽電池が青く見えるのは反射防止膜のため——光をできるだけ内部へ取り込むための工夫です。

1枚のセルが出す電圧は約0.5 V——直列につないでモジュールにします

60枚直列で約30 V——それをさらに直並列にして必要な電圧・電流を得るのです。

なぜ変換効率が低いのか

損失内容
★長波長の光★エネルギーが足りず電子を弾けない
★短波長の光★余った分が熱になる
反射・再結合取り込めない/途中で消える

使える波長が限られている——これが効率の理論限界を決めています

シリコン単接合では約29 % が理論上の上限——実用品が20 % 前後なのはそのためです。

太陽光発電の長所と短所

可動部がないことから、多くの性質が導かれます

性質そこから来る長所そこから来る短所
★可動部がない★保守が少ない・静か・寿命が長い★—
★規模を自由に選べる★屋根にも荒れ地にも置ける★大規模では広い面積が要る
★燃料が不要★運転費がほぼゼロ★出力を制御できない
★直流で発電する★蓄電池と相性がよい★変換装置が必要

火力のように「必要なときに動かす」ことができません——日が照ったときにしか発電しないのです。

だから系統全体では、調整力を別に用意する必要がある——導入が増えるほど課題になります

エネルギーペイバックタイム

太陽電池を作るにもエネルギーが要ります——それを何年で取り返せるでしょうか

\( EPT=\dfrac{\text{製造に要したエネルギー}}{\text{年間発電量}} \)
エネルギー回収年数
\( EPT\ \fallingdotseq\ 1\ \text{〜}\ 2\ [\mathrm{年}] \)
住宅用シリコン系
★寿命20〜30年

1〜2年で元が取れ、残りの20年以上は純粋な利得——エネルギー収支としては十分に成り立ちます

要点をもう一度

本問は太陽光と化石燃料の対比が骨格です。

空欄答え手がかり
(ア)★半導体★光を直接電気に変える
(イ)★化石燃料★「数千万年から数億年間」
(ウ)★排気ガス★燃やせば出るもの
(エ)★環境変化★「地殻における変化」に対応

(イ)が化石燃料だと決まれば、(ウ)は排気ガス——放射線は原子燃料の話です。

空欄どうしが呼応している——1つ決まれば連鎖的に決まります

太陽が届けるエネルギーの量

地表に届く日射は、晴天時で約1 kW/m²です。

変換効率20 % なら、1 m² あたり200 W——電球2個ぶんになります。

地球全体が1時間に受ける太陽エネルギーは、人類の年間消費量に匹敵する——量そのものは十分にあるのです。

問題は、薄く広がっていて集めにくいこと——だから広い面積が要ります

太陽電池の種類が広がる方向

シリコン以外の材料も実用化されています

種類材料特徴
★結晶シリコン★単結晶・多結晶★最も普及。効率が高い
★薄膜シリコン★アモルファス★材料が少なくて済む・曲げられる
★化合物系★CIS・CdTe・GaAs★高効率だが高価。宇宙用にも
★有機系★色素増感・ペロブスカイト★塗って作れる。研究段階から実用化へ

どれも「半導体で光を電気に変える」という原理は同じ——材料と作り方が違うだけです。

ペロブスカイトは塗布で作れるので、曲面にも貼れます——設置場所の制約が大きく減ります

可動部がないという性質は、どの種類でも変わりません——本問の(ア)が問うている本質です。

まとめ

(ア)半導体の光電効果で光→電気
(イ)数千万年の照射と地殻変化で生じた燃料=化石燃料
(ウ)燃焼しないので排気ガスを出さない
(エ)環境変化の積み重ねで生じた資源を消費しない
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・太陽電池の変換効率と設置条件(新エネ14):【電力】平成25年度 A問題5

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成23年度 問題一覧(全4科目)

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