今回は平成26年度 電力科目 A問題5、二次電池の誤り選択問題です。リチウムイオン・NAS・ニッケル水素電池、浮動充電・無停電電源・鉛蓄電池の充電方式が問われます。
決め手は鉛蓄電池の充電順序。一般的な充電はまず定電流で回復充電し、その後定電圧で満充電状態まで充電します(定電流→定電圧=CCCV)。「定格電圧で回復充電→定電流で満充電」は順序が逆で誤りです。
平成26年度 電力科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題5
電験3種 電力科目 【電気材料】 平成26年度 A問題5
二次電池に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) リチウムイオン電池、NAS電池、ニッケル水素電池は、繰り返し充放電ができる二次電池として知られている。
(2) 二次電池の充電法として、整流器を介して負荷に電力を常時供給しながら二次電池への充電を行う浮動充電方式がある。
(3) 二次電池を活用した無停電電源システムは、商用電源が停電したとき、瞬時に二次電池から負荷に電力を供給する。
(4) 風力発電や太陽光発電などの出力変動を抑制するために、二次電池が利用されることもある。
(5) 鉛蓄電池の充電方式として、一般的に、整流器の定格電圧で回復充電を行い、その後、定電流で満充電状態になるまで充電する。

誤りは(5):先に定電流、あとで定電圧
「整流器の定格電圧で回復充電を行い、その後、定電流で満充電」——順序が逆です。
| 段階 | 正しい方式 | 理由 |
| ★前半 | ★★定電流で充電する | ★★空の電池に定電圧をかけると大電流が流れる |
| ★後半 | ★★定電圧に切り替える | ★★満充電に近づくと電流を絞りたい |
放電しきった電池は、内部の起電力が低くなっています——そこへ定電圧をかけると大電流が流れるのです。
大電流は電池を傷めるので、まず電流を制限します——それが定電流充電です。
充電が進むと電池の電圧が上がってきます——そこで定電圧に切り替えるのです。
定電圧にすれば、満充電に近づくほど電流が自然に減ります——過充電を防げることになります。
この順序を定電流定電圧充電といいます——問題文はそれを逆に書いています。
(2) 浮動充電方式のしくみ
| 状態 | 電力の流れ |
| ★平常時 | ★★整流器が負荷に電力を供給しつつ、電池には自己放電を補う分だけ流す |
| ★停電時 | ★★電池から負荷へ切れ目なく供給する |
| ★復電後 | ★★整流器が負荷と充電の両方を担う |
電池は常に整流器につながったままです——だから「浮動」(フローティング)といいます。
切り替える動作がないので、停電時に瞬断がありません——それが(3)の「瞬時に供給する」の中身です。
平常時は自己放電を補うだけの小さな電流を流します——いつも満充電に保つのです。
変電所の制御電源や、非常用照明に広く使われます——止まってはいけない設備だからです。
(1)(4) 二次電池の種類と使いみち
| 電池 | 特徴 | 主な用途 |
| ★鉛蓄電池 | ★安価で実績が長い。重い | ★★変電所の制御電源・非常電源 |
| ★リチウムイオン電池 | ★★エネルギー密度が高く軽い | ★★携帯機器・電気自動車・系統用蓄電池 |
| ★NAS電池 | ★★大容量・長時間放電。約300 ℃ で運転 | ★★負荷平準化・再エネの出力変動抑制 |
| ★ニッケル水素電池 | ★安全性が高く扱いやすい | ★ハイブリッド車・電動工具 |
用途によって求められる性質が違います——だから使い分けられるのです。
NAS電池は高温で動くので、大型設備向けです——ナトリウムと硫黄を溶かして使うから。
風力や太陽光は出力が変わりやすい電源です——だから蓄電池でならすのです。
それが(4)の「出力変動を抑制する」の意味——再エネの拡大に欠かせない技術になります。
⚠️ よくある間違い
(5)を「どちらでも同じでは」と考える——順序が逆だと電池を傷めます。空の電池に定電圧は危険です。
正しくは定電流→定電圧の順——スマートフォンの充電も同じ方式。
(1)の電池の種類を疑ってしまう——3つとも二次電池です。
(2)の浮動充電を疑ってしまう——常時つないだままの方式。
(3)の無停電電源を疑ってしまう——瞬時に切り替わります。
充電は「電流を制限してから電圧を保つ」——順序に意味があります。
⏱️ 本番での進め方
①★充電は定電流→定電圧の順。逆は電池を傷める。
②★浮動充電は電池を常時つないだままにする方式。
③★だから停電時も瞬断なく供給できる。
④★NAS電池は大容量で再エネの出力変動抑制に使われる。
💡 覚え方
「先に電流を絞り、あとで電圧を保つ」——定電流定電圧充電です。空の電池に定電圧をかけると大電流が流れる——だから順序に意味があるのです。
二次電池による出力変動対策は令和4年度上期 A問題5(新エネルギー:太陽光発電)にも関連があります。
鉛蓄電池の充電を段階で追う
2つの段階が、それぞれ別の役目を持ちます。
| 段階 | 制御 | 電池の電圧 | 流れる電流 |
| ★前半 | ★★定電流 | ★★低いところから上がっていく | ★★一定に保たれる |
| ★後半 | ★★定電圧 | ★★一定に保たれる | ★★だんだん減っていく |
前半では電流を一定に保ち、電圧が上がっていきます——充電が進む段階です。
ある電圧に達したら、そこで電圧を一定にします——切り替えの点です。
あとは電池が満たされるにつれ、電流が自然に減ります——過充電にならないのです。
スマートフォンの充電も、まったく同じ方式——最後だけ遅くなるのはこのためです。
(3) 無停電電源システムのしくみ
停電しても止まらない電源です。
| 構成 | 役目 |
| ★整流器(充電器) | ★★交流を直流にして電池を充電する |
| ★蓄電池 | ★★停電時に電力を供給する |
| ★インバータ | ★★直流を交流に戻して負荷に送る |
| ★バイパス回路 | ★装置の故障時に商用電源へ切り替える |
常時インバータを通しているので、切り替えがありません——だから瞬断が生じないのです。
停電しても、電池からの直流がそのまま使われます——負荷から見れば何も変わらないのです。
電圧や周波数も安定させられます——いったん直流を経由するから。
だからコンピュータや医療機器に使われます——一瞬でも止まると困る設備です。
充電方式の種類
(2)の浮動充電以外にも方式があります。
| 方式 | 内容 | 使う場面 |
| ★★浮動充電 | ★★常時つないだまま自己放電を補う | ★★非常用電源・UPS |
| ★均等充電 | ★★定期的にやや高い電圧で充電しばらつきを直す | ★数か月に1回 |
| ★回復充電 | ★★放電したあと元の容量まで戻す | ★停電のあと |
| ★急速充電 | ★大電流で短時間に充電する | ★電気自動車など |
浮動充電を続けると、電池ごとに差が出てきます——直列につないだセルの状態がそろわないのです。
だから定期的に均等充電を行います——ばらつきを直すためです。
回復充電は、停電で使ったあとに行います——次の停電に備えるのです。
問題文の(5)は、この回復充電のしかたを述べています——順序が逆に書かれていたのです。
蓄電池が系統で担う役目
(4)の出力変動抑制を、系統の側から見ましょう。
| 役目 | 内容 | 使う電池 |
| ★出力変動の抑制 | ★★風力や太陽光の急な増減をならす | ★リチウムイオン・NAS |
| ★負荷平準化 | ★★夜間に充電し昼間に放電する | ★★NAS電池 |
| ★周波数調整 | ★★需給の差を素早く埋める | ★★リチウムイオン(応答が速い) |
| ★非常用電源 | ★停電時に供給する | ★鉛蓄電池 |
太陽光は雲がかかると急に出力が落ちます——そのままでは周波数が乱れるのです。
蓄電池が瞬時に補えば、系統は安定します——応答の速さが価値になるのです。
夜間の余った電力を昼間に使うこともできます——それが負荷平準化です。
再生可能エネルギーが増えるほど、蓄電池の役目も増えます——だから出題されるのです。
鉛蓄電池の特徴
変電所の制御電源として長く使われてきました。
| 項目 | 内容 |
| ★公称電圧 | ★★1セルあたり2.0 V |
| ★電解液 | ★★希硫酸 |
| ★長所 | ★★安価で実績が長く、大電流を取り出せる |
| ★短所 | ★★重く、エネルギー密度が低い |
放電すると電解液の比重が下がります——硫酸が電極に取り込まれるから。
だから比重を測れば、充電の状態が分かります——簡単な点検方法です。
重いので、据置用に向いています——持ち運ぶ用途には不利。
それでも信頼性と価格から、いまも広く使われています——非常用電源の定番です。
まとめ
| 誤り | (5) 定電流で回復→定電圧で満充電(順序逆) |
| 二次電池 | リチウム/NAS/ニッケル水素(1) |
| 浮動充電 | 負荷給電しながら充電(2) |
| UPS | 停電時に瞬時給電(3) |
| 用途 | 出力変動抑制(4) |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・二次電池と新エネルギー(新エネ):【電力】令和6年度上期 A問題5
・電気絶縁材料(電気材料13):【電力】平成29年度 A問題14

コメント