今回は平成25年度 電力科目 A問題8、架空送電線路の構成要素の誤り選択問題です。ACSR・アーマロッド・ダンパ・スペーサに加え、今回の主役はがいしの形の違い——懸垂がいしと長幹がいしの説明のすり替えです。
がいしの形を整理:懸垂がいし=笠状(皿形)の磁器の上下に金具を付け、複数個を鎖状に連結して使う最も一般的ながいし。長幹がいし=棒状の磁器の両端に連結用金具を付けた形(雨洗効果が高い——架空送電15)。「棒状の絶縁物の両側に連結用金具」と書いてあったら、それは長幹がいしです。
出題のポイント

平成25年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 【架空送電】 平成25年度 A問題8
架空送電線路の構成要素に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 鋼心アルミより線(ACSR):中心に亜鉛メッキ鋼より線を配置し、その周囲に硬アルミ線を同心円状により合わせた電線。
(2) アーマロッド:クランプ部における電線の振動疲労防止対策及び溶断防止対策として用いられる装置。
(3) ダンパ:微風振動に起因する電線の疲労、損傷を防止する目的で設置される装置。
(4) スペーサ:多導体方式において、負荷電流による電磁吸引力や強風などによる電線相互の接近・衝突を防止するために用いられる装置。
(5) 懸垂がいし:電圧階級に応じて複数個を連結して使用するもので、棒状の絶縁物の両側に連結用金具を接着した装置。
ポイント解説:懸垂がいし=笠状を連結/長幹がいし=棒状の両端に金具
(5)が誤り:「電圧階級に応じて複数個を連結して使用する」のは懸垂がいしの正しい特徴だが、「棒状の絶縁物の両側に連結用金具を接着した装置」は長幹がいしの説明。懸垂がいしは笠状(皿形)の磁器の上下にキャップとピンを付け、それを鎖状に連結する構造。半分正しい説明に別のがいしの形を接ぎ木したすり替え型の誤り。
その他は正しい:(1)ACSR=中心に亜鉛メッキ鋼より線・周囲に硬アルミ線を同心円状により合わせる(ks4の「アルミで軽く鋼心で強く」の構造詳細版)。(2)アーマロッド=クランプ部の振動疲労・溶断防止。(3)ダンパ=微風振動による疲労・損傷防止。(4)スペーサ=多導体で負荷電流の電磁吸引力や強風による素導体の接近・衝突を防止——電磁吸引力という理由まで書かれた丁寧な正しい記述。
がいし3種の見分け:懸垂=笠を鎖状に連結(個数で絶縁調整)/長幹=棒状・雨洗効果大/ピン=心棒で支持する配電用。塩害問題(ks15・ks26)でも形の違いが効いてくる。
問題の解説
STEP1 付属品の確認
ACSR=鋼心+硬アルミ(1)、アーマロッド=クランプ部(2)、ダンパ=微風振動(3)、スペーサ=多導体の衝突防止(4)——正しい。
STEP2 がいしの形で判定
棒状+両端金具=長幹がいし。懸垂がいしは笠状の連結→(5)がすり替え。
STEP3 結論
(5)が誤り。
答え:(5)
💡 覚え方
がいしの形3種:懸垂=笠状を鎖状連結/長幹=棒状の両端に金具(雨洗効果大)/ピン=配電用。ACSRの構造は「中心に亜鉛メッキ鋼・周囲に硬アルミ」。スペーサは電磁吸引力対策でもある(電流が同方向→吸引)。
⚠️ よくある間違い
「複数個を連結」だけ見て正しいと即断しない——後半の形の説明まで読む。多導体の素導体間には電磁吸引力が働く(同方向電流は引き合う)——スペーサの設置理由として正しい。
まとめ
| 誤り | (5) 棒状+両端金具は長幹がいしの説明 |
| 懸垂がいし | 笠状磁器を鎖状に連結(個数で絶縁調整) |
| 長幹がいし | 棒状・両端に金具・雨洗効果大 |
| ACSR | 中心=亜鉛メッキ鋼・周囲=硬アルミ(1) |
| スペーサ | 電磁吸引力・強風による衝突防止(4) |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・長幹がいしと塩害(架空送電15):【電力】令和3年度 A問題10
・付属品の役割対応(架空送電9):【電力】令和5年度下期 A問題8

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