送電の計算27【電力】無負荷π形からB・Xを逆算!Is=(B/2)(Es+Er)でB=0.753mS・X=222Ω 平成24年度 B問題16 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 平成24年度 B問題16 無負荷のπ形回路からBとXを逆算する!

今回は平成24年度 電力科目 B問題16、無負荷送電線のフェランチ現象(送電の計算5・15)を逆に使い、測定値から線路アドミタンスBとリアクタンスXを求める問題です。フェランチの式を逆算に応用します。

無負荷π形では、送電端電流は両側キャパシタの充電電流の和 Is=(B/2)(Es+Er)、電圧関係はEs=Er(1−XB/2)。この2式から測定値(Es・Er・Is)を使ってBとXを逆算します。相電圧で計算するのがコツです。

目次

平成24年度 電力科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 平成24年度 B問題16 問題文
平成24年度 電力科目 B問題16 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16

電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成24年度 B問題16

 三相3線式1回線無負荷送電線の送電端に線間電圧66.0〔kV〕を加えると、受電端の線間電圧は72.0〔kV〕、1線当たりの送電端電流は30.0〔A〕であった。この送電線が、線路アドミタンスB〔mS〕と線路リアクタンスX〔Ω〕を用いて、図に示す等価回路で表現できるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 線路アドミタンスB〔mS〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)0.217 (2)0.377 (3)0.435 (4)0.545 (5)0.753 mS

(b) 線路リアクタンスX〔Ω〕の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)222 (2)306 (3)384 (4)443 (5)770 Ω

平成24年度 B問題16 π形等価回路(1相分)
平成24年度 B問題16 π形等価回路(1相分)
平成24年度 B問題16 π形等価回路(1相分)
平成24年度 B問題16 π形等価回路(1相分)
答え(a) 線路アドミタンスは約 0.753 mSです。

(a) の答えは(5):0.753 mS

送電端電流は、2つの容量電流の和です

部位置くもの役割
★中央★★インピーダンス jX★線路のリアクタンス
★送電端側★★アドミタンスの半分 jB/2★★静電容量の半分
★受電端側★★アドミタンスの半分 jB/2★★同じく半分
\( I_s=\dfrac{V_s}{\sqrt{3}}\cdot\dfrac{B}{2}+\dfrac{V_r}{\sqrt{3}}\cdot\dfrac{B}{2} \)
送電端側+受電端側
★どちらも進み電流
\( =\dfrac{B}{2}\cdot\dfrac{V_s+V_r}{\sqrt{3}} \)
B/2 でくくる
\( 30.0=\dfrac{B}{2}\times\dfrac{(66.0+72.0)\times 10^3}{\sqrt{3}} \)
数値を入れる
\( 30.0=\dfrac{B}{2}\times 79674 \)
分子を計算する
\( \dfrac{B}{2}=3.766\times 10^{-4}\ \Rightarrow\ B\fallingdotseq 0.753\ \mathrm{mS} \)
B について解く
★答え

無負荷なので、流れるのは充電電流だけです——負荷電流がないから。

2つの容量はどちらも進み電流なので、そのまま足せます——同じ向きのベクトル

相電圧に直すため、√3 で割ります——アドミタンスは1相分だから。

(b) の答えは(1):222 Ω

直列枝を流れる電流と、電圧の差から求めます

\( I_X=\dfrac{V_r}{\sqrt{3}}\cdot\dfrac{B}{2}=\dfrac{72.0\times 10^3}{\sqrt{3}}\times 3.766\times 10^{-4} \)
受電端側容量を流れる電流
\( =41569\times 3.766\times 10^{-4}\fallingdotseq 15.7\ \mathrm{A} \)
これが直列枝を通る
\( \Delta E=\dfrac{72.0-66.0}{\sqrt{3}}\times 10^3\fallingdotseq 3464\ \mathrm{V} \)
相電圧の差
\( X=\dfrac{3464}{15.7}\fallingdotseq 221\ \Omega \)
オームの法則
★約222

直列枝を流れるのは、受電端側容量の電流だけです——受電端が無負荷だから。

送電端側の容量電流は、直列枝を通りません——手前で分かれるのです。

電圧の差も相電圧で取ります——1相分の回路だから。

答え(b) 線路リアクタンスは約 222 Ωです。

受電端のほうが高い理由

段階起きること
★受電端が無負荷なので負荷電流がない
★②★★線路の静電容量による充電電流だけが流れる
★③★★充電電流は進み電流
★④★★進み電流がリアクタンスを流れると電圧が上がる
★⑤★★受電端電圧が送電端電圧を超える

66.0 kV を加えたのに、受電端は72.0 kV になっています——それがフェランチ現象です。

ふつうは電圧降下で下がるはずです——遅れ電流が流れるから

無負荷なら進み電流だけなので、逆に上がります——電圧降下が負になるのです。

本問は、その現象から線路定数を逆算しています——実測にも使える考え方です。

⚠️ よくある間違い
(a)でアドミタンスをB のまま使う——π形なので両端にB/2ずつです。
(a)で線間電圧のまま計算する——相電圧に直します(√3 で割る)
(b)で送電端電流30.0 A を使う——直列枝を流れるのは受電端側の分だけ
(b)で線間電圧の差を使う——相電圧の差です。
(a)を間違えると(b)も外れる——B問題の構造になります。

⏱️ 本番での進め方
①★π形ではアドミタンスは両端にB/2ずつ。
②★送電端電流は2つの容量電流の和。
③★直列枝を流れるのは受電端側の容量電流だけ。
④★電圧も電流も相電圧・1相分で扱う。

💡 覚え方
「送電端電流は和、直列枝は受電端側だけ」——そこが(a)と(b)の違いです。π形は両端にB/2——間違えると全部ずれます

同じπ形回路の問題は令和元年度 B問題16送電の計算:フェランチ現象)にあります。

線路定数を測定から求める

本問は、測った値から回路の中身を逆算しています

測ったもの本問の値そこから分かるもの
★送電端の線間電圧★66.0 kV★★(a)でB を出す材料
★受電端の線間電圧★72.0 kV★★(a)と(b)の両方で使う
★送電端の線電流★30.0 A★★(a)でB を出す材料

3つの測定値だけで、B と X の両方が求まります——無負荷という条件が効いているのです。

負荷がつながっていると、こう単純にはいきません——負荷電流が混ざるから。

だからわざと無負荷にして測ります——実際の試験でも行う手順です。

電線の亘長や配置から計算する方法もあります——測定はその確かめになります。

無負荷の線路で流れる電流

どこで何アンペア流れるのかを整理します

場所流れる電流本問の値
★送電端★★送電端側容量+直列枝の合計★30.0 A
★送電端側の容量★★Vs/√3×B/2★約14.3 A
★直列枝(線路)★★受電端側容量の分だけ★★約15.7 A
★受電端★★ゼロ(無負荷)★0 A

送電端の30.0 A は、2つの経路に分かれます——手前の容量と、線路の先へ

手前の容量に流れる分は、線路を通りません——そこで大地へ抜けるのです。

だから(b)で30.0 A を使うと間違えます——15.7 A が正しいのです。

受電端では電流がゼロになります——無負荷だから行き先がない

この電流の分かれ方が、π形回路の要点です——図に矢印を書き込むと分かりやすいのです。

π形とT形の違い

集中定数で表すとき、2つの置き方があります

π形T形
★インピーダンス★★中央に Z を1つ★★両端に Z/2 ずつ
★アドミタンス★★両端に Y/2 ずつ★★中央に Y を1つ
★よく使う場面★★送電線の計算★変圧器などの等価回路

送電線ではπ形を使うのがふつうです——静電容量が線路全体に分布しているから。

それを両端に半分ずつ寄せたのがπ形——実際に近い近似になります。

本問もπ形なので、B/2 が両端に付きます——そこを間違えると答えが2倍ずれるのです。

まとめ

相電圧Es=38105V、Er=41569V
(a)Is=(B/2)(Es+Er)→B=0.753mS
(b)電圧式Es=Er(1-XB/2)→XB/2=0.0833
(b)X=0.0833/(B/2)=222Ω
答え(a)-(5),(b)-(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・フェランチのπ形計算(送電の計算5):【電力】令和6年度下期 B問題17
・T形等価回路(送電の計算4):【電力】令和6年度下期 B問題16

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