変電37【電験3種 電力】力率0.7→0.8に改善!三相コンデンサ容量はQ1−Q2で 平成22年度 A問題6 完全解説

電験3種 電力科目 変電 平成22年度 A問題6 力率を0.7から0.8へ!必要なCは何kvar?

今回は平成22年度 電力科目 A問題6、遅れ力率0.7の三相負荷に三相コンデンサを並列に入れて力率を0.8に改善するとき、必要なコンデンサの無効電力容量を求める計算問題です。力率改善の基本問題です。

考え方は無効電力の差。有効電力Pは変わらず、コンデンサは無効電力だけを減らす。改善前の無効電力 Q₁=P·tanθ₁ から改善後 Q₂=P·tanθ₂ を引いた差が、挿入すべきコンデンサ容量 Q_C です。

目次

有効電力を軸に考える

コンデンサを入れても、有効電力は変わりません——そこを軸にします

無効電力と力率の関係
\( Q=P\tan\theta \)

有効電力が同じなら、tanθ の差が必要な容量

改善の前後で、それぞれの無効電力を求めます

\( \cos\theta_1=0.7\ \Rightarrow\ \sin\theta_1=\sqrt{1-0.7^2}=0.714 \)
改善前
\( \tan\theta_1=\dfrac{0.714}{0.7}=1.020 \)

\( \cos\theta_2=0.8\ \Rightarrow\ \sin\theta_2=0.6 \)
改善後
★3:4:5の三角形
\( \tan\theta_2=\dfrac{0.6}{0.8}=0.75 \)

差を取れば、コンデンサが受け持つ分になります

\( Q_C=P\left(\tan\theta_1-\tan\theta_2\right) \)
必要な容量
\( =50\times\left(1.020-0.75\right)=13.5\ [\mathrm{kvar}] \)
計算する
★答え

平成22年度 電力科目 A問題6:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 平成22年度 A問題6 問題文
平成22年度 電力科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題6

電験3種 電力科目 【変電】 平成22年度 A問題6

 50[Hz]、200[V]の三相配電線の受電端に、力率0.7、50[kW]の誘導性三相負荷が接続されている。この負荷と並列に三相コンデンサを挿入して、受電端での力率を遅れ0.8に改善したい。挿入すべき三相コンデンサの無効電力容量[kV·A]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)4.58 (2)7.80 (3)13.5 (4)19.0 (5)22.5 kvar

答え正解は (3)——約13.5 kvar です。

別解:無効電力を直接求める

皮相電力を経由しても、同じ答えが出ます

\( S_1=\dfrac{50}{0.7}=71.4\ [\mathrm{kV\cdot A}] \)
改善前の皮相電力
\( Q_1=\sqrt{71.4^2-50^2}=51.0\ [\mathrm{kvar}] \)
改善前の無効電力
\( S_2=\dfrac{50}{0.8}=62.5\ [\mathrm{kV\cdot A}] \)
改善後の皮相電力
\( Q_2=\sqrt{62.5^2-50^2}=37.5\ [\mathrm{kvar}] \)
改善後の無効電力
\( Q_C=51.0-37.5=13.5\ [\mathrm{kvar}] \)
差が必要な容量
★同じ答え

三平方の定理で無効電力を求める方法——電力の直角三角形を思い浮かべると分かりやすいです。

有効電力50 kW は横軸で固定——縦軸の無効電力だけが51.0から37.5へ減ります

その減った分をコンデンサが供給する——それが13.5 kvarになります。

使わない数値が混ぜてある

与えられた値使うか理由
★50 kW★使う★有効電力そのもの
★力率0.7と0.8★使う★tanθ を求める
★50 Hz★使わない★ダミー
★200 V★使わない★ダミー

周波数と電圧は、答えに関係しません——無効電力だけを問われているからです。

もし静電容量[μF]を問われれば、両方とも必要になります——Q=3ωCE² から求めることになります。

何を問われているかで、使う値が変わる——与えられた数値を全部使うとは限りません

⚠️ よくある間違い
皮相電力の差を答えてしまう——71.4−62.5=8.9 kV·A となり、選択肢(2)7.80 に近づきます減らすのは無効電力です。
sin の差で計算してしまう——50×(0.714−0.6)=5.7tan の差が正しいのです。
改善後の無効電力37.5 をそのまま答える——必要なのは差の13.5
力率0.7を sinθ と取り違える——問題文は「力率0.7」なので cosθです。
選択肢(5)22.5 は、tanθ₁ を1.2 と誤ったときの値に近い——√(1−0.49) の計算を丁寧に

⏱️ 本番での進め方
①★Qc=P(tanθ₁−tanθ₂) が最速。
②★cosθ=0.8 なら sinθ=0.6(3:4:5)。
③★別解は三平方でQを求めて差を取る。
④★50 Hz と200 V はダミー。使わない。

💡 覚え方
「有効電力は変わらない、無効電力だけ減らす」——だから tan の差に P を掛けます皮相電力の差ではありません——そこが最も多い誤りです。

調相設備の役割は平成24年度 A問題8変電:調相設備)にあります。

力率改善で何が変わるか

本問の0.7から0.8への改善で、電流はどれだけ減るでしょうか

\( I_1=\dfrac{50\times 10^3}{\sqrt{3}\times 200\times 0.7}=206\ [\mathrm{A}] \)
改善前の線電流
\( I_2=\dfrac{50\times 10^3}{\sqrt{3}\times 200\times 0.8}=180\ [\mathrm{A}] \)
改善後の線電流
★13 % 減
項目改善前改善後変化
★有効電力★50 kW★50 kW★変わらない
★無効電力★51.0 kvar★37.5 kvar★13.5 減
★皮相電力★71.4 kV·A★62.5 kV·A★12 % 減
★線電流★206 A★180 A★13 % 減
★線路損失★基準★0.77倍★23 % 減

電流が13 % 減れば、損失は2乗で23 % 減ります——力率改善の効果が大きい理由です。

ここで初めて200 V という値が使われます——電流を求めるときに必要になります。

本問が問うているのは無効電力なので、電圧は不要——何を問われているかで使う値が変わるのです。

要点をもう一度

公式1つで解ける問題です。

やること
★①★tanθ₁ を求める★0.714/0.7=1.020
★②★tanθ₂ を求める★0.6/0.8=0.75
★③★差に P を掛ける★50×0.270=13.5

cosθ=0.8 なら sinθ=0.6——3:4:5の直角三角形なので暗算できます

cosθ=0.7 のときは √(1−0.49)=0.714——ここだけ計算が要ります

よくある取り違え

誤り出る値近い選択肢
★皮相電力の差★8.9★(2)7.80
★sin の差★5.7★(1)4.58
★改善後のQをそのまま★37.5★—

減らすのは無効電力であって皮相電力ではありません——そこが最も多い誤りです。

コンデンサの静電容量を求めるなら

本問では問われませんが、続けて計算できます

結線無効電力の式必要な容量
★Δ結線★Q=3ωCV²★358 μF
★Y結線★Q=ωCV²★1,075 μF

Δ結線なら、各相に線間電圧がそのままかかります——だから容量が3分の1で済むのです。

ここで初めて50 Hz と200 V が使われます——ω=2π×50=314

電力用コンデンサはΔ結線が一般的——同じ無効電力を小さな容量で得られるから。

問われているのが kvar か μF かで、使う値が変わる——与えられた数値の意味を考えることが大切です。

まとめ

有効電力P=50kW(一定)
改善前Q150×tan(acos0.7)=51.0kvar
改善後Q250×0.6/0.8=37.5kvar
コンデンサ容量Qc=51.0−37.5≒13.5kvar
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・変圧器の過負荷回避と力率改善(変電34):【電力】平成24年度 B問題17
・調相設備(変電33):【電力】平成24年度 A問題8
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成22年度 問題一覧(全4科目)

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