架空送電33【電験3種 電力】微風振動は軽・長・張で発生!氷雪の翼形付着はギャロッピング 平成22年度 A問題10 完全解説

電験3種 電力科目 架空送電 平成22年度 A問題10 軽い電線・長い径間・強い張力!微風振動の3条件

今回は平成22年度 電力科目 A問題10、架空送電線の振動の種類と原因の空欄補充問題です。この問題の骨格は令和4年度上期A問題10(架空送電14)にほぼそのまま再出題されています。

ポイントは2つ:①微風振動の発生条件=軽い電線・長い径間・大きい張力(軽・長・張)。②氷雪系の2現象の区別——翼形に付着した氷雪に風→揚力→ギャロッピング氷雪の落下の反動→スリートジャンプ。どちらも相間短絡対策としてオフセットや相間スペーサを使います。

目次

(ア)(イ)(ウ) 微風振動が起きる条件

電線の後ろにできる渦が、振動を生みます

条件起きやすい理由
★電線の重さ★軽い★★同じ力でも振れやすい
★径間★長い★★固有振動数が低く共振しやすい
★張力★大きい★★支持点に応力が集中する
風速毎秒数メートル強すぎると渦が乱れる

軽いほど、長いほど、張るほど起きやすい——3つとも覚えやすい向きです。

直感的には「張れば振動しない」と思いがち——けれども張力が大きいほど支持点の負担が増えます

アルミ電線は銅より軽いので、微風振動が起きやすい——ACSRが主流になってから問題化しました

風速が強すぎると、かえって起きません——渦が規則的にできなくなるからです。

平成22年度 電力科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 架空送電 平成22年度 A問題10 問題文
平成22年度 電力科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10

電験3種 電力科目 【架空送電】 平成22年度 A問題10

 架空電線が電線と直角方向に毎秒数メートル程度の風を受けると、電線の後方に渦を生じて電線が上下に振動することがある。これを微風振動といい、これが長時間継続すると電線の支持点付近で断線する場合もある。微風振動は(ア)電線で、径間が(イ)ほど、また、張力が(ウ)ほど発生しやすい。対策としては、電線にダンパを取り付けて振動そのものを抑制したり、断線防止策として支持点近くをアーマロッドで補強したりする。電線に翼形に付着した氷雪に風が当たると、電線に揚力が働き複雑な振動が生じる。これを(エ)といい、この振動が激しくなると相間短絡事故の原因となる。主な防止策として、相間スペーサの取り付けがある。また、電線に付着した氷雪が落下したときに発生する振動は、(オ)と呼ばれ、相間短絡防止策としては、電線配置にオフセットを設けることなどがある。

 上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)及び(オ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)軽い長い大きいギャロッピングスリートジャンプ
(2)重い短い小さいスリートジャンプギャロッピング
(3)軽い短い小さいギャロッピングスリートジャンプ
(4)軽い長い大きいスリートジャンプギャロッピング
(5)重い長い大きいギャロッピングスリートジャンプ
答え正解は (1)——(ア)軽い (イ)長い (ウ)大きい (エ)ギャロッピング (オ)スリートジャンプ です。

(エ)(オ) 3つの振動を区別する

現象原因振幅対策
★微風振動★毎秒数メートルの風による渦★小さい(数 cm)★ダンパ・アーマロッド
★ギャロッピング★翼形に付いた氷雪+強風の揚力★★大きい(数 m)★相間スペーサ・難着雪リング
★スリートジャンプ★★氷雪が落下した反動★大きい★★オフセット

ギャロッピングは氷雪が「付いている」ときの振動——翼のような形になって揚力が働きます

スリートジャンプは氷雪が「落ちた」瞬間の跳ね上がり——重りが取れて電線が跳ねるのです。

付いているか落ちたか——それが2つを分ける鍵になります。

「スリート」は英語で「みぞれ」——それが跳ぶので「ジャンプ」です。

対策が現象ごとに違う

対策狙い対象
★ダンパ★振動のエネルギーを吸収する★微風振動
★アーマロッド★支持点付近を補強し断線を防ぐ★微風振動
★相間スペーサ★相どうしの接近を防ぐ★ギャロッピング
★オフセット★上下の相を水平にずらす★スリートジャンプ

微風振動は振動そのものを抑える——振幅が小さいので接触の心配はありません

ギャロッピングとスリートジャンプは相間短絡が問題——だから相どうしを離す対策になります。

オフセットは、真上に配置せず水平にずらすこと——跳ね上がってもぶつかりません

⚠️ よくある間違い
(ウ)を「小さい」としてしまう——選択肢(2)(3)がそれです。張力が大きいほど支持点に応力が集中します
(ア)を「重い」としてしまう——選択肢(2)(5)軽いほど振れやすい
(イ)を「短い」としてしまう——選択肢(2)(3)長いほど共振しやすいです。
(エ)(オ)を入れ替えてしまう——選択肢(2)(4)付いているときがギャロッピング、落ちたときがスリートジャンプ
(エ)の対策が相間スペーサと書かれている——それがギャロッピングの定番対策です。

⏱️ 本番での進め方
①★微風振動は軽い・長い・張力大で起きやすい。
②★ギャロッピングは氷雪が付いているとき。
③★スリートジャンプは氷雪が落ちたとき。
④★対策はダンパ/相間スペーサ/オフセットと使い分ける。

💡 覚え方
「付けば揚力、落ちれば跳ねる」——ギャロッピングとスリートジャンプの違いです。微風振動は軽い・長い・張るほど起きやすい——3つとも「大きいほう」が危険になります。

コロナ対策と多導体は令和元年度 A問題10架空送電:コロナ損)にあります。

微風振動が断線につながる理由

(ア)〜(ウ)の条件がそろうと、支持点で疲労が進みます

段階起きること
★風で電線の後ろにカルマン渦ができる
★②★渦が交互にはがれ、上下の力が働く
★③★電線の固有振動数と一致すると共振する
★④★支持点で曲げが繰り返される
★⑤★金属疲労により素線が切れる

振幅は数センチと小さいのですが、何百万回も繰り返されます——だから疲労破断につながるのです。

支持点は動きが拘束されるので、そこに曲げが集中します——だから断線は支持点付近で起きるのです。

ダンパとアーマロッドの違い

★ダンパ★アーマロッド
★狙い★★振動そのものを抑える★★断線を防ぐ
★働き★おもりが逆位相で動きエネルギーを吸収★支持点付近を補強して曲げを分散
★取付位置★支持点から少し離れた場所★支持点そのもの

ダンパは原因を減らし、アーマロッドは結果に備えます——両方を併用するのが一般的です。

問題文が「振動そのものを抑制」「断線防止策として補強」と書き分けている——正確な記述になります。

要点をもう一度

3つの振動現象を、原因で区別します

現象原因対策
★微風振動★弱い風による渦★ダンパ・アーマロッド
★ギャロッピング★氷雪が付いた状態+風★相間スペーサ
★スリートジャンプ★氷雪が落下した反動★オフセット

対策が現象ごとに違うので、対で覚えられます——問題文にも対策が書かれています

(エ)は「相間スペーサ」、(オ)は「オフセット」が手がかり——そこから逆に現象名を決められるのです。

ギャロッピングが起きる条件

(エ)の現象は、条件がそろったときだけ起きます

条件内容
★氷雪の付着★電線の片側に翼のような形で付く
★風速★毎秒10〜20メートル程度
★風向★電線に対してほぼ直角
★径間★長いほど起きやすい

着雪が翼形になると、風が当たったときに揚力が生じます——飛行機の翼と同じ原理です。

持ち上がると角度が変わり、揚力が減って落ちる——それを繰り返して大きく振動します

振幅は数メートルに達することもある——だから相間短絡につながるのです。

難着雪リングを付けて、翼形になるのを防ぐ対策もあります——雪が付いても落ちやすくするのです。

多導体では、素導体がねじれて着雪しにくくなる工夫もあります

スリートジャンプとオフセット

(オ)の対策を、図で思い浮かべましょう

配置上下の相の位置跳ね上がったとき
★真上に配置★垂直に並ぶ★★接触の恐れ
★オフセット★水平方向にずらす★★すれ違うので接触しない

下の電線から雪が落ちると、跳ね上がります——重りが取れて張力が余るからです。

真上に相があると、そこへぶつかる——相間短絡になります

水平にずらしておけば、跳ね上がっても横を通り過ぎる——それがオフセットです。

鉄塔の腕金の長さを段ごとに変えて実現します——簡単で確実な対策になります。

着雪の多い地域では、標準的に採用されています

微風振動の3条件を言い換える

条件物理的な意味
★軽い電線★慣性が小さく、同じ力で大きく振れる
★長い径間★固有振動数が低く、弱い風で共振する
★大きい張力★支持点で曲げ応力が集中する

3つとも「振れやすい・壊れやすい」向き——まとめて覚えられます

張力だけは直感に反するので注意——張れば振動が止まりそうに思えるからです。

まとめ

(ア)(イ)(ウ)軽い・長い・大きい(軽・長・張)
(エ)ギャロッピング(翼形氷雪+揚力)
(オ)スリートジャンプ(氷雪落下の反動)
対策ダンパ・アーマロッド/相間スペーサ/オフセット
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・再出題版・サブスパン付き(架空送電14):【電力】令和4年度上期 A問題10
・振動対策の空欄(架空送電25):【電力】平成27年度 A問題8

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