今回は平成20年度 電力科目 A問題7、送配電線路や変電機器等のコロナ障害の誤り選択問題です。コロナ臨界電圧という用語と、気圧・温度との関係が問われる、コロナ問題の中でも理屈寄りの一問です。
コロナ臨界電圧=コロナが発生し始める最小の電圧(表面の電位の傾きが波高値約30kV/cm)。空気の絶縁耐力は気圧が高いほど大きく・温度が高いほど小さくなるので、臨界電圧は気圧が低いほど・温度が高いほど低下します。「気圧が高くなるほど低下」は向きが逆です。
出題のポイント

平成20年度 電力科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 【架空送電】 平成20年度 A問題7
送配電線路や変電機器等におけるコロナ障害に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。
(1) 導体表面にコロナが発生する最小の電圧はコロナ臨界電圧と呼ばれ、標準気象条件では電位の傾きが波高値で約30〔kV/cm〕に相当する。
(2) コロナ臨界電圧は、気圧が高くなるほど低下し、絶対温度が高くなるほど低下する。
(3) コロナ発生時は電力損失、導体腐食、電線振動などが生じるおそれがある。
(4) コロナ電流に含まれる高周波成分により、可聴雑音や電波障害が生じる。
(5) 電線間隔と導体等価半径が大きいほどコロナ臨界電圧は高くなり、多導体化は有効な対策である。
ポイント解説:気圧高→絶縁耐力大→臨界電圧は上がる(低下は逆)
(2)が誤り:空気の絶縁耐力は気圧にほぼ比例する(相対空気密度が上がるほど電離しにくい)。したがってコロナ臨界電圧は気圧が高くなるほど上昇し、低くなるほど低下する。「気圧が高くなるほど低下」は向きが逆。後半の「絶対温度が高くなるほど低下」は正しい(温度上昇→空気密度低下→電離しやすい)——前半だけ逆にした引っかけ。
(1)(5)は数値と対策:コロナ臨界電圧=コロナ発生の最小電圧で、標準気象条件では電位の傾き波高値約30kV/cm(ks11・ks19で既出)。電線間隔と導体等価半径が大きいほど臨界電圧は高くなるので、多導体化(等価半径を大きくする)が有効な対策(5)。
(3)(4)はコロナの害:コロナ損(電力損失)・オゾン等による導体腐食・電線振動(3)、コロナ電流の高周波成分による可聴雑音・電波障害(4)——ks28で整理した「コロナの害4点」と同じ。
問題の解説
STEP1 臨界電圧の定義
コロナ発生の最小電圧。標準条件で波高値約30kV/cm(1)。
STEP2 (2)を判定
気圧高→空気密度大→絶縁耐力大→臨界電圧は上昇。「低下」は逆→誤り。温度の記述は正しい。
STEP3 害と対策
損失・腐食・振動(3)、雑音・電波障害(4)、間隔と等価半径大→臨界電圧高→多導体化(5)。
答え:(2)
💡 覚え方
コロナ臨界電圧の増減:気圧高→上昇/気圧低→低下、温度高→低下(相対空気密度で考える)。雨・霧・高地はコロナが出やすい。数値は波高値約30kV/cm(実効値約21kV/cm)。対策=間隔大・等価半径大=多導体化。
⚠️ よくある間違い
気圧と臨界電圧の向きを逆にしない——「気圧が低いと発生しやすい」=「臨界電圧が低下」とつなげる。温度は逆方向(高温→低下)なので前後半セットで判定する。コロナ電流は高周波成分を含む(だから電波障害)。
まとめ
| 誤り | (2) 臨界電圧は気圧が低くなるほど低下(高くなるほど上昇) |
| 臨界電圧 | コロナ発生の最小電圧・波高値約30kV/cm(1) |
| 温度 | 絶対温度が高いほど低下(正しい) |
| 害 | 損失・腐食・振動(3)・雑音・電波障害(4) |
| 対策 | 間隔大・等価半径大=多導体化(5) |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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