誘導機30【電験3種 機械】電気機器4種の共通点とは?令和6年上期 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 誘導機 令和6年度上期 A問題7 4つの電気機器に共通するのは?本質を見抜く

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目において、「4機器の共通点」は変圧器・直流機・誘導機・同期機を横断する知識の整理度を試す良問です。本記事では、令和6年度上期 A問題7を、はじめての方でも確実に解けるように丁寧に解説します。

3つの記述が「2機器ずつの共通点」を述べており、共通集合のパズルとして解けます。鍵は「誘導機=回転する変圧器(等価回路が類似)」と「電機子反作用=直流機・同期機」の2知識です。

目次

令和6年度上期 機械科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 令和6年度上期 A問題7 問題文(電気機器の共通点)
令和6年度上期 機械科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7

電験3種 機械科目 【誘導機】 令和6年度上期 A問題7(要約)

a.(ア)と(イ)は、磁束一定・電源電圧(交流機では周波数も)一定のとき回転速度の変化でトルクが変化する。b. 一次巻線に負荷電流と励磁電流を重畳して流す(イ)と(ウ)は等価回路がよく似ている。c. 負荷電流が電機子巻線を流れる(ア)と(エ)は、界磁磁束と電機子反作用磁束のベクトル和の磁束に比例する誘導起電力が発生する。

(1) 誘導機・直流機・変圧器・同期機 (2) 同期機・直流機・変圧器・誘導機 (3) 直流機・誘導機・同期機・変圧器 (4) 同期機・直流機・誘導機・変圧器 (5) 直流機・誘導機・変圧器・同期機

🔁 再出題情報
本問は平成29年度 A問題6(誘導機31)とほぼ同一の再出題です。3つのペア知識を固めれば、次に出ても満点が狙えます。

出題のポイント:共通する文字から連鎖させる

この型の組合せ問題は、パズルとして解くのが確実です。3つの記述はそれぞれ2機器を指しており、記述どうしで文字が重なっています——その重なりをたどれば、一意に決まる場所から順に埋まります

記述指しているペア登場する空欄重なり
a直流機・誘導機(ア)(イ)(イ)がbと共通
b誘導機・変圧器(イ)(ウ)(イ)がaと共通
c直流機・同期機(ア)(エ)(ア)がaと共通

(イ)は記述aとbの両方に出てきます。aは「直流機か誘導機」、bは「誘導機か変圧器」——両方を満たすのは誘導機だけです。ここが最初に決まる場所になります。

(イ)=誘導機と決まれば、記述bの残りが(ウ)=変圧器、記述aの残りが(ア)=直流機そして記述cの残りが(エ)=同期機——ドミノ倒しのように連鎖します

🔁 再出題情報
本問は平成29年度 A問題6(誘導機31)とほぼ同一の再出題です。3つのペア知識を固めれば、次に出ても満点が狙えます。
直流機と誘導機を速度変化とトルク、誘導機と変圧器を等価回路、直流機と同期機を界磁磁束と電機子反作用で結んだ4機器の関係図
3つの共通ペアは、直流機・誘導機、誘導機・変圧器、直流機・同期機です。

3つのペアを覚える

記述共通点ペアなぜそのペアか
a速度が変わるとトルクが変わる直流機・誘導機減速するとトルクが増える機械
b一次巻線に負荷電流と励磁電流を重畳誘導機・変圧器交流励磁で巻線が兼用
c電機子反作用直流機・同期機界磁と電機子を別に持つ
答え(ア)直流機/(イ)誘導機/(ウ)変圧器/(エ)同期機 ⇒ (5)
記述a、b、cについて直流機、誘導機、変圧器、同期機の該当を丸印で比較し、ア直流機、イ誘導機、ウ変圧器、エ同期機を示す表
bで(イ)=誘導機、(ウ)=変圧器が決まり、aとcから残りを確定できます。
令和6年度上期機械A問題7の解答、記述aは直流機と誘導機、bは誘導機と変圧器、cは直流機と同期機、ア直流機、イ誘導機、ウ変圧器、エ同期機で正解5
割当は(ア)直流機、(イ)誘導機、(ウ)変圧器、(エ)同期機で、正解は(5)です。

なぜ変圧器が「回転機の表」に並んでいるのか

この問題で唯一回らないのが変圧器です。それなのに、回転機と同じ土俵で比較されている——不思議に思えるかもしれません

理由は、機械科目における変圧器の位置づけにあります。変圧器は「回転しない誘導機」だと考えると、すべてが見通せるのです。一次巻線に交流を流して磁束を作り、その磁束が二次巻線に起電力を誘導する——この構図は誘導機とまったく同じです。

違うのは、二次側が回るかどうかだけ変圧器の二次側は動かないので、誘導される起電力の周波数は一次と同じです。誘導機の二次側は回るので、相対速度が減って周波数が s 倍になる——この一点が、等価回路上では「r2′/s」という形で表れます

つまり誘導機の等価回路で s=1 と置けば、そのまま変圧器の等価回路になるのです。停止している誘導機は文字通り変圧器——拘束試験が変圧器の短絡試験と同じ手順で行われるのも、この対応関係によります

記述bが「等価回路がよく似ている」と言っているのは、この深いつながりを指しています。「似ている」というより「同じものの特別な場合」——そう理解しておくと、変圧器の知識がそのまま誘導機に使えるようになります

「電機子」という言葉の使いどころ

記述cの「負荷電流が電機子巻線を流れる」——この「電機子」という単語自体が、機種を絞り込む手がかりになっています。

機器「電機子」と呼ぶ巻線があるか理由
直流機ある(回転子側)界磁と対になる概念
同期機ある(固定子側)同上
誘導機ない界磁巻線がないので対になる概念が存在しない
変圧器ない回転しないので電機子という概念自体がない

「電機子」は「界磁」とセットで意味を持つ言葉です。磁束を作る係(界磁)と、電力をやりとりする係(電機子)に役割が分かれている機械にだけ使われます

誘導機には界磁巻線がありません。固定子巻線が磁束も作り電力もやりとりするので、役割を分けて呼ぶ必要がない——だから「電機子」という言葉を使わないのです。

この語感を持っておくと、論説問題で大きな武器になります。「電機子反作用」「電機子電流」「電機子巻線」といった言葉が出てきたら、それは直流機か同期機の話——誘導機や変圧器の記述に混ぜられていたら、その時点で誤りだと判定できます。

★同一問題:平成29年度 A問題6の再出題

この問題は平成29年度 A問題6とほぼそのまま再出題されています。ただし正解の番号は違います

平成29年度 A問題6令和6年度上期 A問題7(本問)
(ア)〜(エ)直流機・誘導機・変圧器・同期機直流機・誘導機・変圧器・同期機(同じ)
正解の番号(3)(5)

7年ぶりの再出題で、選択肢が並べ替えられて正解が (3) から (5) へ移動しています。「答えは(3)」と番号で覚えていた人は、本問で確実に外します

覚えるべきは「直・誘・変・同」という4語の並びです。3つのペアさえ頭にあれば、選択肢の並びがどう変わっても対応できます

⏱️ 本番での進め方
2つの記述に共通して出る文字から決める——本問なら(イ)。
3ペアを覚える:減速トルク増=直・誘、回路の親戚=誘・変、電機子反作用=直・同。
「電機子」という語は直流機・同期機だけのもの
正解の番号は年度で変わる(本問(5)、平成29年度(3))。

記述aの「磁束一定・電源電圧一定のとき」という前提

記述aには、さらりと重要な前提が付いています。「磁束一定、電源電圧(交流機では周波数も)一定のとき」——この条件がなければ、記述aは成り立ちません

直流機で考えてみましょう。もし磁束が一定でなければ、減速したときに何が起きるか分かりません直巻電動機なら、減速して電流が増えると磁束も増えるので、トルクは電流の2乗で効いてきます——「回転速度の変化でトルクが変化する」という表現では足りないほど激しく変わります。

誘導機でも同じです。周波数が変われば同期速度そのものが動いてしまうので、「回転速度が下がった」ことが「滑りが増えた」ことを意味しなくなります周波数一定という前提があってはじめて、速度の低下がそのまま滑りの増加になるのです。

試験問題の条件文は、たいてい「その記述が成り立つ範囲」を指定しています。読み飛ばしても答えは出ることが多いのですが、「なぜこの条件が要るのか」を考えると理解が深まります——条件が外れたときに何が起きるかを想像できれば、応用問題にも対応できるようになります

本問の場合、この前提は「他励・分巻の直流機」と「V/f を保った誘導機」を想定していると読めます。もっとも標準的な運転状態を指定しておいて、そのうえで共通点を問う——丁寧な作りの問題だと言えるでしょう。

💡 覚え方
「減速でトルク増=直・誘、等価回路の親戚=誘・変、電機子反作用=直・同」共通の文字を持つ記述から連鎖させるのがパズルの定石。変圧器は「回転しない誘導機」で、等価回路で s=1 と置けば変圧器になる「電機子」は界磁とセットの言葉なので誘導機・変圧器には使わない。

⚠️ よくある間違い
(ア)と(イ)を逆にするのが典型です。記述aだけでは「直流機と誘導機のどちらか」までしか分かりません——記述bで(イ)を確定させてから決めてください。もう一つは記述aに同期機を入れること——同期機は速度が変わらないので、「回転速度の変化でトルクが変化する」に当てはまりません。

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