今回は平成27年度 機械科目 B問題18を解説します。コンピュータを構成する入力・出力・記憶・中央処理装置という5大装置に関する記述の正誤を判定する(a)と、RAM・ROM・EPROM・EEPROM・DRAMというICメモリ(半導体メモリ)に関する記述の正誤を判定する(b)の2問構成です。情報43(平成20年度A問題14)と近いROM/RAM分類テーマを扱う姉妹的な問題でもあります。
(a)は中央処理装置のクロック周波数と磁気ディスクの回転数は無関係である点が誤りのポイントです。(b)はEEPROMの書き換えが「印加電圧を読み取り時より高くする」ことで行われる点(低くする、ではない)が誤りのポイントです。
平成27年度 機械科目 B問題18:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題18
電験3種 機械科目 【情報】 平成27年度 B問題18
次の文章はコンピュータの構成及びICメモリ(半導体メモリ)について記述したものである。次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) コンピュータを構成するハードウェアは,コンピュータの機能面から概念的に入力装置,出力装置,記憶装置(主記憶装置及び補助記憶装置)及び中央処理装置(制御装置及び演算装置)に分類される。これらに関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)コンピュータのシステムの内部では,情報は特定の形式の電気信号として表現されており,入力装置では,外部から入力されたいろいろな形式の信号を,そのコンピュータの処理に適した形式に変換した後に主記憶装置に送る。
(2)コンピュータが内部に記憶しているデータを外部に伝える働きを出力機能といい,ハードウェアのうちで出力機能を担う部分を出力装置という。出力されたデータを人間が認識できる出力装置には,プリンタ,ディスプレイ,スピーカなどがある。
(3)コンピュータ内の中央処理装置のクロック周波数は,LAN(ローカルエリアネットワーク)の通信速度を変化させる。クロック周波数が高くなるほどLANの通信速度が向上する。また,クロック周波数によって磁気ディスクの回転数が変化する。クロック周波数が高くなるほど回転数が高くなる。
(4)制御装置は,主記憶装置に記憶されている命令を一つ一つ順序よく取り出してその意味を解読し,それに応じて各装置に向けて必要な指示信号を出す。制御装置から信号を受けた各装置は,それぞれの機能に応じた適切な動作を行う。
(5)算術演算,論理判断,論理演算などの機能を総称して演算機能と呼び,これらを行う装置が演算装置である。算術演算は数値データに対する四則演算である。また,論理判断は二つのデータを比較してその大小を判定したり,等しいか否かを識別したりする。論理演算は,与えられた論理値に対して論理和,論理積,否定及び排他論理和などを求める演算である。
(b) 主記憶装置等に用いられるICメモリに関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)RAM(Random Access Memory)は,アドレス(番地)によってデータの保存位置を指定し,データの読み書きを行う。RAMは,DRAM(Dynamic RAM)とSRAM(Static RAM)とに大別される。
(2)ROM(Read Only Memory)は,読み出し専用であり,ROMに記録されている内容は基本的に書き換えることができない。
(3)EPROM(Erasable Programmable ROM)は,半導体メモリの一種で,デバイスの利用者が書き込み・消去可能なROMである。データやプログラムの書き込みを行ったEPROMは,強い紫外線を照射することでその記憶内容を消去できる。
(4)EEPROM(Electrically EPROM)は,利用者が内容を書換え可能なROMであり,印加する電圧を読み取りのときよりも低くすることで何回も記憶内容の消去・再書き込みが可能である。
(5)DRAMは,キャパシタ(コンデンサ)に電荷を蓄えることによって情報を記憶し,電源供給が無くなると記憶情報も失われる。長期記録の用途には向かず,情報処理過程の一時的な作業記憶の用途に用いられる。
(1)コンピュータのシステムの内部では,情報は特定の形式の電気信号として表現されており,入力装置では,外部から入力されたいろいろな形式の信号を,そのコンピュータの処理に適した形式に変換した後に主記憶装置に送る。
(2)コンピュータが内部に記憶しているデータを外部に伝える働きを出力機能といい,ハードウェアのうちで出力機能を担う部分を出力装置という。出力されたデータを人間が認識できる出力装置には,プリンタ,ディスプレイ,スピーカなどがある。
(3)コンピュータ内の中央処理装置のクロック周波数は,LAN(ローカルエリアネットワーク)の通信速度を変化させる。クロック周波数が高くなるほどLANの通信速度が向上する。また,クロック周波数によって磁気ディスクの回転数が変化する。クロック周波数が高くなるほど回転数が高くなる。
(4)制御装置は,主記憶装置に記憶されている命令を一つ一つ順序よく取り出してその意味を解読し,それに応じて各装置に向けて必要な指示信号を出す。制御装置から信号を受けた各装置は,それぞれの機能に応じた適切な動作を行う。
(5)算術演算,論理判断,論理演算などの機能を総称して演算機能と呼び,これらを行う装置が演算装置である。算術演算は数値データに対する四則演算である。また,論理判断は二つのデータを比較してその大小を判定したり,等しいか否かを識別したりする。論理演算は,与えられた論理値に対して論理和,論理積,否定及び排他論理和などを求める演算である。(1)RAM(Random Access Memory)は,アドレス(番地)によってデータの保存位置を指定し,データの読み書きを行う。RAMは,DRAM(Dynamic RAM)とSRAM(Static RAM)とに大別される。
(2)ROM(Read Only Memory)は,読み出し専用であり,ROMに記録されている内容は基本的に書き換えることができない。
(3)EPROM(Erasable Programmable ROM)は,半導体メモリの一種で,デバイスの利用者が書き込み・消去可能なROMである。データやプログラムの書き込みを行ったEPROMは,強い紫外線を照射することでその記憶内容を消去できる。
(4)EEPROM(Electrically EPROM)は,利用者が内容を書換え可能なROMであり,印加する電圧を読み取りのときよりも低くすることで何回も記憶内容の消去・再書き込みが可能である。
(5)DRAMは,キャパシタ(コンデンサ)に電荷を蓄えることによって情報を記憶し,電源供給が無くなると記憶情報も失われる。長期記録の用途には向かず,情報処理過程の一時的な作業記憶の用途に用いられる。
(a) コンピュータの5大装置
ハードウェアは機能で5つに分けられます——この分類が正誤判定の土台になります。
| 装置 | 働き | 例 |
| 入力装置 | 外部の信号を内部形式へ変換 | キーボード、センサ |
| 出力装置 | 内部のデータを外部へ | プリンタ、ディスプレイ |
| 記憶装置 | データと命令を保持 | 主記憶、補助記憶 |
| 制御装置 | ★命令を解読して指示を出す | CPU の一部 |
| 演算装置 | ★算術演算・論理演算を行う | CPU の一部 |
制御装置と演算装置をまとめたものが中央処理装置(CPU)——だから「5大装置」と数えると入力・出力・記憶・制御・演算になります。
記憶装置に「データ」だけでなく「命令」も入れる——これがノイマン型コンピュータの特徴です。プログラムを入れ替えるだけで別の仕事ができるのは、そのおかげです。
誤りは(3):因果関係のないものを結び付けている
| 記述 | 実際は何で決まるか |
| クロック周波数がLAN の通信速度を変える | ★LAN の規格(100BASE-TX、1000BASE-T など) |
| クロック周波数が磁気ディスクの回転数を変える | ★ディスク側のモータ(5,400/7,200 min-1 など) |
どちらも別の機構で決まっている——CPU が速くなってもLAN ケーブルの中を流れる速さは変わりません。ハードディスクの回転数も、CPU とは無関係にモータで決まります。
「AがBを変化させる」という強い因果を主張する記述は疑う——正誤判定問題の定石です。本問はまさにその型でした。

(b) ICメモリの誤りは(4)
EEPROM は「読み取りより高い電圧」で書き換えます——問題文の「低くする」は誤りです。
| メモリ | 消去の方法 | 電源を切ると |
| マスクROM | 消去不可 | 残る |
| EPROM | ★紫外線を照射 | 残る |
| EEPROM | ★高い電圧を印加(電気的) | 残る |
| SRAM | — | 消える |
| DRAM | — | 消える |
なぜ高い電圧が必要なのか——絶縁層を電子が通り抜けるほどの強い電界をかける必要があるからです。ふつうの読み出し電圧では、絶縁層は電子を通しません。
だから読み出しは低電圧で速く、書き換えは高電圧で遅い——この非対称が、書き換え回数に限りがある理由でもあります。高い電界を何度もかけると、絶縁層が傷んでいくのです。
(2)の「ROM は基本的に書き換えできない」は「基本的に」と限定しているので正しい記述——EPROM やEEPROM は例外的に書き換えられるという位置づけです。

⚠️ よくある間違い
「正しいものを選べ」と読み違えるのが最大の落とし穴——本問は(a)(b)とも「誤っているもの」です。
設問文の「誤っている」に丸を付けてから読み始める——これだけで防げます。
また(3)を読んだとき「クロック周波数が高いほど速そう」という印象で流さない——何と何が結び付けられているかを見るのが大切です。速いCPU が全体を速くするのは事実ですが、LAN の通信速度や回転数そのものは変わりません。
⏱️ 本番での進め方
①(a)(b)とも「誤っているもの」を選ぶ設問。向きを確認。
②(a) クロック周波数はLAN・HDD回転数と無関係→(3)。
③(b) EEPROM は読み取りより★高い電圧で書き換え→(4)。
④ EPROM は紫外線、EEPROM は電気的——消去方法で区別。
💡 覚え方
「CPU が速くてもケーブルは速くならない」——別の機構は別の規格で決まる。「書き換えには高い電圧」——絶縁層を突破するのだから当然と考えれば忘れません。
同じROM/RAM の分類が平成20年度 A問題14でも問われています(情報:記憶装置ROM・RAMの分類)。セットで押さえておきましょう。

正誤判定問題の解き方
5つの記述から誤りを1つ探す——この形式には、決まった攻め方があります。
| 手順 | やること | ねらい |
| ① | 設問が「正しい」か「誤り」かを確認 | ★向きの取り違えを防ぐ |
| ② | 断定的な表現に印を付ける | 「必ず」「〜ほど〜になる」 |
| ③ | 明らかに正しい記述を消す | 教科書どおりの説明 |
| ④ | 残った記述を数値や原理で検証 | 時間を集中させる |
誤りの記述は、たいてい「言い過ぎている」——本問の(3)も「高くなるほど向上する」と断定しています。強い因果を主張する文は、まず疑ってかかるのが定石です。
逆に(1)(2)(5)のような、用語をていねいに説明しているだけの文は正しいことがほとんど——読み飛ばしても構いません。
装置どうしをつなぐバス
5大装置は「バス」と呼ばれる共通の配線でつながっています——3種類あります。
| 名称 | 流れるもの |
| アドレスバス | ★どの番地かを指定 |
| データバス | 実際のデータ |
| コントロールバス | 読み書きなどの制御信号 |
アドレスバスの本数が、扱えるメモリ容量を決めます——16本なら216=65,536番地。ここでも2の累乗が効いてきます。
補助記憶装置の種類
(a)で出てきた補助記憶装置——主記憶との違いと、代表的な種類を押さえておきましょう。
| 種類 | 記録の原理 | 特徴 |
| 磁気ディスク(HDD) | 円盤の磁化 | ★安価で大容量。可動部あり |
| SSD | フラッシュメモリ | ★可動部なし。速く静か |
| 光ディスク | レーザで凹凸を読む | 取り外して保管できる |
| 磁気テープ | テープの磁化 | 長期保存・バックアップ向き |
主記憶は電源を切ると消えるのに対し、補助記憶は残ります——だからプログラムやデータの保管に使われるのです。
本問の(3)が挙げた「磁気ディスクの回転数」は、この可動部の話——モータで円盤を回しているのですから、CPU のクロックとは何の関係もありません。
SSD には回転する部品がない——だから「回転数」という指標そのものが存在しません。この点からも(3)の記述が的外れだと分かります。
まとめ
| (a) 誤り | (3) クロック周波数とLAN/磁気ディスクは無関係 |
| (b) 誤り | (4) EEPROMは電圧を高くして書換え |
| 答え | (a)-(3),(b)-(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・記憶装置ROM・RAMの分類:【機械】平成20年度A問題14
・D-A変換器の分解能とユニポーラ・オフセットバイナリ・バイポーラコード:【機械】平成19年度B問題18

コメント