照明17【電験3種 機械】LEDの発光原理と青色LED+黄色蛍光体による疑似白色光の穴埋め問題!平成25年度 A問題11 完全解説

電験3種 機械科目 照明 平成25年度 A問題11 青色LEDが白く光る秘密!黄色い蛍光体の働き

今回は平成25年度 機械科目 A問題11を解説します。照明用LEDの発光原理(電子とホールの再結合)と、青色LED+黄色蛍光体による疑似白色光の生成方式に関する空所補充問題です。

LEDのpn接合部で電子とホールが再結合するときに光が発生します。青色LEDの光の一部を黄色蛍光体に照射し、そこから得られる黄色光と青色光を混ぜることで疑似白色光をつくります。そのスペクトルは450nm付近に鋭い青ピーク、600nm付近になだらかな黄ピークをもつ図Aで表されます。

目次

平成25年度 機械科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 照明 平成25年度 A問題11 問題文
平成25年度 機械科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題11

電験3種 機械科目 【照明】 平成25年度 A問題11

 次の文章は,照明用LED(発光ダイオード)に関する記述である.

 効率の良い照明用光源としてLEDが普及してきた.LEDに順電流を流すと,LEDのpn接合部において電子とホールの(ア)が起こり,光が発生する.LEDからの光は基本的に単色光なので,LEDを使って照明用の白色光をつくるにはいくつかの方法が用いられている.代表的な方法として,(イ)色LEDからの(イ)色光の一部を(ウ)色を発光する蛍光体に照射し,そこから得られる(ウ)色光にLEDからの(イ)色光が混ざることによって疑似白色光を発生させる方法がある.この疑似白色光のスペクトルのイメージをよく表わしているのは図(エ)である.

 図A:横軸波長〔nm〕(300〜800),縦軸相対強度(0〜1)。ピークが約450nm付近(強い,鋭い)と約600nm付近(なだらか,やや低い)の2箇所にある曲線。

 図B:横軸波長〔nm〕(300〜800),縦軸相対強度(0〜1)。ピークが約450nm付近(なだらか,やや低い)と約650〜700nm付近(強い,鋭い)の2箇所にある曲線。

 上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.

上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)分離青緑A
(2)再結合A
(3)分離B
(4)再結合A
(5)分離青緑B
図 疑似白色光のスペクトル分布イメージ(図A・図B、問題図)
図 疑似白色光のスペクトル分布イメージ(図A・図B、問題図)

(ア) LED が光る仕組み

pn接合に順方向の電圧を加えると、電子とホールが接合部へ集まります——そこで出会って結び付くのが再結合です。

電子は伝導帯という高いエネルギー状態にあり、ホールは価電子帯という低い状態——電子が落ちてホールと結び付くと、その差のエネルギーが余りますそれが光として出るのです。

「分離」は逆の現象——光を当てて電子とホールを引き離すのは太陽電池やフォトダイオードです。LED はその逆向きの動作——だから(ア)は再結合になります。

素子働き接合部で起きること
LED電気→光★再結合して発光
太陽電池光→電気★光で電子とホールが分離
フォトダイオード光→電流分離した電荷を取り出す
図 疑似白色光のスペクトル分布イメージ(図A・図B、問題図)
図 疑似白色光のスペクトル分布イメージ(図A・図B、問題図)
p形側を正、n形側を負に接続したpn接合で電子とホールが再結合して発光し、青色光と黄色蛍光体光が白色になる図
順方向のpn接合では再結合により発光し、青色光と黄色光の重なりで疑似白色になります。

(イ)(ウ) 青色LED+黄色蛍光体

LED の光は単色——そのままでは白くなりません白色を作るには工夫が要ります

方式構成特徴
★青色LED+黄色蛍光体青の一部を黄に変換して混ぜる★最も普及。安価
青色LED+緑・赤蛍光体2種類の蛍光体を使う演色性が高い
紫外LED+3色蛍光体紫外線ですべて変換演色性は高いが効率が落ちる
赤・緑・青のLED を混色3個のLED を使う色を自由に変えられる

青と黄は補色の関係——混ぜると白く見えますたった2色で白が作れるので、蛍光体が1種類で済み、構造が簡単になります。

「疑似」白色光と呼ばれるのは、太陽光のように全波長がそろっているわけではないから——青と黄しかありませんだから緑や赤の物がやや不自然に見えることがあります。

(エ) スペクトルの形

ピークの位置判定
図A★450 nm に鋭い青、600 nm になだらかな黄○ 疑似白色LED
図B650〜700 nm に鋭いピーク✕ 赤寄り

LED そのものの光は鋭いピーク——半導体のバンドギャップで波長が決まるので、幅が狭いのです。

一方、蛍光体からの光はなだらかな山——いろいろな波長が混ざって出るからです。「鋭い青+なだらかな黄」という形が、この方式の指紋になります。

平成25年度機械A問題11の空欄を再結合、青、黄、図Aとし、選択肢4と示す解答図
4つの空欄が一致する選択肢(4)が正解です。
答え正解は (4)——(ア)再結合 (イ)青 (ウ)黄 (エ)A です。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「分離」としてしまうのが典型的な誤り——選択肢5つのうち3つが「分離」です。
分離は光を電気に変えるとき(太陽電池)——LED は電気を光に変えるので再結合向きで判断してください。
(イ)(ウ)を「赤と黄」「青と緑」としない——補色になるのは青と黄です。青と緑では白になりません
(ア)さえ確定すれば、選択肢は(2)と(4)の2つに絞れます——あとは色の組合せで決まりです。

波長とエネルギーの関係

LED の色は、半導体のバンドギャップで決まります——材料を変えれば色が変わるのです。

発光波長
\( \lambda\ [\mathrm{nm}]\fallingdotseq\dfrac{1240}{E_g\ [\mathrm{eV}]} \)

E_g:バンドギャップ(禁制帯幅)

波長必要なEg代表的な材料
約660 nm1.9 eVGaAsP
約550 nm2.3 eVGaP、InGaN
★青約450 nm★2.8 eV★GaN(窒化ガリウム)

波長が短いほど大きなバンドギャップが必要——だから青色LED は最後まで実現しなかったのです。赤と緑は1960〜70年代に実用化されたのに、青は1990年代まで待つことになりました。

青色LED ができて初めて、白色LED が作れるようになった——照明用光源としてのLED は、そこから始まったのです。本問が「効率の良い照明用光源としてLED が普及してきた」と書き出しているのは、この歴史を踏まえています。

⏱️ 本番での進め方
①(ア) LED は再結合で発光。分離は太陽電池の側。
②(イ)(ウ) 青色LED+黄色蛍光体(補色)。
③(エ) 鋭い青ピーク+なだらかな黄の図A。
④★(ア)だけで(2)(4)に絞れる。色の組合せで決着。

💡 覚え方
「電気→光なら再結合、光→電気なら分離」——向きで覚える白色LED は「青+黄」——補色を混ぜて白です。

測光量の定義は令和5年度上期 A問題12で問われています(照明:光束・照度・光度・光束発散度・輝度)。光源の性能評価は平成23年度 A問題11ランプ効率・演色性・色温度)にあります。

青色LEDの450nm付近の鋭いピークと黄色蛍光体の広帯域成分を重ねた図Aのスペクトル
図Aは450 nm付近の狭い青ピークと、長波長側に広がる黄色成分をもちます。

LED が照明を変えた理由

本問の冒頭「効率の良い照明用光源としてLED が普及してきた」——なぜそれほど効率がよいのかを確かめておきましょう。

発光の種類仕組みエネルギーの行方
温度放射物を熱くして光らせる★大半が赤外線(熱)
ルミネセンス電子のエネルギーを直接光へ★熱を経由しない

白熱電球は約2,800 K のフィラメントの温度放射——そのスペクトルの山は赤外線の領域にあります目に見える光は、出たエネルギーのごく一部にすぎません。

LED は必要な波長だけを直接作れる——無駄な赤外線を出さないのが決定的な違いです。だからランプ効率が10倍以上になるのです。

疑似白色の弱点と対策

青と黄だけの疑似白色は、赤の成分が乏しい——肌や食品がやや青白く見えることがあります。

そこで赤色蛍光体を加えた高演色形が作られています——Ra=90以上も実現できます。ただし変換の段階が増えるぶん、効率はやや落ちる——効率と演色性のトレードオフはここにも現れます。

店舗の商品照明や美術館では演色性を優先し、倉庫や道路では効率を優先する——用途に応じて選び分けるのが実際です。

LED を照明として使うための工夫

LED は半導体素子——電球のように電圧をかければ光る、という単純なものではありません

課題理由対策
定電流で駆動する必要★電圧が少し上がると電流が急増LED ドライバ(定電流回路)
熱に弱い接合部の温度が上がると効率低下★ヒートシンクで放熱
直流で点灯交流はそのまま使えない整流回路が必要

ダイオードは順方向電圧を超えると、電流が指数関数的に増えます——電圧で制御すると、わずかなずれで焼損してしまいます。だから電流を一定に保つ回路が要るのです。

「熱を出さない」と言われるLED ですが、素子自体は発熱します——光の方向へは熱を出さないだけ裏側から放熱する必要があるので、LED電球には金属製の放熱部があります。

接合部の温度が上がると、効率も寿命も落ちます——密閉された器具にLED電球を付けると寿命が縮むのはこのためです。

まとめ

(ア)再結合
(イ)
(ウ)
(エ)A
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・ハロゲン電球のハロゲンサイクル:【機械】平成21年度A問題11
・測光量の定義とSI単位:【機械】令和5年度上期A問題12

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成21年度A問題11(照明16)
【機械】令和5年度上期A問題12(照明18)
【機械】令和2年度A問題12(照明12)
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