パワエレ43【電験3種 機械】単相インバータ(誘導性負荷)の電流波形選択と環流ダイオードの役割!令和5年上期 B問題16 完全解説

電験3種 機械科目【パワーエレクトロニクス】令和5年度上期 B問題16 単相インバータ(誘導性負荷)の電流波形と特徴

今回は令和5年度上期 機械科目 B問題16を解説します。単相インバータで誘導性負荷に給電する回路で、負荷電流・直流電流の波形選択(a)と、単相インバータの特徴に関する正誤問題(b)です。

誘導性負荷のため電流は指数関数的に変化します。(b)で誤りとなるのは「ダイオードが導通することによって得られる逆電圧でパワートランジスタを転流させている」という記述で、環流ダイオードの役割はインダクタンスのエネルギーを電源に戻すことです。

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目次

令和5年度上期 機械科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 令和5年度上期 B問題16 問題文
令和5年度上期 機械科目 B問題16 問題文

電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 令和5年度上期 B問題16

 図1は,単相インバータで誘導性負荷に給電する基本回路を示す。負荷電流i0と直流電流idは図示する矢印の向きを正の方向として,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a)出力交流電圧の1周期に各パワートランジスタが1回オンオフする運転において,図2に示すように,パワートランジスタS1〜S4のオンオフ信号波形に対して,負荷電流i0の正しい波形が(ア)〜(ウ),直流電流idの正しい波形が(エ),(オ)のいずれかに示されている。その正しい波形の組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(a)パワートランジスタS1〜S4のオンオフ信号波形に対して,負荷電流i0の正しい波形が(ア)〜(ウ),直流電流idの正しい波形が(エ),(オ)のいずれかに示されている。その正しい波形の組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)(ア)と(エ)
(2)(イ)と(エ)
(3)(ウ)と(オ)
(4)(ア)と(オ)
(5)(イ)と(オ)

(b)単相インバータの特徴に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)図1は電圧形インバータであり,直流電源Eの高周波インピーダンスが低いことが要求される。
(2)交流出力の調整は,S1〜S4に与えるオンオフ信号の幅T/2を短くすることによって交流周波数を高くすることができる。又は,Eの直流電圧を高くすることによって交流電圧を高くすることができる。
(3)図1に示されたパワートランジスタを,IGBT又はパワーMOSFETに置換えてもインバータを実現できる。
(4)ダイオードが接続されているのは負荷のインダクタンスに蓄えられたエネルギーを直流電源に戻すためであり,さらにダイオードが導通することによって得られる逆電圧でパワートランジスタを転流させている。
(5)インダクタンスを含む負荷としては誘導電動機も駆動できる。運転中に負荷の力率が低くなると,電流がダイオードに流れる時間が長くなる。

図1 単相インバータ回路(R+L負荷)と図2 オンオフ信号波形・波形候補
図1 単相インバータ回路(R+L負荷)と図2 オンオフ信号波形・波形候補
令和5年度上期 B問題16 選択肢の波形(グラフ)
選択肢(1)〜(5)

出題のポイント:誘導性負荷の電流遅れと直流側電流

単相インバータの出力電圧、誘導性負荷電流、直流電流の波形と瞬時電力関係を示した図
負荷電流は波形(ア)、直流電流はE i_d=v_0 i_0を満たす波形(エ)です。

誘導性負荷では、出力電圧が反転しても負荷電流i_0はすぐに符号を変えません。負荷電流の波形は(ア)です。直流電流i_dは、損失を無視すればE i_d=v_0 i_0の瞬時電力関係から判定できます。電圧と電流が異符号の区間では負荷から直流電源へ電力が戻るためi_dは負、同符号の区間では直流電源から負荷へ電力を供給するためi_dは正となり、波形(エ)です。

ポイント解説:瞬時電力から回生・力行区間を判定

単相インバータの一周期を電圧電流の符号により回生区間と力行区間へ分けた図
異符号区間は逆並列ダイオードによる回生、同符号区間はパワートランジスタによる力行です。

誘導性負荷のため電流は指数関数的に変化します。(b)で誤りとなるのは「ダイオードが導通することによって得られる逆電圧でパワートランジスタを転流させている」という記述で、環流ダイオードの役割はインダクタンスに蓄えたエネルギーを電源に戻すことです。

問題の解説:(a)波形ア・エ、(b)誤りは4

負荷電流アと直流電流エの波形選択および環流ダイオードの誤りの記述4を示した図
答えは(a)-(1)の(ア)と(エ)、(b)-(4)です。

STEP1 (a)負荷電流io・直流電流idの波形を判定する

誘導性負荷のため、負荷電流i0はスイッチング直後から指数関数的に変化する波形(ア)、直流電流idは環流期間を含む波形(エ)になります。組合せは(a)-(1) (ア)と(エ)です。

STEP2 (b)環流ダイオードの役割を確認する

ダイオードは負荷インダクタンスに蓄えたエネルギーを直流電源に戻す役目をもちますが、「ダイオードが導通することによって得られる逆電圧でパワートランジスタを転流させている」という記述は誤りです。転流はゲート信号の切替によるものです。

STEP3 結論

誤っている記述は(b)-(4)です。

答え:(a)-(1),(b)-(4)

💡 覚え方
誘導性負荷インバータ:io/idは指数関数的波形。環流ダイオードはエネルギーを電源に戻す役割であり転流を担うわけではない。

⚠️ よくある間違い
環流ダイオードの役割(エネルギー還流)と、実際に転流のトリガとなる仕組み(ゲート信号)を混同しない。

まとめ

(a)波形の組合せ(ア)と(エ)
(b)誤りの記述(4)
答え(a)-(1),(b)-(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・単相インバータの出力実効値と波形選択:【機械】令和2年度B問題16
・単相インバータの電流波形選択(平成24年度):【機械】平成24年度B問題15

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和2年度B問題16(パワエレ42)
【機械】平成30年度A問題11(パワエレ41)
【機械】平成22年度A問題10(パワエレ36)
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