同期機32【電験3種 機械】水車発電機とタービン発電機の構造の穴埋め!令和6年下期 A問題5 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 令和6年度下期 A問題5 水車用は突極形・タービン用は円筒形!なぜ?

今回は令和6年度下期 機械科目 A問題5を解説します。水車発電機とタービン発電機の回転子構造の違いを問う穴埋め問題です。

回転速度と極数は反比例(\(N_s=120f/p\))。低速の水車機は多極・大直径、高速のタービン機は少極・小直径です。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題5

 次の文章は,三相同期発電機に関する記述である。

 三相同期発電機は,水車を原動機とする水車発電機や,蒸気タービンを原動機とするタービン発電機などに用いられている。水車発電機では,水車の回転速度が比較的(ア)ため,発電機の極数を(イ)しなければならない。また,水車発電機の回転子は,軸方向に比べて直径が(ウ)なっている。

 タービン発電機の回転子は,水車発電機に比べて回転速度が(エ)ので,回転子の機械的強度の関係から,回転子の直径は軸方向の長さに比べて(オ)した設計になっている。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)小さい小さく大きく大きい大きく
(2)小さい大きく大きく大きい小さく
(3)小さい大きく大きく小さい大きく
(4)大きい大きく小さく大きい小さく
(5)大きい小さく小さく小さい大きく

出題のポイント:原動機の速度が回転子の形を決める

同期発電機の形は、原動機が何かでほぼ決まります「水車は遅い、タービンは速い」——この一点から、極数も直径も自動的に決まってしまうのです。

同期速度が極数を決める

\( N_s=\dfrac{120f}{p} \;\Rightarrow\; p=\dfrac{120f}{N_s} \)

周波数は系統で決まっているので、回転速度が低いほど極数を多くしなければなりません

水車発電機タービン発電機
原動機水車(低速)蒸気タービン(高速)
回転速度100〜1 000 min−1 程度1 500〜3 600 min−1
極数多い(8〜48極など)少ない(2〜4極)
回転子の形突極形円筒形(非突極形)
直径と軸長直径が大きく軸方向は短い直径が小さく軸方向に長い
短絡比0.9〜1.2(鉄機械)0.5〜0.7(銅機械)
据付立軸が多い横軸
低速多極大径の水車発電機と高速少極小径長軸のタービン発電機を比較する図
低速の水車形は多極・大径、高速のタービン形は少極・小径長軸です。

空欄を確定する

(ア)(イ):水車は低速だから多極

水車の回転速度は比較的小さい——(ア)=小さい同じ60 Hz を作るには、遅い分だけ極数を増やす必要があります——(イ)=大きく

\( p=\dfrac{120\times60}{150}=48 \)
回転速度150 min−1 の水車発電機なら
48極——磁極を48個も並べることになる。
\( p=\dfrac{120\times60}{3\,600}=2 \)
3 600 min−1 のタービン発電機なら
2極——磁極は1組だけ。

(ウ):多極だから直径が大きい

48個もの磁極を円周上に並べるには、それだけの円周が必要です。だから直径が大きくなります——(ウ)=大きく軸方向には短くてよいので、円盤のような形になります。

(エ)(オ):高速だから直径を小さく

タービン発電機は回転速度が大きい——(エ)=大きいすると遠心力が問題になります

遠心力は半径と回転速度で決まる

\( F=m\,r\,\omega^2 \)  周速 \( v=\dfrac{\pi DN}{60} \)

半径が大きいほど、回転が速いほど遠心力は大きくなる——高速なら直径を小さくするしかありません

3 600 min−1・直径1.1 m なら、周速は約207 m/s——音速の6割にもなります。これ以上直径を大きくすると、回転子自身が遠心力で壊れます——(オ)=小さく

答え(ア)小さい/(イ)大きく/(ウ)大きく/(エ)大きい/(オ)小さく ⇒ (2)
同期速度と遠心力から水車発電機とタービン発電機の形状を判断する流れ
低速ほど極数を増やし、高速回転子は遠心力を抑えるため直径を小さくします。
令和6年下期機械A問題5の空欄を小さい、大きく、大きく、大きい、小さくと確定する表
空欄の組合せは小さい・大きく・大きく・大きい・小さくで、正解は(2)です。

突極形と円筒形——形の違いが特性の違いになる

水車発電機の回転子は突極形、タービン発電機は円筒形です。この形の違いは、見た目だけの問題ではありません

突極形(水車発電機)円筒形(タービン発電機)
磁極の作り出っ張った磁極が並ぶ円筒に溝を切って巻線を埋め込む
空隙場所によって違うほぼ均一
リアクタンス方向で違う(xd≠xqほぼ同じ(xd≒xq
特有のトルクリラクタンストルクが加わるほぼ無視できる
機械的強度高速には向かない高速に耐える

突極形では、磁極のある方向とない方向で磁気抵抗が違います。磁極の中心を通る方向(d軸)は空隙が狭く磁束が通りやすいのに対し、磁極と磁極の間(q軸)は空隙が広く通りにくい——この差がリアクタンスの違いを生みます

その結果、突極形には「リラクタンストルク」という余分なトルクが加わります。磁気抵抗の小さい向きへ引き寄せられる力で、界磁を切っても残るトルクです。円筒形は空隙が均一なので、この効果はほとんどありません

円筒形が高速に耐えるのは、出っ張りがないからです。突極形は磁極が遠心力で吹き飛ばされる危険があるのに対し、円筒形は溝に巻線を埋め込んでくさびで押さえるので、遠心力に強い——高速機が円筒形なのは必然です。

形が短絡比まで決めている

水車発電機の短絡比が大きく、タービン発電機が小さい——これも形から説明できます

水車発電機は直径が大きく、鉄心の量も多くなります。磁束を多く通せるので、少ない巻数でも必要な電圧が出せる——巻数が少なければリアクタンスも小さく、短絡比は大きくなりますいわゆる鉄機械です。

タービン発電機は細長く、鉄心が少ない。磁束が限られるので巻数を増やして電圧を稼ぐ——巻数が多いのでリアクタンスも大きく、短絡比は小さくなります銅機械と呼ばれる所以です。

「原動機の速度 → 極数 → 直径 → 鉄の量 → 短絡比 → 電圧変動率と安定度」——1本の因果でつながっていることが分かります。同期発電機の性質を問われたら、まず「水車かタービンか」を思い浮かべるとよいでしょう。

⏱️ 本番での進め方
Ns=120f/p——低速なら多極、多極なら大直径。
高速機は遠心力のため直径を小さくするしかない。
突極形=水車(低速)、円筒形=タービン(高速)
直径が大きい=鉄が多い=短絡比が大きい(鉄機械)。

💡 覚え方
「低速水車=多極・大直径・突極形・鉄機械/高速タービン=少極・小直径・円筒形・銅機械」Ns=120f/p で速度と極数は反比例高速では遠心力のため直径を小さくするしかない突極形は xd≠xq でリラクタンストルクが加わる

⚠️ よくある間違い
タービン発電機は高速だから直径も大きいだろうと考えるのが典型です。高速だからこそ遠心力を抑えるために直径を小さくする——速さと大きさは逆です。もう一つは(イ)で「極数を小さく」とすること——低速なら極数は多くなります。

形の違いは冷却の違いにもなる

タービン発電機は「小さな体積に大きな出力」を詰め込んだ機械です。そのぶん発熱が集中するので、冷却が設計上の大問題になります。

水車発電機タービン発電機
体積あたりの出力小さい(大きな体に分散)大きい(細長い体に集中)
表面積大きい(直径が大きい)小さい
主な冷却方式空気冷却で足りることが多い水素冷却・水冷却が必要

なぜ水素を使うのか——2つの理由があります。

水素の性質空気と比べて何が良くなるか
密度が小さい約1/14風損が大幅に減る(効率が上がる)
熱伝導率が高い約7倍よく冷える

高速回転する機械では、空気をかき回すだけで大きな損失(風損)が生じます。密度の小さい水素に置き換えれば、その損失が激減する——しかも冷却性能まで上がるという一石二鳥です。

さらに大容量になると、固定子巻線の中に中空の導体を使い、そこへ純水を流す「水冷却」も併用されます。導体の中を直接冷やすので、最も効率のよい冷却方式です。電気を通す巻線に水を流すため、純水(導電率の極めて低い水)を使うのが要点になります。

水車発電機は低速で直径が大きく、表面積も広いので、空気を送るだけで冷却が間に合うことが多い——ここでも「形が性能を決めている」のが分かります。

まとめ

(ア)小さい
(イ)大きく
(ウ)大きく
(エ)大きい
(オ)小さく
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・同期発電機の種類と構造:【機械】平成30年度A問題5
・同期速度とトルク:【機械】平成19年度B問題15

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成30年度A問題5(同期機31)
【機械】平成26年度A問題5(同期機33)
【機械】令和3年度A問題5(同期機30)
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