【電験3種 機械】整流子電動機|令和8年度上期 問7

交流整流子モータでは、交流の極性が反転してもトルクの向きが変わりません。直巻の回路とトルクの式から仕組みを確認し、鉄心と用途の特徴を選びます。

問題文と選択肢|【電験3種】令和8年度上期 機械 問7

令和8年度上期 機械 問7の公式問題
公式問題PDFから問題文・図・選択肢を切り抜きました。

問題文

問7 次の文章は,交流整流子モータに関する記述である。交流整流子モータは,直流直巻電動機に類似した構造となっている。直流直巻電動機では,加える直流電圧の極性を逆にしても,磁束と電機子電流の向きが共に(ア)ので,トルクの向きは変わらない。交流整流子モータは,この原理に基づき回転力を得ている。構造上の特徴として,交流整流子モータでは,磁気回路の磁束が交番するので,界磁鉄心および継鉄を(イ)としていることが挙げられる。交流整流子モータは,一般に始動トルクが大きく,回転速度が(ウ)なので,電気ドリル,電気掃除機,小型ミキサなどのモータとして用いられている。なお,小容量のものでは,交流と直流の両方に使用できるものもあり,(エ)と呼ばれる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)逆になる塊状鉄心高速ユニバーサルモータ
(2)逆になる積層鉄心高速ユニバーサルモータ
(3)変わらない積層鉄心低速ブラシレスDC モータ
(4)変わらない塊状鉄心低速ユニバーサルモータ
(5)変わらない積層鉄心高速ブラシレスDC モータ

出典:電気技術者試験センター・公式問題PDF/公式解答PDF

解答・解説

解答

正答(2)

語句を補った問題文

問7 次の文章は,交流整流子モータに関する記述である。交流整流子モータは,直流直巻電動機に類似した構造となっている。直流直巻電動機では,加える直流電圧の極性を逆にしても,磁束と電機子電流の向きが共に(ア)逆になるので,トルクの向きは変わらない。交流整流子モータは,この原理に基づき回転力を得ている。構造上の特徴として,交流整流子モータでは,磁気回路の磁束が交番するので,界磁鉄心および継鉄を(イ)積層鉄心としていることが挙げられる。交流整流子モータは,一般に始動トルクが大きく,回転速度が(ウ)高速なので,電気ドリル,電気掃除機,小型ミキサなどのモータとして用いられている。なお,小容量のものでは,交流と直流の両方に使用できるものもあり,(エ)ユニバーサルモータと呼ばれる。

  1. STEP1磁束と電流の同時反転からトルクの向きを判断する(−Φ)(−Iₐ)=ΦIₐ
  2. STEP2交番磁束に対応する鉄心の構造を選ぶ積層鉄心で渦電流を抑える
  3. STEP3速度と用途から残りの語句を選ぶ高速・大きな始動トルク・交直両用
機械問7:条件・図・考え方・式・解答をまとめた縦長解説
解答解説:画像内で解き方と答えを確認できます。
目次

STEP1|磁束と電流の同時反転からトルクの向きを判断する

界磁巻線と電機子が直列なので、電源の極性を逆にすると、両方の電流が同時に逆になります。界磁の電流が逆になると磁束の向きも逆になります。

トルクの方向

\[T=k\Phi I_a\]\[T\prime=k(-\Phi)(-I_a)=k\Phi I_a=T\]

磁束と電機子電流の符号が両方変わるので、積の符号は変わらないのが理由です。(ア)は「逆になる」。同じ向きとはトルクの向きのことで、電流の向きではありません。

直巻回路と正負半周期での磁束・電機子電流・トルクの符号
STEP1:磁束と電流が同時に反転しても、トルクの向きは変わりません。

STEP2|交番磁束に対応する鉄心の構造を選ぶ

交流では磁束が時間とともに変わります。鉄心内部にも誘導起電力が生じ、渦電流が流れるとI²Rの損失で発熱します。

絶縁した薄い鋼板を積み重ねると、大きな渦電流の経路を分断できます。このため界磁鉄心・継鉄を積層鉄心にします。(イ)は「積層鉄心」です。

塊状鉄心と積層鉄心の渦電流・発熱の比較
STEP2:薄板を絶縁して積層し、渦電流による発熱を抑えます。

STEP3|速度と用途から残りの語句を選ぶ

交流整流子モータは一般に高速で回り、始動トルクも大きいため、電気ドリルや掃除機、小型ミキサに用いられます。(ウ)は「高速」です。

小容量で交流・直流のどちらでも使えるものはユニバーサルモータと呼ばれます。(エ)がこの語句となり、組合せは(2)です。

最後に、3つだけ確認

極性の反転で磁束と電機子電流は両方逆になる。

交番磁束による渦電流を抑えるため積層鉄心を使う。

高速・大きな始動トルク、交直両用機はユニバーサルモータ。

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