【電験3種】令和8年度上期 法規 問12|B種接地線の電流

令和8年度上期 法規 問12 B種接地線に流れる電流

絶縁が劣化した一相から流れる電流と、B種接地線を流れる電流を区別します。中性点の対地電圧を置くと、3相の対地静電容量を含む式を順番に導けます。

問題文と選択肢|【電験3種】令和8年度上期 法規 問12

令和8年度上期 法規 問12の公式問題
公式問題PDFから問題文・図・選択肢を切り抜きました。

問題文

問12 図に示すような,相電圧E[V],周波数f[Hz]の対称三相3線式低圧電路があり,変圧器の中性点にB種接地工事が施されている。B種接地工事の接地抵抗値をRB[Ω],電路の一相当たりの対地静電容量をC[F]とする。

この電路の絶縁抵抗が劣化により,電路の一相のみが絶縁抵抗値RG[Ω]に低下した。このとき,次の(a)及び(b)に答えよ。

ただし,上記以外のインピーダンスは無視するものとする。

問12の中性点接地抵抗、絶縁抵抗、各相対地容量の公式回路図
公式問題から回路図部分を切り抜いて掲載しています。

(a) 劣化により一相のみが絶縁抵抗値RG[Ω]に低下したとき,B種接地工事の接地線に流れる電流の大きさをIB[A]とする。このIBを表す式として,正しいのは次のうちどれか。

ただし,他の相の対地コンダクタンスは無視するものとする。

(1)

\[\frac{E}{\sqrt{R_B^2+36\pi^2 f^2C^2R_B^2R_G^2}}\]

(2)

\[\frac{3E}{\sqrt{(R_G+R_B)^2+4\pi^2 f^2C^2R_B^2R_G^2}}\]

(3)

\[\frac{E}{\sqrt{(R_G+R_B)^2+4\pi^2 f^2C^2R_B^2R_G^2}}\]

(4)

\[\frac{E}{\sqrt{R_G^2+36\pi^2 f^2C^2R_B^2R_G^2}}\]

(5)

\[\frac{E}{\sqrt{(R_G+R_B)^2+36\pi^2 f^2C^2R_B^2R_G^2}}\]

(b) 相電圧Eを100 V,周波数fを50 Hz,対地静電容量Cを0.1 μF,絶縁抵抗値RGを100 Ω,接地抵抗値RBを15 Ωとするとき,上記(a)のIBの値[A]として,最も近いのは次のうちどれか。

(1) 0.87(2) 0.99(3) 1.74(4) 2.61(5) 6.67

出典:電気技術者試験センター・公式問題PDF/公式解答PDF

解答・解説

解答

(a)(5)
(b)(1)|0.87 A

  1. STEP1中性点の対地電圧と3相の電圧を置く対称三相では相電圧のベクトル和が0
  2. STEP2大地へ流れる電流を合計し、接地線電流の式を導く(a)容量電流の和は3jωCVn
  3. STEP3μFをFに直して数値を代入する(b)0.1 μF=1.0×10⁻⁷ F
法規問12:条件・図・考え方・式・解答をまとめた縦長解説
解答解説:画像内で解き方と答えを確認できます。
法規問12:条件・図・考え方・式・解答をまとめた縦長解説
解答解説:画像内で解き方と答えを確認できます。
目次

STEP1|中性点の対地電圧と3相の電圧を置く

大地を電圧0の基準とし、中性点の対地電圧をVnとします。中性点から見た相電圧をEa、Eb、Ecとすると、各相の対地電圧はVn+Eaなどになります。

相電圧は位相が120度ずつ異なるため、ベクトルとして足すと0です。単に大きさEを3倍することはできません。

対称三相の関係

\[\underline E_a+\underline E_b+\underline E_c=0\]

下線は交流の位相を含む複素数(フェーザ)を表します。以後、ω=2πf、jは虚数単位とします。

STEP2|大地へ流れる電流を合計し、接地線電流の式を導く

中性点から大地への電流はVn/RB、劣化したa相から大地への電流は(Vn+Ea)/RGです。コンデンサの電流はjωC×電圧なので、各相の容量電流も足します。

大地へ向かう電流の和=0

\[\frac{\underline V_n}{R_B}+\frac{\underline V_n+\underline E_a}{R_G}\]\[+j\omega C\{3\underline V_n+\underline E_a+\underline E_b+\underline E_c\}=0\]

相電圧の和は0なので、容量電流の項は3jωCVnとなります。整理して、接地線電流Vn/RBを求めます。

接地線電流の複素数表示

\[\underline I_B=-\frac{\underline E_a}{R_B+R_G+3j\omega C R_B R_G}\]

符号は電流の向きの取り方によります。問題が求める大きさは複素数の絶対値です。実数部分と虚数部分をそれぞれ2乗して足し、平方根を取ります。

電流の大きさ

\[I_B=\frac{E}{\sqrt{(R_G+R_B)^2+(3\omega C R_B R_G)^2}}\]\[=\frac{E}{\sqrt{(R_G+R_B)^2+36\pi^2f^2C^2R_B^2R_G^2}}\]

したがって (a)(5)。

RGを流れる電流と、RBの接地線電流は同じとは限りません。対地静電容量にも電流が流れるためです。

中性点の電圧と3相の容量電流から接地線電流を導く図
STEP2:3相の電圧の和が0でも、中性点の対地電圧による容量電流は残ります。

STEP3|μFをFに直して数値を代入する

単位をそろえる

\[C=0.1\times10^{-6}=1.0\times10^{-7}\ \mathrm F\]

分母の実数部分と容量による項

\[R_G+R_B=100+15=115\ \Omega\]\[3\omega C R_B R_G=6\pi\times50\times10^{-7}\times15\times100=0.14137\ \Omega\]

接地線電流

\[I_B=\frac{100}{\sqrt{115^2+0.14137^2}}=0.86956\ \mathrm A\]

最も近いのは (b)(1)0.87 A。

この数値では容量による項は115 Ωに比べて小さいため、100/115≒0.87 Aとも整合します。ただし、(a)の一般式から容量の項を省いてよいという意味ではありません。

0.1 μFをFへ変換し接地線電流0.87 Aを求める図
STEP3:単位変換を済ませてから代入します。

最後に、3つだけ確認

中性点の対地電圧Vnを置き、各相の対地電圧をVn+相電圧で表す。

3相の相電圧の和は0。容量電流の合計には3jωCVnが残る。

求めるのはB種接地線電流の大きさ。0.1 μFは1.0×10⁻⁷ F。

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