直流機12【電験3種 機械】他励電動機の回転速度とは?令和6年度上期 A問題2 完全解説

電験3種 機械科目 直流機 令和6年度上期 A問題2 逆起電力が速度を決める!他励電動機の回転数

電験3種の機械科目で頻出の直流他励電動機の速度制御。本記事では、令和6年度上期 A問題2で問われた、入力電圧を変えたときの回転速度を求める計算問題を解説します。

本問は平成21年度 A問題2とまったく同じ問題の再出題です。カギは \( V=E+I_aR_a \)\( E\propto n \)。E を求めて比例計算するだけです。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】平成21年度A問題2 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

令和6年度上期 機械科目 A問題2:問題文と選択肢

速度を決めているのが何なのかを確かめながら進めます。

直流機12【電験3種 機械】他励電動機の回転速度とは?令和6年度上期 A問題2 完全解説 問題文
令和6年度上期 機械科目 A問題2 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題2

電験3種 機械科目 【直流機】 令和6年度上期 A問題2

電機子回路の抵抗が 0.20 [Ω] の直流他励電動機がある。励磁電流、電機子電流とも一定になるように制御されており、電機子電流は 50 [A] である。回転速度が 1200 [min⁻¹] のとき、電機子回路への入力電圧は 110 [V] であった。励磁電流、電機子電流を一定に保ったまま電動機の負荷を変化させたところ、入力電圧が 80 [V] となった。このときの回転速度 [min⁻¹] の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、電機子反作用はなく、ブラシの抵抗は無視できるものとする。

(1) 764  (2) 840  (3) 873  (4) 900  (5) 960

出題のポイント:逆起電力は「速度の代弁者」

直流電動機の速度計算では、端子電圧ではなく逆起電力 E を見るのが鉄則です。なぜでしょうか。E=kEφn という式が、E と n を直結しているからです。

磁束 φ が一定なら、E は n の「代弁者」——E が1割増えたなら、速度も必ず1割増えていると言い切れます。一方端子電圧 V は、E に抵抗降下という「不純物」が混ざった量なので、速度をそのまま代弁してはくれません。

端子電圧から不純物を取り除く

\( V=\underbrace{E}_{\text{速度を代弁}}+\underbrace{I_aR_a}_{\text{捨てられる分}} \)

\( \phi\ \text{一定} \;\Rightarrow\; E=k_E\phi n \;\Rightarrow\; n\propto E \)

まず IaRa を取り除いて E にしてから比を取る——これが直流機の速度計算の作法です。

本問では電機子電流が50 A に制御されているので、取り除く量は 50×0.20=10 V で両方とも同じ110 V からも80 V からも同じ10 V を引くだけで、話が済みます。

電機子回路、界磁一定、逆起電力比を整理した着眼点図
端子電圧比ではなく逆起電力比で速度を求める

問題の解説:引いてから比を取る

\( I_aR_a=50\times0.20=10\ \mathrm{V} \)
❶ 取り除く量(共通)
電流が一定に制御されているので、この10 V は最後まで変わらない。
\( E_1=110-10=100\ \mathrm{V} \)
❷ 1200 min-1 のときの逆起電力
\( E_2=80-10=70\ \mathrm{V} \)
❸ 入力電圧80 V のときの逆起電力
\( n_2=1200\times\dfrac{E_2}{E_1}=1200\times\dfrac{70}{100} \)
❹ n ∝ E
70/100=0.70。端子電圧の比 80/110=0.727 とは別物。
\( n_2=840\ \mathrm{min^{-1}} \)
❺ 答え
答え回転速度 840 min-1(2) / 検算:840/1200=0.70、100×0.70=70 V ✓
端子電圧110Vと80Vの逆起電力を比較して速度比を求める図
端子電圧比ではなく逆起電力比70対100を使用
逆起電力100Vと70Vから回転速度840毎分を求める3ステップ解説図
回転速度は840min⁻¹で正解は(2)

なぜ端子電圧の比では駄目なのか、数字で見る

端子電圧は27 % 減、逆起電力は30 % 減——同じ状況を見ているのに、減り方が違います。その理由は「同じ量を引かれると、もとが小さいほうが割合として大きく減る」という単純な算数です。

変更前変更後減少率
端子電圧 V110 V80 V27.3 % 減
抵抗降下 IaRa10 V10 V0 %(変わらない)
逆起電力 E100 V70 V30.0 % 減
回転速度 n1200 min-1840 min-130.0 % 減

速度の減少率30 % は、逆起電力の減少率とぴったり一致しています。端子電圧の27.3 % とは一致しません。「速度と歩調を合わせているのは E である」ことが、この表からはっきり読み取れます。

電機子抵抗が小さいほど、この差は縮まります。もし Ra=0.02 Ω なら抵抗降下は1 V となり、E1=109、E2=79 で比は0.725——端子電圧の比0.727 とほぼ同じになります。大形機で「端子電圧の比でよい」と近似できるのは、抵抗降下が小さいからです。試験問題では抵抗をあえて大きめに設定して、この近似が通じないようにしてあります

この運転は何をしているのか

問題文の「電機子電流を一定に保ったまま負荷を変化させた」という設定を、電力の流れで見ておきましょう。

1200 min-1840 min-1
電気入力 VIa110×50=5 500 W80×50=4 000 W
銅損 Ia2Ra500 W500 W(変わらない)
機械出力 EIa100×50=5 000 W70×50=3 500 W
トルク T ∝ φIa一定一定(同じ)
効率 E/V90.9 %87.5 %

トルクは変わらず、速度だけが落ちて出力が減っています。これは定トルク領域の速度制御そのものです。銅損だけは電流が同じなので変わらないため、出力が減るほど効率が悪くなる——低速運転で効率が落ちる理由がここにあります。

★同一問題:平成21年度 A問題1(A問題2)と完全に同じ

この問題は平成21年度 A問題2とまったく同じ問題です。電機子抵抗0.20 Ω、電機子電流50 A、1200 min-1、110 V → 80 V——数値も選択肢も、正解の(2)840 min-1 まで完全に一致しています。

平成21年度 A問題2令和6年度上期 A問題2
電機子抵抗0.20 Ω0.20 Ω(同じ)
電機子電流50 A50 A(同じ)
条件11200 min-1・110 V同じ
条件280 V同じ
選択肢764/840/873/900/960まったく同じ並び
正解(2) 840(2) 840(番号まで同じ)

15年の間隔を置いて、数値も選択肢の並びもそのまま出題されました。ここまで完全に同じ例は珍しく、「古い年度だから」と切り捨てるのが危険だという決定的な証拠になります。

選択肢の並びが「引く/引かない」の全4通りになっている点も同じです(764=70/110、840=70/100、873=80/110、960=80/100)。出題者が「E で計算したか」だけを見ていることがよく分かる設計で、それだけこの1点が本質的だということでもあります。

⏱️ 本番での進め方
IaRa を最初に1回計算(50×0.20=10 V)。電流一定なら両方で共通。
E1・E2 を書き出してから比を取る。途中式に110や80が残っていたら間違い。
③ 比は約分(70/100=7/10)してから1200を掛ける。
④ 検算は速度の減少率と E の減少率が一致するか。どちらも30 % ✓。

💡 覚え方
逆起電力 E は速度の代弁者(φ 一定なら E∝n)。端子電圧 V は E に抵抗降下が混ざった量なので、まず IaRa を取り除いてから比を取る電流一定なら取り除く量も一定抵抗が小さいほど端子電圧比との差は縮まるが、試験では抵抗を大きめに設定して近似が通じないようにしてある。

⚠️ よくある間違い
端子電圧の比 80/110 を使うと873 min-1(→(3))になります。選択肢は「分子・分母それぞれで引いたか引かなかったか」の全4通りで用意されているので、E1=100・E2=70 と紙に書いてから比を作ることを徹底してください。

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