変圧器48【電験3種 機械】単相単巻変圧器(分路巻線・直列巻線・負荷容量)とは?令和6年度下期 A問題8 完全解説

電験3種 機械科目 変圧器 令和6年度下期 A問題8 負荷容量と自己容量の違い!単巻変圧器を攻略

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目で頻出の単巻変圧器。本記事で扱う令和6年度下期 A問題8は、【機械】平成25年度A問題8とほぼ同一の問題で、それだけ単巻変圧器の構造と容量が定番テーマであることを示しています。確実に得点できるよう解説します。

カギは巻線の共通部分=分路巻線、共通でない部分=直列巻線という名称と、負荷容量=V₂·I₂ という定義。共通巻線をもつため漏れ磁束が少なく、電圧変動率が小さいのが特徴です。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】平成25年度A問題8 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

令和6年度下期 機械科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 令和6年度下期 A問題8 問題文(単相単巻変圧器の穴埋め)
令和6年度下期 機械科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題8

電験3種 機械科目 【変圧器】 令和6年度下期 A問題8

次の文章は、単相単巻変圧器に関する記述である。

巻線の一部が一次と二次との回路に共通になっている変圧器を単巻変圧器という。巻線の共通部分を (ア)、共通でない部分を (イ) という。単巻変圧器では、(ア) の端子を一次側に接続し、(イ) の端子を二次側に接続して使用すると通常の変圧器と同じように動作する。単巻変圧器の (ウ) は、二次端子電圧と二次電流との積である。単巻変圧器は、巻線の一部が共通であるため、漏れ磁束が (エ)、電圧変動率が (オ)

空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして正しいものを選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)分路巻線直列巻線負荷容量多く小さい
(2)直列巻線分路巻線自己容量少なく小さい
(3)分路巻線直列巻線負荷容量少なく小さい
(4)分路巻線直列巻線定格容量多く大きい
(5)直列巻線分路巻線定格容量多く大きい

出題のポイント:名称・容量・特性の3点セット

単巻変圧器の問題は、聞かれることがほぼ決まっています2つの巻線の名前、2つの容量の区別、そして漏れ磁束と電圧変動率——この3点を押さえれば、どの年度でも答えられます

名前どの部分か流れる電流役割
分路巻線一次と二次に共通な部分一次電流と二次電流の差一次側に接続する
直列巻線共通でない部分二次電流(昇圧の場合)二次側に接続する

問題文が「巻線の共通部分を(ア)、共通でない部分を(イ)」と定義してくれているので、「共通=分路」という対応さえ覚えていれば(ア)(イ)は決まります

単相単巻変圧器の共通部分を分路巻線、非共通部分を直列巻線と示し負荷容量と特性を整理した図
共通部分は分路巻線、非共通部分は直列巻線で、負荷容量はV₂I₂です。

(ウ)「二次端子電圧と二次電流の積」は負荷容量

容量の呼び名意味
負荷容量\( V_2 I_2 \)実際に負荷へ供給できる容量
自己容量(固有容量)\( (V_2-V_1)I_2 \)変圧器自身が受け持つ容量。巻線の太さ・鉄心の大きさを決める
両者の比\( \dfrac{\text{自己容量}}{\text{負荷容量}}=\dfrac{V_2-V_1}{V_2} \)一次と二次の電圧が近いほど小さくなる=小型にできる

問題文の定義がそのまま \( V_2 I_2 \) ですから、(ウ)は負荷容量です。「定格容量」という語を選びたくなりますが、単巻変圧器では定格容量=自己容量を指すのが普通——負荷容量とは別物です。

用語が3つ(負荷容量・自己容量・定格容量)出てくるので、「変圧器の銘板に書かれるのは自己容量(定格容量)、実際に負荷へ送れるのは負荷容量」と整理しておくと混同しません。

単巻変圧器のカタログで「10 kV・A」と書かれていても、電圧比によっては100 kV・A の負荷を扱える——この差が単巻変圧器を選ぶ理由そのものです。

(エ)(オ)は必ずセットで動く

漏れ磁束が少ない ⇒ 漏れリアクタンスが小さい ⇒ %Z が小さい ⇒ 電圧変動率が小さい——この連鎖は一方向です。だから「少なく/小さい」または「多く/大きい」のどちらかしかありえません

選択肢に「少なく/大きい」や「多く/小さい」という食い違う組合せがあれば、その時点で誤り——内容を考えずに機械的に落とせます本問では(1)が「多く/小さい」で食い違っており、ここで消えます

そして正しいのは「少なく/小さい」のほうです。巻線の一部が共通なのだから、その部分では一次と二次が別々の磁束を持ちようがない——構造から考えれば「少なく」だと分かります

令和6年度下期機械A問題8の単巻変圧器の5空欄と正解3を示す解答図
分路巻線、直列巻線、負荷容量、少なく、小さいの組合せから正解は(3)です。
令和6年度下期機械A問題8の単巻変圧器の5空欄と正解3を示す解答図
分路巻線、直列巻線、負荷容量、少なく、小さいの組合せから正解は(3)です。
答え(ア)分路巻線 (イ)直列巻線 (ウ)負荷容量 (エ)少なく (オ)小さい——正解は (3)です。

★同じ問題が平成25年度にも出ている(答えの番号は違う)

本問は平成25年度 A問題8とほぼ同一の問題です(変圧器47:単相単巻変圧器(分路巻線・直列巻線・負荷容量))。問題文はほぼそのまま、選択肢の並び順だけが変わっています

平成25年度 問8令和6年度下期 問8(本問)
問題文同じ同じ
入る語分路/直列/負荷容量/少なく/小さい同じ
正解の番号(4)(3)

⚠️ よくある間違い
過去問を「平成25年A問題8の答えは(4)」と番号で暗記していると、本問で(4)を選んで失点します。11年ぶりの再出題で、番号だけが変わっている——これは出題側が「番号暗記では通らない」と示しているに等しいでしょう。

裏を返せば、内容さえ理解していれば11年後も同じように得点できるということです。単巻変圧器は出題パターンが固定されており、投資効率の高いテーマ——2問セットで解いて、語のほうを body に入れておきましょう

単巻変圧器は実際どこで使われているのか

一次と二次が絶縁されないという欠点があるにもかかわらず、単巻変圧器は身近なところで使われています共通するのは「一次と二次の電圧が近い」用途です。

用途どう使うか単巻が有利な理由
配電線路の電圧調整器長い配電線の途中に入れて、電圧降下分を持ち上げる持ち上げるのは数%なので自己容量がごく小さい
誘導電動機の始動補償器始動時だけ電圧を下げて、突入電流を抑える短時間しか使わないので小型・安価にしたい
スライダック(摺動形単巻変圧器)接触子を動かして出力電圧を連続的に変える1つの巻線でよいので構造が単純
系統連系用の大形変圧器275 kV と500 kV のように、比較的近い電圧階級をつなぐ同容量の二巻線変圧器より大幅に小型・安価

とくに最後の系統連系用が印象的です。275 kV と500 kV をつなぐ場合、自己容量は負荷容量の 1−275/500=45 %——半分以下の大きさの変圧器で済みます超高圧の大形変圧器は輸送も設置も大変なので、この差は決定的です。

この用途では絶縁されないことも問題になりませんどちらも高圧の系統どうしで、人が触れる部分ではないからです。「絶縁が要らない場面でこそ単巻変圧器が効く」と言い換えられます。

逆に使えない場面

低圧側に人が触れる可能性がある用途では、単巻変圧器は使えません高圧側の電位がそのまま低圧側に現れるので、一次側で地絡が起きれば低圧側にも高電圧が出てきます

だから家庭用のアダプタや、医療機器のように絶縁が必須の用途では二巻線変圧器が使われます。絶縁だけを目的として巻数比1:1で作る変圧器(絶縁変圧器)があるのも、絶縁そのものに価値があるからです。

単巻変圧器と絶縁変圧器は、まさに正反対の設計思想——片方は「共通部分を作って小型化する」、もう片方は「共通部分を作らないこと自体が目的」2つを対にして覚えると、どちらの特徴も忘れません

⏱️ 本番での進め方
①(エ)(オ)の整合性で肢を落とす。「少なく/大きい」は矛盾。
②(ウ)は問題文の定義 V2I2 がそのまま負荷容量。
③(ア)は「共通=分路」。名前の意味で決まる。
④ 答えの番号は年度で変わる。語を覚えて、その場で番号を探す。

💡 覚え方
「共通は分路、外側は直列、V2I2は負荷容量、漏れ少なく変動小さい」——この1文がそのまま5つの空欄の答えです。年度が変わっても中身は変わりません

単巻変圧器の負荷容量V₂I₂と自己容量括弧V₂マイナスV₁括弧I₂を比較した構造図
自己容量は直列巻線が磁気作用で受け持つ容量で、負荷容量より小さくなります。
単巻変圧器の負荷容量V₂I₂と自己容量括弧V₂マイナスV₁括弧I₂を比較した構造図
自己容量は直列巻線が磁気作用で受け持つ容量で、負荷容量より小さくなります。
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