誘導機68【電験3種 機械】V/f比は撹乱条件!同期速度は電源周波数66Hzで作る 1320×0.95=1254 平成19年度 A問題4 完全解説

電験3種 機械科目 誘導機 平成19年度 A問題4 同期速度を作るのは電源周波数!66Hzで回す

今回は平成19年度 機械科目 A問題4を解説します。V/f一定制御インバータで駆動された誘導電動機の回転速度を求める、基本中の基本の計算問題です。

使う式は Ns=120f/pN=(1−s)Ns の2本だけ。ただし「V/f比=4」という数字が撹乱条件として置かれており、これに手を出すと迷子になります。インバータ駆動では、同期速度を作るのはインバータの出力周波数——ここを外さないことが全てです。

目次

平成19年度 機械科目 A問題4:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 誘導機 平成19年度 A問題4 問題文
平成19年度 機械科目 A問題4 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題4

電験3種 機械科目 【誘導機】 平成19年度 A問題4

 V/f一定制御インバータで駆動されている6極の誘導電動機がある.この電動機は,端子電圧をV[V],周波数をf[Hz]として,V/f比=4一定制御インバータによって66Hzで駆動されている.このときの滑りは5%であった.この誘導電動機の回転速度[min-1]の値として,正しいのは次のうちどれか.

V/f一定制御インバータで駆動されている6極の誘導電動機がある。この電動機は、端子電圧をV[V]、周波数をf[Hz]として、V/f比=4一定制御インバータによって66Hzで駆動されている。このときの滑りは5%であった。この誘導電動機の回転速度[min-1]の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)1 140 (2)1 200 (3)1 254 (4)1 320 (5)1 710 min-1

出題のポイント:条件を「使うもの」と「使わないもの」に仕分ける

この問題の第一関門は計算ではなく、情報の選別です。「V/f 比=4」という数字に手を出すと迷子になります——回転速度を決めるのは、極数・周波数・滑りの3つだけです。

誘導機の速度計算はこの2行だけ

\( N_s=\dfrac{120f}{p} \)  \( N=(1-s)N_s \)

この2本のどこにも電圧は現れません——だから V も V/f 比も使わなくてよいのです。

与えられた条件使うか役割
極数 6使う同期速度の分母
周波数 66 Hz使う同期速度の分子
滑り 5 %使う同期速度からの遅れ
V/f 比=4使わない磁束を一定に保つ制御条件(撹乱条件)

2ステップで解く

\( N_s=\dfrac{120\times66}{6}=1\,320\ \mathrm{min^{-1}} \)
❶ 同期速度
p は極数であって極対数ではない。6極ならそのまま6。
\( N=(1-0.05)\times1\,320=1\,254\ \mathrm{min^{-1}} \)
❷ 回転速度
1 320 の5 %=66 を引くと暗算が速い。
答え回転速度 1 254 min−1(3) / 検算:(1320−1254)/1320=0.05 ✓

では V/f 一定制御とは何なのか

答えには使いませんが、V/f 一定制御そのものは誘導機の最重要知識です。なぜ電圧と周波数をセットで動かすのかを押さえておきましょう。

磁束は電圧と周波数の比で決まる

\( E=4.44\,f\,N\,\phi \;\Rightarrow\; \phi\propto\dfrac{E}{f}\fallingdotseq\dfrac{V}{f} \)

変圧器の起電力の式とまったく同じ——誘導機は「回転する変圧器」ですから当然です。

操作V/f 比磁束何が起きるか
周波数だけ下げる上がる増える磁気飽和 → 励磁電流が急増 → 焼損
電圧だけ下げる下がる減るトルク不足(T∝V2
両方を同率で下げる一定一定トルク特性を保ったまま減速できる

「周波数だけ下げると焼ける」のが最も危険です。磁束が増えて鉄心が飽和すると、励磁電流が指数関数的に跳ね上がります——負荷をかけていなくても巻線が過熱します

だからインバータは電圧と周波数を必ずセットで動かします。V/f 一定=磁束一定=トルクを出す能力が変わらない——低速から定格速度まで、同じトルクで使えるのがこの制御の値打ちです。

本問の V/f 比=4 は、端子電圧が V=4×66=264 V だということを意味します。60 Hz なら240 V、30 Hz なら120 V——周波数に比例して電圧が決まる直線を、この比が表しています。

★同型問題:令和6年度上期 A問題4(17年ぶりの完全再出題)

この問題は令和6年度上期 A問題4として、まったく同じ問題が再出題されています。数値も選択肢も一字一句そのままです。

項目平成19年度 A問題4(本問)令和6年度上期 A問題4
極数6極6極(同じ)
周波数66 Hz66 Hz(同じ)
滑り5 %5 %(同じ)
撹乱条件V/f 比=4V/f 比=4(同じ)
答え1 254 min−11 254 min−1(同じ)
正解の番号(3)(3)(同じ)

17年という長い間隔を置いて、選択肢の並びまで含めて完全に同じ問題が出た——過去問演習の価値を、これ以上ないほど分かりやすく示す実例です。

「66 Hz」という珍しい数値も、「V/f 比=4」というダミーも、そのまま引き継がれています。基本的な計算問題ほど、長い間隔を置いて再登場する——Ns=120f/p と N=Ns(1−s) は誘導機のすべての土台ですから、出題者としても外せない論点なのでしょう。

⏱️ 本番での進め方
条件を「使う・使わない」に仕分けてから計算する。
インバータ駆動なら f はインバータの出力周波数。50/60 Hz と思い込まない。
p は極数。6極なら6を入れる(極対数の3ではない)。
(4)1 320 は同期速度——滑りを引く一手が残っている。

💡 覚え方
「Ns=120f/p、N=(1−s)Ns」の2行だけ速度問題で V や V/f 比が出てきたら撹乱条件を疑うV/f 一定制御は磁束を一定に保つための制御で、周波数だけ下げると磁気飽和して励磁電流が急増する——だから電圧もセットで下げる

⚠️ よくある間違い
V/f 比=4 を使おうとして手が止まるのが本問の罠です。速度の式に電圧は現れません。もう一つは周波数に60 を使ってしまうこと——インバータ駆動なので66 Hzです。(2)1 200 は60 Hz で計算した場合の同期速度として用意されています。

同期速度の階段は覚えてしまう

誘導機の問題では、ほぼ毎回 Ns=120f/p を計算しますよく出る組み合わせを覚えておくと、計算が速いだけでなく、極数の読み違いにも気づけます

極数50 Hz60 Hz本問の66 Hz
2極3 0003 6003 960
4極1 5001 8001 980
6極1 0001 2001 320
8極750900990

50 Hz の階段「3 000 → 1 500 → 1 000 → 750」と、60 Hz の階段「3 600 → 1 800 → 1 200 → 900」——この2列だけで、たいていの問題に対応できます

本問の66 Hz は、60 Hz の1.1倍です。だから同期速度も1 200×1.1=1 320——覚えている値から比で出すこともできます120×66/6 を計算するより速いかもしれません。

そして「答えは同期速度より少し小さい」という感覚も持っておいてください。選択肢に1 320 があれば、それは同期速度そのもの——問われているのが回転速度なら、それは答えではありません

インバータ駆動では「定格」の意味が変わる

商用電源につないだ電動機なら、周波数は50 Hz か60 Hz に固定です。ところがインバータ駆動では、周波数を自由に選べます——すると「定格回転速度」という言葉の意味が曖昧になります

商用電源駆動インバータ駆動
周波数50 または60 Hz に固定自由(本問は66 Hz)
同期速度1つに決まる周波数しだいで連続的に変わる
銘板の回転速度その機械の速度そのもの「定格周波数で回したときの値」にすぎない
定格を超える運転できないできる(ただし定出力領域に入る)

本問の66 Hz は、定格が60 Hz の機械なら1割の増速運転にあたります。インバータなら定格を超える速度も出せる——ただし電圧はもう上げられないので、V/f 比が下がって磁束が減ります

磁束が減ればトルクも減りますが、速度が上がるので出力は保たれる——直流機の弱め界磁制御とまったく同じ構図です。「定格周波数までは定トルク、それ以上は定出力」というのが、インバータ駆動の基本的な特性になります。

もっとも、本問はそこまで問うていません。V/f 比=4 という条件は「磁束が一定に保たれている」ことを示すだけで、速度の計算には最後まで登場しないのです。

まとめ

同期速度N_s=120f/p=120×66/6=1320 min-1
周波数インバータの出力周波数66Hz(商用の60Hzではない)
極数6極をそのまま代入(極対数ではない)
回転速度N=(1−s)N_s=0.95×1320=1254 min-1
V/f比=4V=264 V。回転速度の計算には使わない撹乱条件
V/f一定制御の意味φ ∝ V/f ⇒ 磁束一定 ⇒ トルク一定・磁気飽和の防止
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
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