変圧器9【電験3種 機械科目】平成24年度 問題7を解説|変圧器の電圧変動率から漏れリアクタンスを求める方法

電験3種機械科目平成24年度問題7の変圧器の電圧変動率と漏れリアクタンスを解説する表紙画像

変圧器の計算問題でつまずきやすいのが、力率が変わると式のどの項が効くのかを正しく判断するところです。特に電圧変動率の近似式は、式そのものを暗記していても、力率0と力率1で何が残るかを整理できていないと解き切れません。

この記事では、電験3種 機械科目 平成24年度 問題7を題材にして、問題文の読み取りから公式の意味、途中式、正答にたどり着くまでを順番に解説します。スライドなしでも理解できる密度で本文を書き起こしつつ、途中で最新スライド画像の挿入位置も分かるようにしています。

学習を広げたい方は、まず機械科目全体の一覧記事もあわせて確認しておくと、変圧器分野の出題位置づけがつかみやすくなります。

電験3種|機械科目|カテゴリ別 問題一覧はこちら

目次

電験3種 機械科目 平成24年度 問題7の問題文を確認する

問題文前半の条件整理

電験3種機械科目平成24年度問題7の問題文前半を掲載したスライド
問題文前半の条件整理

まず、問題文前半では、変圧器の二次電圧の変化と負荷条件が与えられています。内容は次のとおりです。

単相変圧器があり,二次側を開放して電流を流さない場合の二次電圧の大きさを100〔%〕とする。二次側にリアクトルを接続して力率0の電流を流した場合,二次電圧は5〔%〕下がって95〔%〕であった。二次側に抵抗器を接続して,前述と同じ大きさの力率1の電流を流した場合,二次電圧は2〔%〕下がって98〔%〕であった。一次巻線抵抗と一次換算した二次巻線抵抗との和は10〔Ω〕である。鉄損及び励磁電流は小さく,無視できるものとする。

ここで重要なのは、力率0のときの電圧降下が5〔%〕、力率1のときの電圧降下が2〔%〕であること、そして一次巻線抵抗と一次換算した二次巻線抵抗との和が10〔Ω〕と与えられていることです。鉄損と励磁電流は無視できるため、近似式を素直に適用できます。

問題文後半と選択肢

電験3種機械科目平成24年度問題7の問題文後半と選択肢を掲載したスライド
求める量と選択肢

問題文後半は次のとおりです。

ベクトル図を用いた電圧変動率の計算によく用いられる近似計算を利用して,一次漏れリアクタンスと一次換算した二次漏れリアクタンスとの和〔Ω〕の値を求めた。その値として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 5 (2) 10 (3) 15 (4) 20 (5) 25

ここで求めるのは、一次漏れリアクタンスと一次換算した二次漏れリアクタンスとの和です。抵抗の和ではなく、漏れリアクタンスの和である点を最初に明確にしておくと、その後の計算を間違えにくくなります。

変圧器の電圧変動率から何を求める問題か

求める量と与条件

求める量と与条件を表で整理した解説スライド
問題の要点整理

この問題を整理すると、次のようになります。

整理項目内容
求める量一次漏れリアクタンスと一次換算した二次漏れリアクタンスとの和 x〔Ω〕
与えられた抵抗分一次巻線抵抗と一次換算した二次巻線抵抗との和 = 10〔Ω〕
条件1力率0、電圧降下 5〔%〕
条件2力率1、同じ大きさの電流、電圧降下 2〔%〕
前提鉄損・励磁電流は無視、電圧変動率の近似式を用いる

この問題の核心は、力率0のときはリアクタンス成分が効き、力率1のときは抵抗成分が効くという点です。2つの条件を比べることで、短絡インピーダンスの抵抗成分とリアクタンス成分の比が求まります。

電圧変動率の近似式を使って漏れリアクタンスを解く方法

使う公式と記号の意味

変圧器の電圧変動率の近似式と記号の意味を示したスライド
解法の出発点となる近似式

この問題で使うのは、変圧器二次側の電圧変動率の近似式です。

ε = n ( p cosθ + q sinθ ) [%]

各記号の意味は次のとおりです。

記号意味
ε電圧変動率
p短絡インピーダンスの抵抗成分〔%〕
q短絡インピーダンスのリアクタンス成分〔%〕
n流した二次電流 ÷ 定格二次電流
cosθ負荷力率

この式では、力率1なら cosθ = 1、sinθ = 0 となるので抵抗成分 p が効きます。反対に、力率0なら cosθ = 0、sinθ = 1 となるのでリアクタンス成分 q が効きます。

等価回路や一次側換算の考え方をあわせて確認したい方は、次の記事もおすすめです。

平成30年 問15|変圧器の等価回路と一次電圧の求め方

力率0の条件を代入する

力率0の条件から nq=5パーセントを導く計算スライド
力率0ではリアクタンス成分が残る

問題文より、リアクトルを接続したときは力率0です。したがって、

sinθ = 1、cosθ = 0

また、二次電圧は100〔%〕から95〔%〕に下がっているので、電圧降下は

ε = 5 [%]

です。これを近似式に代入すると、

ε = n ( p cosθ + q sinθ )

= n ( p × 0 + q × 1 )

= nq

となるので、

nq = 5 [%]

を得ます。ここでは、リアクトル負荷なのでリアクタンス成分が残ると整理できれば十分です。

力率1の条件を代入する

力率1の条件から np=2パーセントを導く計算スライド
力率1では抵抗成分が残る

次に、抵抗器を接続したときは力率1です。したがって、

cosθ = 1、sinθ = 0

また、二次電圧は100〔%〕から98〔%〕に下がっているので、

ε = 2 [%]

です。よって、近似式に代入すると、

ε = n ( p cosθ + q sinθ )

= n ( p × 1 + q × 0 )

= np

となり、

np = 2 [%]

を得ます。ここで、問題文には前述と同じ大きさの力率1の電流とあるため、n は先ほどと共通です。したがって、nq と np の比から q/p を直接求められます。

比を使って漏れリアクタンスを求める

nqとnpの比から漏れリアクタンスの和25オームを求めるスライド
比を使って最終解答へ進む

ここまでで、

nq = 5 [%]、np = 2 [%]

が分かりました。両式の比をとると、

nq / np = q / p = 5 / 2 = 2.5

となります。ここで、p は抵抗成分、q はリアクタンス成分なので、比 q/p は実際のリアクタンス和と抵抗和の比に対応すると考えられます。

問題文より、抵抗和は10〔Ω〕です。したがって、求めるリアクタンス和を x〔Ω〕とすると、

x / 10 = 2.5

より、

x = 10 × 2.5 = 25 [Ω]

となります。したがって、正答は (5) 25です。

同じく漏れリアクタンスを扱う類題として、短絡試験から求めるタイプもあわせて確認しておくと理解が深まります。

令和4年度上期 問8|変圧器の短絡試験から漏れリアクタンスを求める方法

電験3種の試験で間違えやすいポイント

よくあるミスと注意点

力率ごとの残る項と正答25オームを整理したまとめスライド
試験での注意点と最終確認

この問題では、次のようなミスが起こりやすいです。


  • 力率0なのに抵抗成分 p を残してしまうこと
    力率0では cosθ = 0 なので、抵抗成分の項は消えます。



  • 力率1なのにリアクタンス成分 q を残してしまうこと
    力率1では sinθ = 0 なので、リアクタンス成分の項は消えます。



  • 5〔%〕や2〔%〕をそのまま〔Ω〕に結びつけてしまうこと
    まず ( q/p ) の比を出し、その後で抵抗和10〔Ω〕に対応させる必要があります。



  • 10〔Ω〕を答えだと思ってしまうこと
    与えられているのは抵抗和であり、求めるのは漏れリアクタンスの和です。


この問題は計算量自体は大きくありませんが、式のどの項が残るかを力率で判断できるかが得点の分かれ目です。

関連記事で理解を深める

回遊率を高めるためにも、本記事のあとに次の関連記事を読む流れがおすすめです。論点が近い順に並べておくと、学習の連続性が高まります。

おすすめ順記事タイトル読む目的
1変圧器4【電験3種 機械】変圧器の短絡試験から漏れリアクタンスを求める方法(令和4年上期 問8)漏れリアクタンスを別解法で理解するため
2変圧器2【電験3種 機械】平成19年 問7 完全解説|変圧器の短絡試験から漏れリアクタンスを求める類題演習で定着度を上げるため
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5変圧器1【電験3種】機械・令和6年上期 問9 過去問解説|変圧器の短絡試験と漏れリアクタンスの求め方新しめの関連記事へ進むため

まとめ

この記事では、電験3種 機械科目 平成24年度 問題7について、変圧器の電圧変動率の近似式を使う解き方を整理しました。ポイントは、力率0ではリアクタンス成分が効き、力率1では抵抗成分が効くことです。そして、同じ大きさの電流を流しているため n が共通になり、比をとることで q/p を求められます。

要点をまとめると、次のとおりです。

  • 力率0の条件から nq = 5 [%] を得る
  • 力率1の条件から np = 2 [%] を得る
  • 比をとって q/p = 5/2 = 2.5 を得る
  • 抵抗和10〔Ω〕に対応させて、漏れリアクタンス和は x = 25 [Ω] となる
  • 正答は (5) 25

記事を読んだあとに類題へ進む場合は、短絡試験型の問題と等価回路型の問題を続けて解くと、変圧器分野の理解が安定しやすくなります。

よくあるミス / 注意点

  1. 問題文の「同じ大きさの電流」を見落として、n が共通であることを使わない。
  2. 力率0と力率1で、sinθ と cosθ の値を逆にしてしまう。
  3. 抵抗和10〔Ω〕と、求める漏れリアクタンス和を混同してしまう。
  4. 最後に選択肢番号まで確認せず、数値だけで止めてしまう。

FAQ

Q1. なぜ力率0ではリアクタンス成分だけが残るのですか。

力率0では、cosθ = 0 かつ sinθ = 1 となるため、近似式 ε = n ( p cosθ + q sinθ ) では抵抗成分の項が消え、リアクタンス成分の項だけが残るからです。

Q2. なぜ ( q/p ) が実際のリアクタンス和と抵抗和の比に対応するのですか。

この問題では、p と q を同じ基準で表した短絡インピーダンスの成分として扱っているため、その比は対応する実際の抵抗分とリアクタンス分の比に対応します。したがって、抵抗和10〔Ω〕に対して同じ比を使えます。

Q3. この問題で最初に確認すべきことは何ですか。

最初に確認すべきなのは、求める量が漏れリアクタンスの和であり、与えられている10〔Ω〕は抵抗和であるという点です。ここを取り違えると、その後の計算が合っていても正答にたどり着けません。

Q4. 次に読むべき関連記事はどれですか。

まずは、漏れリアクタンスを別解法で扱う短絡試験型の問題がおすすめです。具体的には、令和4年度上期 問8や平成19年 問7が本記事とのつながりが強いです。

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