技術基準の計算26【電験3種 法規】充電電流1.17A・補償リアクトル3台!18年後の令和7年度下期で再出題 平成19年度 B問題11 完全解説

電験3種 法規科目 技術基準の計算 平成19年度 B問題11 18年ぶりに完全同一で再出題!3台が答え

今回は平成19年度 法規科目 B問題11高圧CVケーブルの交流絶縁耐力試験の計算問題です。驚くべきことに、18年後の令和7年度下期 B問題12で数値も選択肢もそのまま再出題されました。

流れは3ステップ。①試験電圧=最大使用電圧×1.5 ②充電電流 Ic=2πfCV ③変圧器で足りない分を補償リアクトルで打ち消す(台数は切り上げ)

目次

平成19年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成19年度 B問題11 問題文
平成19年度 法規科目 B問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11

電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成19年度 B問題11

 「電気設備技術基準の解釈」に基づいて、最大使用電圧が6.9kVの電路に接続する、導体断面積100mm²、長さ800mの高圧CVケーブル(単心)の絶縁耐力試験を交流で実施する場合について、次の(a)及び(b)に答えよ。

 ただし、周波数は50Hz、ケーブルの対地静電容量は1km当たり0.45μFとする。

(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、過去問データに基づいて問題文を再構成しています。

(a) ケーブルに試験電圧を印加した場合の充電電流[A]の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)0.78 (2)1.17 (3)1.46 (4)2.34 (5)3.51 A

(b) 試験用変圧器の容量を5kV·Aとしたとき、補償リアクトルの必要最少の設置台数として、正しいのは次のうちどれか。ただし、試験電圧を印加したとき、1台の補償リアクトルに流すことができる電流(電流容量)は270mAとする。

(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5 台

答え(a)I_c≒1.17A = (2)/(b)補償リアクトル3台 = (3)

答えは(a)1.17A・(b)3台

電気設備技術基準の解釈 第15条ほか

★最大使用電圧7 000V以下の電路の交流試験電圧=最大使用電圧の1.5倍/★充電電流 I_c = 2πfCV/★試験用変圧器が供給できる電流 I_T = S/V/★不足分を補償リアクトル(遅れ電流)で打ち消す

★18年後の令和7年度下期に、数値も選択肢もそのまま再出題されました。

絶縁耐力試験を「実施する側」の計算です——実務そのままの出題

この記事は、補償リアクトルの原理を主軸にします

★STEP1:試験電圧と静電容量

$$V = 6900 \times 1.5 = 10350\,\mathrm{[V]}$$
最大使用電圧6.9kVの1.5倍
7 000V以下なので倍率は1.5
$$C = 0.45 \times 0.8 = 0.36\,\mathrm{[\mu F]}$$
1kmあたり0.45μF、長さ800m
★単心ケーブル1条なので3倍しない

単心ケーブルなので、3相分に換算する必要はありません——1条ずつ試験するからです。

導体断面積100mm²は使いません——静電容量が直接与えられているので撹乱情報です。

★STEP2:充電電流を求める

$$I_c = 2\pi f C V$$
静電容量に流れる充電電流
コンデンサの基本式
$$I_c = 2\pi \times 50 \times 0.36\times 10^{-6} \times 10350$$
f=50Hz、C=0.36μF、V=10 350Vを代入
μF→Fの換算に注意
$$I_c \approx 1.17\,\mathrm{[A]}$$
計算結果
(a)の答えは(2)

2π×50≒314——314×0.36×10⁻⁶×10 350≒1.17と計算できます。

800mのケーブルで1A以上の充電電流——ケーブルの静電容量の大きさが実感できます

★STEP3:試験用変圧器が供給できる電流

$$I_T = \dfrac{S}{V} = \dfrac{5000}{10350} \approx 0.483\,\mathrm{[A]}$$
容量5kV·Aの変圧器が試験電圧10 350Vで供給できる電流
皮相電力を電圧で割る
$$I_c – I_T = 1.1706 – 0.4831 \approx 0.688\,\mathrm{[A]}$$
変圧器が負担できない分
この分を補償リアクトルで打ち消す

充電電流1.17Aに対し、変圧器は0.48Aしか出せません——このままでは試験できないのです。

足りない0.69Aをどうするか——そこで補償リアクトルの出番です。

★★補償リアクトルの原理

$$I_C = 2\pi f C V \quad (\text{電圧より90°進み})$$
ケーブルに流れる充電電流
容量性なので進み電流
$$I_L = \dfrac{V}{2\pi f L} \quad (\text{電圧より90°遅れ})$$
リアクトルに流れる電流
誘導性なので遅れ電流
I = |I_C – I_L|
電源から供給する電流
向きが逆なので打ち消し合う

進み電流と遅れ電流は、位相が180度違います——だから足すのではなく引き算になるのです。

ケーブルとリアクトルの間で電流が往復する——電源からは差分だけを供給すればよいのです。

これは進相コンデンサによる力率改善とまったく同じ原理——電力科目とつながります

★STEP4:補償リアクトルの台数

$$n = \dfrac{0.688}{0.27} \approx 2.55$$
1台あたり270mAで割る
必要な台数
$$n = 3\,\text{台}$$
「必要最少の台数」なので切り上げ
2台では足りない

2.55台という台数は存在しません——切り上げて3台です。

2台なら0.54Aしか打ち消せず、変圧器の負担は1.17−0.54=0.63A——0.48Aを超えるので不足です。

「必要最少」という語が切り上げを指示しています

★リアクトルの接続方法

接続内容
★並列接続★★試験電圧に対してケーブルと並列に接続する
★台数を増やす★★並列台数に比例して遅れ電流が増える
★過補償★★リアクトルが多すぎると今度は遅れ電流が余る

並列に接続するので、台数分の電流が加算されます——270mA×3=810mA

810mAで1.17Aを打ち消すと、残りは0.36A——変圧器の0.48A以内に収まります

なぜケーブルは充電電流が大きいのか

$$C = \dfrac{2\pi\varepsilon l}{\ln(D/d)}$$
同軸構造の静電容量
導体と遮へい層の距離が近いほど大きい

ケーブルは導体のすぐ外側に遮へい層があります——距離が近いので静電容量が大きいのです。

架空線は導体と大地が遠く、静電容量はごく小さい——だから充電電流も問題になりません

この違いが、ケーブルに直流試験が認められる理由でもあります。

直流試験なら装置は小さくて済む

交流試験直流試験
★試験電圧★★10 350V★★20 700V(2倍)
★流れる電流★★充電電流1.17A★★漏れ電流のみ(μA〜mA)
★必要な容量★★12kV·A程度★★数百V·A

直流なら小型の装置で済みます——だから解釈が直流での代替を認めているのです。

本問はあえて交流で実施する場合の計算——補償リアクトルを使う実務です。

試験電圧の倍率表

最大使用電圧倍率最低値
★7 000V以下★★1.5倍★★500V
★7 000V超 60 000V以下★★1.25倍★★10 500V
★60 000V超(中性点接地式)★★1.1倍★★75 000V

本問は6.9kVなので7 000V以下、倍率は1.5です。

加圧時間はどの階級でも連続10分間——本問では問われていませんが、必ず押さえます

⏱️ 本番での進め方
① 試験電圧は最大使用電圧×1.5
I_c=2πfCV——単心ケーブル1条なら3倍しない。
③ 変圧器が出せる電流はI_T=S/V
④ 台数は不足分÷1台の容量、切り上げ

💡 覚え方
ケーブルの絶縁耐力試験=①試験電圧V=最大使用電圧×1.5 ②充電電流I_c=2πfCV ③試験用変圧器が供給できる電流I_T=S/V ④不足分(I_c−I_T)を補償リアクトルの遅れ電流で打ち消す ⑤台数=不足分÷1台の電流容量、必要最少なので切り上げ。

⚠️ よくある間違い
単心ケーブル1条なら静電容量を3倍しない導体断面積は撹乱情報——静電容量が与えられていれば使わない。台数は切り上げ——2.55なら3台。

まとめ

試験電圧6 900×1.5=10 350 V
静電容量0.45μF/km×0.8km=0.36 μF
(a)充電電流2πfCV≒1.17 A →(2)
変圧器の電流5 000/10 350≒0.483 A
不足分1.171−0.483≒0.688 A
(b)台数0.688/0.27≒2.55→3台 →(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(技術基準の計算2):【法規】令和7年度下期 B問題12
・受電設備の絶縁耐力試験(技術基準の計算5):【法規】令和6年度下期 B問題13

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