今回は平成18年度 法規科目 A問題4、非常用予備電源の施設の空欄補充問題です。短い条文ですが、なぜそう定めるのかを理解すれば絶対に忘れません。
趣旨は逆送電(逆充電)の防止。停電時に自家発電した電気が配電線へ流れ出すと、停電したはずの電線が生きていて、復旧作業中の作業員が感電します。だから系統側とは電気的に接続しないのです。
平成18年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成18年度 A問題4
次の文章は、「電気設備技術基準」における非常用予備電源の施設に関する記述である。
常用電源の(ア)に使用する非常用予備電源((イ)に施設するものに限る。)は、(イ)以外の場所に施設する電路であって、常用電源側のものと(ウ)に接続しないように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(注)平成18年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(ア) (イ) (ウ) (1) 停電時 発電所 電気的 (2) 過負荷時 発電所 機械的 (3) 停電時 需要場所 電気的 (4) 過負荷時 発電所 電気的 (5) 遮断時 需要場所 機械的

答えは(3):停電時・需要場所・電気的
(ア)は「停電時」——系統からの電気が来なくなったときに立ち上がる設備です。
(イ)は「需要場所」——工場やビルの自家発電設備が対象です。
(ウ)は「電気的」——機械的ではありません。
★逆送電がなぜ危険なのか
| 段階 | 起きること |
| ★① | ★★配電線が停電し、復旧作業が始まる |
| ★② | ★★作業員は電線を切り離し、無電圧を確認する |
| ★③ | ★★需要家の自家発電が系統へ逆流していると… |
| ★④ | ★★切ったはずの電線が充電されていて感電 |
停電しているはずの電線が生きている——これほど危険なことはありません。
作業員は「電気が来ていない」と思って触れます——思い込みが事故を招く典型です。
だから条文は、電気的に接続しないことを明確に求めています。
★実務ではインターロックで防ぐ
| 方法 | 内容 |
| ★機械的インターロック | ★★常用と非常用が同時に閉じない構造にする |
| ★電気的インターロック | ★★一方が閉じていると他方が閉じられない回路 |
| ★切替開閉器 | ★★常用と非常用を切り替える専用の開閉器 |
物理的に同時投入できない構造にするのが確実です——人の注意力に頼らないのです。
条文が求めるのは結果(電気的に接続しない)です——方法は問いません。性能規定の考え方です。
系統連系との違い
| 非常用予備電源 | 系統連系(分散型電源) | |
| ★系統との接続 | ★★してはならない | ★★する(逆潮流もありうる) |
| ★保護 | ★★切替開閉器で分離 | ★★単独運転検出装置など |
| ★根拠 | ★★電技60条 | ★★解釈220条以下 |
太陽光のように系統とつなぐ発電設備は、別の規定で守られます——単独運転検出装置などで安全を確保します。
非常用予備電源は、つながないことで安全を確保する——考え方がまったく違います。
「需要場所」という限定
条文は「需要場所に施設するものに限る」と限定しています——工場・ビル・病院の自家発電設備が対象です。
発電所の非常用電源は、この条文の対象ではありません——そもそも系統に送るための設備だからです。
「発電所」を選ぶと、条文の趣旨とかみ合いません。
非常用予備電源の種類
| 種類 | 特徴 |
| ★非常用発電機 | ★★ディーゼル・ガスタービンで発電する |
| ★無停電電源装置(UPS) | ★★蓄電池で瞬断なく供給する |
| ★直流電源装置 | ★★遮断器の操作電源などに使う |
病院やデータセンターでは、停電が許されません——だから非常用予備電源が欠かせないのです。
いずれも系統とは切り離して使うのが原則です。
「停電時」という言葉の選び方
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 停電時 | ★★停電時 | ★過負荷時 | ★★非常用電源は電気が来なくなったときに動く |
| 需要場所 | ★★需要場所 | ★発電所 | ★★対象は需要家側の設備 |
| 電気的 | ★★電気的 | ★機械的 | ★★電気がつながらなければよい |
「過負荷時」だと、電気は来ているのに動く設備になります——非常用予備電源の性格と合いません。
「遮断時」も同様です——停電という結果を指す語が正確です。
消防法との関係
非常用発電機は、消防法でも設置が義務づけられることがあります——スプリンクラーや非常用エレベータを動かすためです。
その工事には、特種電気工事資格者が必要です——非常用予備発電装置工事は特殊電気工事だからです。
電気工事士法とつながっている——法規の条文どうしは思わぬところでつながります。
非常用予備電源が必要な施設
| 施設 | 止まると困るもの |
| ★病院 | ★★手術室・人工呼吸器 |
| ★データセンター | ★★サーバ・空調 |
| ★高層ビル | ★★非常用エレベータ・排煙設備 |
| ★工場 | ★★連続運転する生産設備 |
停電が人命や事業に直結する施設では、欠かせない設備です。
だからこそ、系統への逆送電を確実に防ぐ必要があります——安全のための設備が、別の危険を生んではいけないのです。
単独運転という言葉
系統が停電しているのに、分散型電源だけが運転を続ける状態を単独運転といいます。
太陽光などの系統連系設備では、これを検出して停止させます——単独運転検出装置です。
非常用予備電源の場合は、そもそもつながないことで防ぎます——アプローチが違うだけで、狙いは同じです。
常用と非常用の切替
| 状態 | 常用側 | 非常用側 |
| ★平常時 | ★★閉 | ★★開 |
| ★停電時 | ★★開 | ★★閉 |
| ★同時に閉 | ★★— | ★禁止(インターロックで防ぐ) |
どちらか一方しか閉じない——これが電気的に接続しないということです。
切替の瞬間も、両方が同時に閉じてはいけません——いったん両方開いてから切り替えるのが基本です。
短い条文ですが、背後にあるのは作業員の命です——だから条文の趣旨から覚えるのがいちばん確実です。
逆送電を防ぐ、この一点さえ押さえれば全部埋まります。
需要場所という語の意味
需要場所とは、電気の供給を受ける場所のことです——工場・ビル・住宅などの敷地を指します。
その外側に施設する電路が、系統側の配電線です——そこと接続してはいけない、というのが条文の中身です。
非常用予備電源は、備えておくだけでなく定期的に試運転して確かめます——いざというときに動かなければ意味がないからです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「停電時」——過負荷時・遮断時はダミー。
② (イ)は「需要場所」。発電所ではない。
③ (ウ)は「電気的」——逆送電を防ぐのが趣旨。
④ 趣旨(系統側の作業員を守る)を知っていれば全部埋まる。
出題履歴——趣旨で覚える条文
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成18年度 問4 | ★★非常用予備電源の施設(本問) |
| ★平成30年度 問4 | ★★異常時の保護対策 |
| ★令和7年度下期 問8 | ★★感電・火災等の防止 |
短い条文ですが、趣旨を理解すれば絶対に忘れません——停電作業中の感電を防ぐという一点です。
平成19年度 A問題5の立入防止と同じく、人を守るための規定という共通点があります。
💡 覚え方
電技60条=常用電源の停電時に使用する非常用予備電源(需要場所に施設するものに限る)は、需要場所以外の場所に施設する電路であって常用電源側のものと電気的に接続しない。趣旨は逆送電による系統側の感電防止。
⚠️ よくある間違い
「過負荷時」「遮断時」ではなく停電時。「発電所」ではなく需要場所。「機械的」ではなく電気的に接続しない。
まとめ
| (ア) | 停電時 |
| (イ) | 需要場所 |
| (ウ) | 電気的 |
| 趣旨 | 逆送電(逆充電)による系統側の感電防止 |
| 実務 | インターロック付き切替開閉器 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・感電・火災等の防止(電技省令3):【法規】令和7年度下期 A問題8
・異常時の保護対策(電技省令29):【法規】平成30年度 A問題4

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