今回は平成20年度 法規科目 A問題5、事業用電気工作物の維持の空欄補充問題です。法第39条の技術基準4本柱がまとめて問われます。
4本柱は①人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えない ②他の電気的設備その他の物件の機能に電気的又は磁気的な障害を与えない ③損壊により一般送配電事業者等の供給に著しい支障を及ぼさない ④自らが一般送配電事業の用に供される場合の供給支障を生じない。この並びごと覚えてしまいましょう。
平成20年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成20年度 A問題5
次の文章は、「電気事業法」における事業用電気工作物の維持に関する記述である。
1. 事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物を経済産業省令で定める(ア)に適合するように維持しなければならない。
2. 事業用電気工作物は、人体に危害を及ぼし、又は(イ)に損傷を与えないようにすること。
3. 事業用電気工作物は、他の電気的設備その他の(イ)の機能に電気的又は(ウ)な障害を与えないようにすること。
4. 事業用電気工作物が(エ)の用に供される場合にあつては、その事業用電気工作物の損壊によりその(エ)に係る電気の供給に著しい支障を生じないようにすること。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
(注)平成20年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。事業者の呼称は現行法の表記に合わせています。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 電気事業法施行規則 物件 磁気的 特定送配電事業 (2) 技術基準 公共施設 熱的 一般送配電事業 (3) 技術基準 物件 機械的 特定送配電事業 (4) 技術基準 物件 磁気的 一般送配電事業 (5) 電気事業法施行規則 公共施設 機械的 特定送配電事業

答えは(4):技術基準・物件・磁気的・一般送配電事業
(ア)は「技術基準」——適合先は電気事業法施行規則ではありません。
(イ)は「物件」——「公共施設」のように対象を狭めていません。
(ウ)は「磁気的」・(エ)は「一般送配電事業」——誘導障害と、系統への波及を防ぐ規定です。
★「技術基準」と「施行規則」は役割が違う
| 省令 | 正式名称 | 決めていること |
| ★技術基準(電技) | ★★電気設備に関する技術基準を定める省令 | ★★設備が守るべき安全の水準 |
| ★施行規則 | ★★電気事業法施行規則 | ★★主任技術者・工事計画などの手続 |
どちらも「経済産業省令」ですが、中身がまったく違います——設備の基準か、手続のきまりかで分かれます。
39条が求めているのは設備の安全性です——だから適合先は技術基準のほうになります。
この2つを役割で覚えておくと、他の条文でも迷いません——省令の名前を見たら、何を決めるものか思い出すのです。
「物件」という語の広さ
物件とは、人以外のあらゆるモノを指します——建物・設備・車両・樹木まで含みます。
「公共施設」と書いてしまうと、民家や個人の持ち物が抜け落ちます——守る対象が狭くなってしまうのです。
人体と物件、この2語で「人とモノの両方」を覆っています——だから広い語が選ばれていると理解しましょう。
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 技術基準 | ★★技術基準 | ★電気事業法施行規則 | ★★設備の基準は技術基準・手続は施行規則 |
| 物件 | ★★物件 | ★公共施設 | ★★対象を限定しない広い語 |
| 磁気的 | ★★磁気的 | ★熱的・機械的 | ★★誘導障害・電磁障害を想定した規定 |
2号と3号で「物件」の使われ方が違う
| 号 | 物件の使われ方 | 守るもの |
| ★2号 | ★★物件に損傷を与えない | ★★モノそのもの(壊さない) |
| ★3号 | ★★物件の機能に障害を与えない | ★★モノの働き(狂わせない) |
2号は壊す話、3号は狂わせる話です——同じ「物件」でも、守っている中身が違います。
電磁誘導は、触れていなくても相手の機能を狂わせます——だから3号が別に必要なのです。
4号が想定している場面
4号は、その電気工作物自身が送配電ネットワークの一部である場合の規定です——変電所や送電線がこれにあたります。
ネットワークの設備が壊れれば、広い範囲が停電します——だから特別に一項を立てているのです。
需要家側の設備が壊れて系統に迷惑をかける話(3号)とは、立場が逆になっています。
4本柱は「内から外へ」広がる
| 号 | 守る対象 | 距離感 |
| ★1号 | ★★人体・物件 | ★★すぐそば |
| ★2号 | ★★他の設備の機能 | ★★となり |
| ★3号 | ★★系統への波及 | ★★地域 |
| ★4号 | ★★自らが担う供給 | ★★ネットワーク全体 |
近いところから遠いところへ、順に広がっていきます——この順番で覚えると、抜けが出ません。
技術基準の細かい条文も、すべてこの4本柱のどれかに紐づきます——解釈を学ぶときの地図になります。
公式PDFがない年度の問題
本問は平成20年度で、公式の問題PDFが公表されていません——条文と過去問データから再構成しています。
事業者の呼称は、現行法の表記に合わせてあります——当時は「一般電気事業者」と書かれていました。
古い年度でも、条文の骨格は変わっていません——安心して演習に使えます。
技術基準は「性能規定」で書かれている
省令の条文は「〜しないようにすること」という書き方です——結果さえ達成すれば、方法は問わないという考え方です。
これを性能規定といいます——新しい技術が出てきても、省令を変えずに対応できる利点があります。
そのぶん、具体的にどうすればよいかは解釈が示します——省令と解釈が二人三脚になっているのです。
解釈によらない方法も認められる
| 方法 | 扱い |
| ★解釈どおりに施工する | ★★技術基準に適合すると判断される |
| ★解釈によらない方法 | ★★同等以上の安全性を説明できれば認められる |
解釈は「こうすれば省令を満たす」という一例を示したものです——唯一の正解というわけではありません。
とはいえ試験では、解釈どおりに判断すれば足ります——この建て付けを知ると、条文の読み方が変わります。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は「技術基準」で即決——施行規則は手続の省令。
② (イ)は「物件」。対象を狭める語(公共施設)は落とす。
③ (ウ)は「磁気的」。熱的・機械的はどちらもダミー。
④ (エ)は「一般送配電事業」——特定送配電事業ではない。
4本柱と解釈のつながり
| 4本柱 | 具体化した解釈の例 |
| ★人体・物件 | ★★接地工事・離隔距離・接触防護措置 |
| ★電気的・磁気的障害 | ★★弱電流電線への誘導障害防止(解釈52条) |
| ★供給支障 | ★★保護装置・地絡遮断装置(解釈36条ほか) |
解釈の細かい条文は、すべてこの4本柱のどれかに紐づいています——ばらばらの暗記に見えて、実は木の枝なのです。
幹を押さえてから枝を覚えると、記憶が定着します。
出題履歴——39条は形を変えて何度も出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成20年度 問5 | ★★4本柱の語(本問) |
| ★平成29年度 問1 | ★★維持・磁気・一時停止 |
| ★令和6年度上期 問1 | ★★平成29年度と同一問題 |
平成29年度 A問題1も同じ4本柱を扱いますが、あちらは40条の命令まで含めた出題です。本問は技術基準の中身そのものに寄っているのが違いです。
39条は法規の保安規制の出発点です——4本柱は暗唱できるようにしておきましょう。
💡 覚え方
法39条=技術基準に適合するように維持。技術基準4本柱=①人体に危害・物件に損傷を与えない ②電気的・磁気的障害を与えない ③損壊により一般送配電事業者等の供給に著しい支障を及ぼさない ④自らが一般送配電事業の用に供される場合の供給支障を生じない。
⚠️ よくある間違い
「電気事業法施行規則」に適合ではなく技術基準に適合——施行規則は手続の省令。「公共施設」ではなく物件。「熱的」「機械的」ではなく磁気的。
まとめ
| (ア) | 技術基準 |
| (イ) | 物件 |
| (ウ) | 磁気的 |
| (エ) | 一般送配電事業 |
| 根拠 | 電気事業法 第39条 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・技術基準への適合(電気事業法4):【法規】令和6年度上期 A問題1
・技術基準への適合(電気事業法17):【法規】平成29年度 A問題1

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