送電の計算28【電力】完全同一の再出題!送電電力P=VsVr sinδ/X 平成21年度 A問題7 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 平成21年度 A問題7 送電電力の公式が再登場!完全同一の出題

今回は平成21年度 電力科目 A問題7、送電線で送られる三相有効電力の式を選ぶ問題です。この問題は令和4年度下期A問題9(送電の計算9)と文面・選択肢・答えまで完全に同一——電力系統の最重要公式が繰り返し問われている証拠です。

覚える形はP=VsVrsinδ/X(Vs・Vrは線間電圧、δは相差角、Xは1線当たりリアクタンス)。相差角δのsinで決まり、線間電圧を使うと√3が消えるのがポイントです。

目次

平成21年度 電力科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 平成21年度 A問題7 問題文
平成21年度 電力科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7

電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成21年度 A問題7

 交流三相3線式1回線の送電線路があり、受電端に遅れ力率角θ〔rad〕の負荷が接続されている。送電端の線間電圧をVs〔V〕、受電端の線間電圧をVr〔V〕、その間の相差角はδ〔rad〕である。

 受電端の負荷に供給されている三相有効電力〔W〕を表す式として、正しいのは次のうちどれか。

 ただし、送電端と受電端の間における電線1線当たりの誘導性リアクタンスはX〔Ω〕とし、線路の抵抗、静電容量は無視するものとする。

(1) VsVr·cosδ/X (2) √3VsVr·cosθ/X (3) VsVr·sinδ/X
(4) √3VsVr·sinδ/X (5) VsVr·cosθ/(Xsinδ)

答え三相有効電力は VsVr sinδ / Xです。

答えは(3):VsVr sinδ / X

送電電力の式は、相差角の正弦で決まります

三相送電電力
\( P=\dfrac{V_s V_r}{X}\sin\delta \)

Vs・Vr:線間電圧 X:1線当たりのリアクタンス δ:相差角

力率角θではなく、相差角δが入ります——そこが最大の関門です。

δ は送電端と受電端の電圧の位相差——電圧どうしのずれです。

θ は電圧と電流の位相差——まったく別のものになります。

送れる電力を決めるのは、電圧どうしのずれのほう——だからδが入るのです。

しかも√3 が付きません——線間電圧を2つ掛けているからです。

なぜ√3 が付かないのか

相電圧で立式してから、線間電圧に直すと分かります

\( P_{1\phi}=\dfrac{E_s E_r}{X}\sin\delta \)
1相分の電力(相電圧 E で表す)
\( P=3\times\dfrac{E_s E_r}{X}\sin\delta \)
3相分なので3倍
\( E=\dfrac{V}{\sqrt{3}} \)
相電圧と線間電圧の関係
\( P=3\times\dfrac{1}{X}\cdot\dfrac{V_s}{\sqrt{3}}\cdot\dfrac{V_r}{\sqrt{3}}\sin\delta \)
代入する
\( =\dfrac{3}{3}\cdot\dfrac{V_sV_r}{X}\sin\delta=\dfrac{V_sV_r}{X}\sin\delta \)
3が約分される
★√3 も3も消える

√3 で2回割るので、分母に3が出ます——それが3倍と打ち消し合うのです。

だから最終形には3も√3 も残りません——電力損失の式と同じ構図です。

三相の式では、この約分がよく起きます——覚えておくと見通しがよいのです。

この式が示すこと

条件送電電力意味
★δ=0★★ゼロ★★位相差がなければ電力は流れない
★δ=30°★0.50 倍★★通常の運転点
★δ=90°★★最大★★理論上の限界
★δ>90°★★かえって減る★★脱調する

位相差がなければ、電力はまったく流れません——意外に思えますが式のとおりです。

だから電力を送るには、わざと位相をずらします——発電機の出力を上げるとδが開くのです。

90度を超えると、送れる電力がかえって減ります——そこで同期が外れるのです。

実際は30〜40度で運用します——事故時の変動に備えた余裕です。

⚠️ よくある間違い
(1)の cosδ を選んでしまう——正弦(sin)ですδ=0で電力ゼロになる形が正しい。
(2)(5)の cosθ を選んでしまう——力率角ではなく相差角です。
(4)の√3 が付いた形を選んでしまう——線間電圧を2つ掛けるので約分されます
δ とθ を取り違える——δ は電圧どうし、θ は電圧と電流のずれ
δ=0を代入して確かめる——電力が0になる形が正しいのです。

⏱️ 本番での進め方
①★P=VsVr sinδ/X。相差角の正弦。
②★線間電圧なら√3 も3も付かない。
③★δ は電圧どうし、θ は電圧と電流のずれ。
④★δ=0を代入すれば正しい式か確かめられる。

💡 覚え方
「電圧のずれが電力を生む」——だからsinδです。δ=0なら電力もゼロ——その形になるかで選択肢を確かめられます

安定度と相差角は平成24年度 A問題7架空送電:送電容量)にもあります。

δ とθ を取り違えない

2つの角度が出てくるので、区別が要ります

記号何と何のずれか決まるもの
★相差角 δ★★送電端電圧と受電端電圧のずれ★★送れる電力の大きさ
★力率角 θ★★電圧と電流のずれ★★有効電力と無効電力の割合

δ は電圧どうしのずれです——発電機の出力を上げると開いていくのです。

θ は負荷の性質で決まります——モータが多ければ遅れるのです。

送電電力を決めるのは δ のほう——だから式に sinδ が入るのです。

問題文が両方を与えているのは、区別を問うため——θ は使わないのです。

式から安定度が見えてくる

送電電力の式は、安定度の話につながります

送電電力
\( P=\dfrac{V_sV_r}{X}\sin\delta \)

δ が90度で最大になる

リアクタンス X同じ電力での δ安定度
★小さい(短距離)★★小さくて済む★★余裕がある
★大きい(長距離)★★大きくなる★★脱調しやすい

X が大きいほど、同じ電力を送るのにδを開く必要があります——だから長距離ほど不利なのです。

δ が90度に近づくと、余裕がなくなります——少しの変動で脱調するのです。

だから直列コンデンサで X を打ち消す方法があります——δ を小さく保てるのです。

1つの式が、安定度対策まで示している——覚える価値のある式です。

極端な場合を代入して検算する

選択肢が正しいかを、極端な場合で試せます

選択肢の形δ=0のとき判定
★cosδ を含む★★最大値になる★★おかしい
★★sinδ を含む★★ゼロになる★★正しい
★δ を含まない★★変わらない★★おかしい

位相差がなければ、電力は流れないはずです——そこが判定の基準になります。

cosδ なら δ=0で最大になってしまいます——物理的におかしいのです。

だから sinδ を含む形が正しい——それだけで(1)(2)(5)が消えるのです。

極端な場合を代入するのは、検算の定石——式を導けなくても選べることがあります。

送電電力を増やす3つの道すじ

式の各項が、そのまま対策に対応します

送電電力
\( P=\dfrac{V_sV_r}{X}\sin\delta \)

動かせるのは V と X

動かす量効き方実際の手立て
★電圧 V★★2乗で効く★★送電電圧の格上げ
★リアクタンス X★★反比例★★多導体化・直列コンデンサ
★相差角 δ★sinδ で効く★★90度が限界で余裕がない

Vs と Vr の積なので、電圧は2乗で効きます——だから昇圧が最も効くのです。

X を減らすには、多導体化や直列コンデンサ——リアクタンスを打ち消すのです。

δ を大きくするのは限界があります——90度で脱調するから。

だから実際は V と X で調整します——式が対策を示しているのです。

無効電力の式も押さえる

有効電力と対になる式があります

δ との関係
★有効電力 P★★(VsVr/X)sinδ★★δ が大きいほど増える
★無効電力 Q★★(Vr/X)(Vs cosδ − Vr)★★電圧差で決まる

有効電力は位相差、無効電力は電圧の大きさの差で決まります——役割が分かれているのです。

だから発電機の出力を上げるとδが開き、励磁を上げると電圧が上がります——別々に制御できるのです。

この分離が、電力系統の運用を成り立たせています——有効電力は周波数、無効電力は電圧で調整します。

本問は有効電力を問うています——だからsinδ の形になります。

まとめ

公式P=VsVr sinδ/X(線間電圧)
相電圧版P=3EsEr sinδ/X
√3線間電圧では消える
主役相差角δ(θではない)
再出題R04下問9(送電の計算9)と完全同一
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・完全同一の再出題(送電の計算9):【電力】令和4年度下期 A問題9
・%Xと送電電力(送電の計算16):【電力】平成30年度 B問題17

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