地中送電13【電験3種 電力】OFケーブルの油通路は必須!「不要」は誤り 平成30年度 A問題11 完全解説

電験3種 電力科目 地中送電 平成30年度 A問題11 OFケーブルに油通路は必須!不要は誤り

今回は平成30年度 電力科目 A問題11、地中送電線路の各種電力ケーブルの誤り選択問題です。OF・POF・CV・CVTの4種が登場し、令和7年度上期A問題10(地中送電2)の兄弟問題にあたります。

OFケーブルの生命線は油通路:絶縁油を給油設備で大気圧以上に加圧し、油通路を通じてボイド(気泡)の発生を抑制するのがOF(Oil Filled)の原理。「油通路が不要」はOFの存在意義そのものを否定する誤りです。POFは鋼管に油浸紙線心3条を入れて高油圧で満たしたケーブルです。

目次

平成30年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 地中送電 平成30年度 A問題11 問題文
平成30年度 電力科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11

電験3種 電力科目 【地中送電】 平成30年度 A問題11

 地中送電線路に使用される各種電力ケーブルに関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) OFケーブルは、絶縁体として絶縁紙と絶縁油を組み合わせた油浸紙絶縁ケーブルであり、油通路が不要であるという特徴がある。給油設備を用いて絶縁油に大気圧以上の油圧を加えることでボイドの発生を抑制して絶縁強度を確保している。

(2) POFケーブルは、油浸紙絶縁の線心3条をあらかじめ布設された防食鋼管内に引き入れた後に、絶縁油を高い油圧で充てんしたケーブルである。地盤沈下や外傷に対する強度に優れ、電磁遮蔽効果が高いという特徴がある。

(3) CVケーブルは、絶縁体に架橋ポリエチレンを使用したケーブルであり、OFケーブルと比較して絶縁体の誘電率、熱抵抗率が小さく、常時導体最高許容温度が高いため、送電容量の面で有利である。

(4) CVTケーブルは、ビニルシースを施した単心CVケーブル3条をより合わせたトリプレックス形CVケーブルであり、3心共通シース形CVケーブルと比較してケーブルの熱抵抗が小さいため電流容量を大きくできるとともに、ケーブルの接続作業性がよい。

(5) OFケーブルやPOFケーブルは、油圧の常時監視によって金属シースや鋼管の欠陥、外傷などに起因する漏油を検知できるので、油圧の異常低下による絶縁破壊事故の未然防止を図ることができる。

答え誤っている記述は (1)です。

誤りは(1):OFケーブルには油通路が要る

「油通路が不要であるという特徴がある」——油を流すのだから通路が要ります

部位OFケーブルの構造
★中心★★油通路(中空の導体または独立した管)
★導体★より線
★絶縁体★絶縁紙に絶縁油を含ませたもの
★両端★★給油設備(油タンク)

OF は Oil-Filled(油を満たした)の略です——油が絶縁体の一部になっています。

温度が上がると油が膨張し、下がると収縮します——その出入りを通路が担うのです。

通路がなければ、収縮したときに空隙ができます——それがボイドです。

ボイドがあると、そこで部分放電が起きて絶縁が壊れます——だから常に油圧をかけておくのです。

後半の「油圧を加えてボイドを抑制する」は正しい——誤りは「油通路が不要」だけになります。

電力ケーブルの種類を比べる

種類絶縁体特徴現在
★OFケーブル★★絶縁紙+絶縁油★★給油設備と油通路が要る★減っている
★POFケーブル★★油浸紙+鋼管内に高油圧★★外傷に強く電磁遮蔽効果が高い★特殊な用途
★CVケーブル★★架橋ポリエチレン★★油が不要・許容温度90 ℃★★主流
★CVTケーブル★架橋ポリエチレン★★単心3条をより合わせ熱放散が良い★★最も広く使われる

油を使うか使わないかが、大きな分かれ目です——油には保守の手間が伴うから。

給油設備、漏油の監視、油の劣化管理——すべてが必要になります

CVケーブルはそれらが要りません——固体絶縁だけで済むのです。

だからCVとCVTが主流になりました——(3)(4)の記述はその理由を述べています

(3) CVがOFより有利な3つの点

項目★OFケーブル★CVケーブル効果
★誘電率★★大きい(3.5前後)★★小さい(2.3前後)★★静電容量と誘電体損が減る
★熱抵抗率★★大きい★★小さい★★熱が逃げやすい
★許容温度★★80 ℃ 程度★★90 ℃★★より多く流せる

3つとも、送電容量を増やす方向に働きます——だから「送電容量の面で有利」です。

誘電率が小さければ、静電容量も誘電体損も減ります——充電電流も小さくて済む

熱抵抗率が小さければ、同じ電流でも温度が上がりません——許容電流が増えるのです。

そのうえ許容温度自体も高い——3つが重なって大きな差になります

⚠️ よくある間違い
(1)の後半「油圧を加えてボイドを抑制する」を見て正しいと判断する——そこは正しいのです。誤りは「油通路が不要」
油を出し入れするのだから通路が要ります——OF は Oil-Filledです。
(2)のPOFケーブルを疑ってしまう——鋼管に入れるので外傷に強い
(3)のCVケーブルを疑ってしまう——3つとも容量を増やす方向です。
(5)の油圧監視を疑ってしまう——漏油を早く検知できます
「不要」「必要」という語を確かめる——そこが入れ替えられます

⏱️ 本番での進め方
①★OFケーブルには油通路と給油設備が必要。
②★油圧をかけるのはボイドを作らせないため。
③★CVはOFより誘電率・熱抵抗率が小さく許容温度が高い。
④★POFは鋼管入りで外傷に強く電磁遮蔽効果が高い。

💡 覚え方
「OFは油を満たす、だから通路が要る」——名前がそのまま構造を表しています油を使うかどうかが保守の分かれ目——だからCVが主流になりました

CVTの構造は平成19年度 A問題11地中送電:CVTケーブル)にあります。

ボイドがなぜ危険なのか

(1)の後半で触れられている現象です

段階起きること
★絶縁体の中に微小な空隙(ボイド)ができる
★②★★空気は絶縁体より誘電率が小さい
★③★★そこに電界が集中する
★④★★空気のほうが先に放電する(部分放電)
★⑤★放電が絶縁体を少しずつ侵食して破壊に至る

誘電率が小さいほど、電界が強くかかります——直列に並んだコンデンサと同じです。

しかも空気の絶縁耐力は油や樹脂より低い——だから真っ先に放電するのです。

だから絶縁体には空隙を作らせません——油圧をかけるのはそのため

CVケーブルでは、製造時に空隙を作らない工夫をします——乾式架橋という方法です。

(2) POFケーブルの構造

鋼管の中に3条まとめて入れる方式です

部位内容効果
★鋼管★★あらかじめ布設しておく★★外傷と地盤沈下に強い
★線心★油浸紙絶縁を3条引き入れる★—
★絶縁油★★高い油圧で充てんする★★ボイドを作らせない
★鋼管の磁気遮蔽★★磁束を鋼管内に閉じ込める★★電磁遮蔽効果が高い

鋼は磁性体なので、磁束を通しやすい性質があります——だから磁界が外へ漏れにくいのです。

その結果、近くの通信線への誘導も小さくなります——それが電磁遮蔽効果です。

鋼管なので、地盤沈下や外力にも強い——埋立地などで使われます

POF は Pipe-type Oil-Filled の略——名前が構造を表しています

(4) CVTの熱抵抗が小さい理由

3心共通シース形との違いを見ましょう

★CV-3C(3心共通シース)★CVT(トリプレックス)
★形をそろえる方法★★すき間に介在物を詰める★★詰めずにより合わせる
★熱の通り道★★介在物が邪魔をする★★直接外気に触れる
★熱抵抗★★大きい★★小さい
★電流容量★★小さい★★大きい

介在物は繊維や樹脂なので、熱を通しません——それが熱抵抗を増やすのです。

CVTは三つ葉状なので、表面積も大きくなります——だから熱がよく逃げる

接続作業も1心ずつできるので楽です——より合わせをほどけばよいから。

だから(4)は正しい記述——熱と作業性の両方を挙げています

(5) 油圧監視という保守のしかた

油を使うケーブルならではの点検方法です

油圧の変化推測される状態とる措置
★安定している★健全★運転を続ける
★★ゆっくり下がる★★微小な漏油★★漏油箇所を探す
★★急に下がる★★外傷や大きな破損★★直ちに停止する

油圧は常に監視されているので、変化がすぐ分かります——絶縁が壊れる前に気づけるのです。

油圧が下がると、ボイドができて絶縁が落ちます——だから低下を放置できない

漏油は環境への影響もあるので、早期発見が重要です——土壌汚染につながるから。

CVケーブルにはこの監視ができません——油がないので圧力という指標がないのです。

まとめ

誤り(1) OFケーブルの油通路は必要(不要は逆)
OF油浸紙+加圧油・油通路+給油設備
POF防食鋼管+油浸紙3条+高油圧・強度と電磁遮蔽(2)
CV/CVT低誘電率・熱抵抗小・90℃・作業性良(3)(4)
油圧監視漏油検知→事故未然防止(5)
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・ケーブル種類の兄弟問題(地中送電2):【電力】令和7年度上期 A問題10
・許容電流の増やし方(地中送電10):【電力】令和3年度 A問題11

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