変電14【電験3種 電力】短絡電流21.2kAから遮断器を選定・並行運転の分担計算 令和4年度上期 B問題16 完全解説

電験3種 電力科目 変電 令和4年度上期 B問題16 短絡電流21.2kA!選ぶべき遮断器はどれ?

今回は令和4年度上期 電力科目 B問題16。定格容量80MV・Aの三相変圧器TAを題材に、(a)二次側遮断器の定格遮断電流、(b)並行運転時の負荷分担を計算します。実はこの問題、令和6年度上期 B問題16として数値・選択肢まで完全に同一の形で再出題されました——それだけ「型」として重要な問題ということです。

(a)は電源1.5%+変圧器18.3%=合計19.8%(同一の80MV・Aベース)から短絡容量404MV・A→短絡電流約21.2kA→上回る標準値25kA。(b)はTBの12.0%を80MV・Aベースの19.2%に換算してから逆比で分担——TA20.5MWです。

目次

令和4年度上期 電力科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 令和4年度上期 B問題16 問題文
令和4年度上期 電力科目 B問題16 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16

電験3種 電力科目 【変電】 令和4年度上期 B問題16

 定格容量80MV・A、一次側定格電圧33kV、二次側定格電圧11kV、百分率インピーダンス18.3%(定格容量ベース)の三相変圧器TAがある。三相変圧器TAの一次側は33kVの電源に接続され、二次側は負荷のみが接続されている。電源の百分率内部インピーダンスは、1.5%(系統基準容量ベース)とする。ただし、系統基準容量は80MV・Aである。なお、抵抗分及びその他の定数は無視する。次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 将来の負荷変動等は考えないものとすると、変圧器TAの二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値[kA]として、最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)5 (2)8 (3)12.5 (4)20 (5)25

(b) 定格容量50MV・A、百分率インピーダンスが12.0%(定格容量ベース)の三相変圧器TBを三相変圧器TAと並列に接続した。40MWの負荷をかけて運転した場合、三相変圧器TAの負荷分担の値[MW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、三相変圧器群TAとTBにはこの負荷のみが接続されているものとし、抵抗分及びその他の定数は無視する。

(1)15.8 (2)19.5 (3)20.5 (4)24.2 (5)24.6

平成22年度B16とまったく同じ問題

数値も選択肢も同一です——12年を隔てた再出題になります。

★平成22年度 B16★令和4年度上期 B16(本問)
★変圧器TA★80 MV·A・33/11 kV・18.3 %★同一
★電源★1.5 %★同一
★変圧器TB★50 MV·A・12.0 %★同一
★答え★(a)(5) (b)(3)★(a)(5) (b)(3)

B問題がそのまま再出題されるのは珍しくありません——計算問題は解法が確立しているからです。

過去問を解いておけば、そのまま得点できる——B問題は配点が大きいので効果も大きいでしょう。

出題のポイント:共通ベースと遮断器側の電圧をそろえる

電源と変圧器の直列インピーダンスから二次短絡電流を求め遮断器を選び並行変圧器の負荷分担を計算する図
(a)は合成%Zと二次側11 kV、(b)は共通ベースへ換算した%Zの逆比が要点です。

(a)は80 MV·Aの共通ベースで電源1.5%と変圧器18.3%を加え、二次側11 kVの短絡電流21.2 kAを求めて、それ以上の定格25 kAを選びます。(b)はTBの12.0%を80 MV·Aベースの19.2%へ換算し、インピーダンスの逆比で分担するとTAは20.5 MWです。

(a) なぜ二次側の電圧を使うのか

33 11 kV変圧器の二次側三相短絡回路から短絡容量404 MV·Aと短絡電流21.2 kAを導き定格25 kAを選ぶ図
二次側短絡電流は約21.2 kAなので、それを上回る最小の選択肢である25 kAを選びます。

遮断器が置かれているのは二次側です——そこを流れる電流を求めます

やること注意
★①★基準容量をそろえる★%Z は容量に比例して換算する
★②★%Z を足し合わせる★直列なら単純に加算
★③★その点の定格電流を求める★In=P/(√3 V)
★④★Is=In×100/%Z★短絡電流
★⑤★標準値から上回る最小を選ぶ★8/12.5/20/25/31.5 kA
\( \%Z=1.5+18.3=19.8\ [\%] \)
80 MV·A 基準で合成
\( I_n=\dfrac{80\times 10^6}{\sqrt{3}\times 11\times 10^3}=4\,199\ [\mathrm{A}] \)
二次側の定格電流
★11 kV
\( I_s=4\,199\times\dfrac{100}{19.8}=21.2\ [\mathrm{kA}] \)
短絡電流

一次側で計算すると、答えが3分の1になります——電圧比が33:11だからです。

%Z は一次でも二次でも同じ値——だから電流だけが変わることになります。

答え(a)の正解は (5)——25 kA(b)の正解は (3)——20.5 MW です。

(b) 分担がほぼ半々になる理由

\( \dfrac{80}{18.3}=4.372,\quad \dfrac{50}{12.0}=4.167 \)
容量÷%Z
★ほぼ等しい
\( P_A=40\times\dfrac{4.372}{8.539}=20.5\ [\mathrm{MW}] \)
TAの分担

容量が80と50で1.6倍違うのに、比はほぼ1対1——%Z の差が打ち消しているのです。

★TA★TB
★定格容量★80★50★1.6倍
★%Z★18.3★12.0★1.53倍
★容量÷%Z★4.372★4.167★1.05倍

容量が1.6倍でも %Z が1.53倍あれば、ほぼ相殺される——だから分担が近くなるのです。

この関係が分かれば、計算前におおよその答えが読めます——40 MW の半分あたりだと。

⚠️ よくある間違い
(a)で一次側33 kV を使ってしまう——7.07 kA となり選択肢(2)8 kA へ。遮断器は二次側です。
(a)で20 kA を選んでしまう——21.2 kA を切れません上回る値が必要
(b)で容量比80:50 で分けてしまう——24.6 MW選択肢(5)
(b)で%Z の逆比12.0:18.3 で分けてしまう——15.8 MW となり選択肢(1)へ。容量を掛ける必要があります
選択肢に、それぞれの誤りに対応する値が置かれている——丁寧に手順を踏むことです。

⏱️ 本番での進め方
①★平成22年度B16と完全に同一問題。
②★遮断器のある側の電圧で定格電流を求める。
③★分担比は「容量÷%Z」。逆比だけでは不可。
④容量1.6倍・%Z 1.53倍でほぼ相殺され分担が近くなる。

💡 覚え方
「%Zは足す、電流は遮断器側で求める」——(a)の要点はその2つです。(b)は容量÷%Zの比——12年前とまったく同じ問題でした。

まったく同じ問題が平成22年度 B問題16変電:短絡電流と並行運転)にあります。並行運転の分担は令和5年度上期 A問題13変電:変圧器の並行運転)へ。

遮断器の定格を決める要素

(a)で選んだ定格遮断電流のほか、いくつかの定格があります

定格意味本問なら
★定格電圧★使用できる最高電圧★12 kV(11 kV 系統用)
★定格電流★連続して流せる電流★4,199 A を上回る値
★定格遮断電流★切れる短絡電流★25 kA
★定格遮断時間★指令から遮断までの時間★3サイクル程度

定格電流は平常時、定格遮断電流は事故時の性能——別の値です。

本問が問うているのは事故時のほう——「定格遮断電流」と明記されています

定格遮断時間が短いほど、系統への影響が小さくなります——0.06秒前後が標準です。

将来の負荷変動を考えないという条件

問題文が「将来の負荷変動等は考えない」と断っています

実際には、系統が大きくなれば短絡電流も増えます——余裕を見て選ぶのが普通です。

その判断を排除して、計算だけで決めさせている——だから「最も適切な」という問い方になります。

要点をもう一度

12年前とまったく同じ問題です

手順答え
★(a)★%Z を足す→二次側In→Is→標準値★(5) 25 kA
★(b)★容量÷%Z の比で40 MW を分ける★(3) 20.5 MW

過去問を解いておけば、そのまま得点できます——B問題は配点が大きいので効果も大きい

計算問題が再出題されやすい理由

理由内容
★解法が確立している★出題者も採点者も判断が明確
★数値を変えても本質は同じ★そのまま出すこともある
★実務に直結する★遮断器の選定は必須の技能

だから変電のB問題は、過去問演習の効果が高い——本問がその例です。

(b)の結果を負担率で見る

分担が求まったら、それぞれの余裕を確かめます

★TA★TB
★定格容量★80 MV·A★50 MV·A
★分担★20.5 MW★19.5 MW
★負担率★26 %★★39 %

TBのほうが負担率が高くなっています——%Z が小さいからです。

負荷が増えれば、TBが先に定格に達します——合計130 MV·A を使い切れないのです。

\( 50\div 0.39=128\ [\mathrm{MW}] \)
TBが100 % になる総負荷
★ここが上限

同じ力率で分担すると、TBが50 MV·Aに達する時の変圧器群の合計容量は約102.5 MV·Aです——単純合計130 MV·Aまでは使えません

%Z がそろっていれば、もっと使えたはず——並行運転の条件が効いてくるのです。

まとめ

80 MV·Aと50 MV·Aの並行変圧器を共通ベースに換算し40 MW負荷からTAの分担20.5 MWを求める図
TBの%Zを19.2%へ換算し逆比で分けると、TAの負荷分担は20.5 MWで(3)です。
(a)合計%Z1.5+18.3=19.8%(80MV・Aベース)
(a)短絡電流Ps=404MV・A→Is≒21.2kA
(a)遮断電流上回る標準値25kA→(5)
(b)換算と分担%ZB=19.2%→TA=40×19.2/37.5≒20.5MW→(3)
再出題令和6年度上期B問題16に完全同一で再出題

▼あわせて解きたい関連問題
・令和6年度上期B問題16(完全同一の再出題):【電力】令和6年度上期 B問題16
・過電流継電器の限時特性(変電13・同年度):【電力】令和4年度上期 A問題7
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 令和4年度上期 問題一覧(全4科目)

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