新エネ15【電験3種 電力】風力3乗則の出題元!令和5年度上期にほぼそのまま再出題 平成24年度 A問題5 完全解説

電験3種 電力科目 新エネルギー 平成24年度 A問題5 3乗則の出題元がこれ!風力の基本を固める

今回は平成24年度 電力科目 A問題5を解説します。風力発電について、再エネとしての性質・風速とパワーの関係・離島での活用・発電機の種類・騒音対策から誤っているものを選ぶ問題です。

この問題は令和5年度上期 A問題5(新エネ6)としてほぼそのまま再出題されました((4)に大形機の補足が付いている程度の違い)。誤りも同じ(2)の「風速に比例」——正しくは3乗です。

目次

平成24年度 電力科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 新エネルギー 平成24年度 A問題5 問題文
平成24年度 電力科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題5

電験3種 電力科目 【新エネルギー】 平成24年度 A問題5

 風力発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

風力発電は、風の力で風力発電機を回転させて電気を発生させる発電方式である。風が得られれば燃焼によらずパワーを得ることができるため、発電するときにCO₂を排出しない再生可能エネルギーである。
風車で取り出せるパワーは風速に比例するため、発電量は風速に左右される。このため、安定して強い風が吹く場所が好ましい。
離島においては、風力発電に適した地域が多く存在する。離島の電力供給にディーゼル発電機を使用している場合、風力発電を導入すれば、そのディーゼル発電機の重油の使用量を減らす可能性がある。
一般的に、風力発電では同期発電機、永久磁石式発電機、誘導発電機が用いられる。特に、大形の風力発電機には、同期発電機又は誘導発電機が使われている。
風力発電では、翼が風を切るため騒音を発生する。風力発電を設置する場所によっては、この騒音が問題となる場合がある。この騒音対策として、翼の形を工夫して騒音を低減している。

答え誤っている記述は (2)です。

誤りは(2):風速の3乗に比例する

「取り出せるパワーは風速に比例する」——1乗ではなく3乗です。

風力発電の出力
\( P=\dfrac{1}{2}\rho A v^3 C_p \)

風速は3乗で効く

なぜ3乗なのでしょうか——2つの効果が重なるからです。

効果風速への依存理由
★1つぶんのエネルギー★2乗★½mv²
★1秒間に通る量★1乗★ρAv
★合わせて★3乗★½ρAv³

速い風は「1つぶんのエネルギーが大きい」だけでなく「たくさん来る」——だから3乗です。

問題文の後半「安定して強い風が吹く場所が好ましい」は正しい——むしろ3乗則があるからこそ、そう言えるのです。

誤っているのは「風速に比例」という1か所だけ——指数を見落とさないことになります。

(4) 風力発電に使う発電機

3種類が挙げられています——それぞれ役割が違います

発電機使われる規模特徴
★誘導発電機★大形★構造が簡単・系統に直接つなげる
★同期発電機★大形★変換装置を介してつなぐ
★永久磁石式★中小形★励磁が不要・低速でも発電できる

誘導発電機は、同期速度より少し速く回すと発電します——風速の変動を滑りが吸収してくれるのが利点です。

同期発電機は、いったん直流にしてから系統の周波数に合わせます——回転速度を自由に変えられるようになります。

風速に応じて回転速度を変えれば、Cp を最大に保てる——可変速運転と呼ばれます。

(3)(5) 離島と騒音

(3) 離島での利用

離島はディーゼル発電機に頼っていることが多い——重油を船で運ぶので発電コストが高いのです。

風力を入れれば、その重油を減らせます——問題文の通りです。

海に囲まれているので風況もよい——相性がよい組合せだと言えます。

(5) 騒音対策

音の種類発生源対策
★空力騒音★翼が空気を切る音★翼端の形を工夫する
機械騒音増速機・発電機防音材・直結駆動
低周波音翼がタワーを通過する周期離隔距離を取る

翼端が最も速く動くので、そこが主な音源——先端の形を工夫して渦を抑えます

⚠️ よくある間違い
(1)の「CO₂を排出しない」を疑ってしまう——発電時には出しません製造や建設では出ますが、そこは問われていません
(2)の後半「安定して強い風が吹く場所が好ましい」だけを見て正しいと判断する——前半の「風速に比例」が誤りです。
(4)の「永久磁石式」を疑ってしまう——実際に使われています「大形には同期又は誘導」という限定も正しい
(5)の騒音対策を疑ってしまう——翼の形状で低減しています
1つの記述の中に正しい部分と誤った部分が混ざる——最後まで読まずに判断しないことです。

⏱️ 本番での進め方
①★「風速に比例」は誤り。3乗に比例。
②★エネルギー2乗×風量1乗=3乗。
③大形は同期発電機か誘導発電機。永久磁石式は中小形。
④離島のディーゼル発電の代替として有効。

💡 覚え方
「風速は3乗で効く」——これだけで本問は解けます1乗と書いてあれば誤り、2乗と書いてあっても誤り——3乗以外は全部誤りです

同じ3乗則が平成28年度 A問題5新エネルギー:各種発電では「2乗に比例」という形で問われています実際に計算する問題は平成30年度 A問題5新エネルギー:風車のロータ軸出力)へ。

風力発電の設備利用率

(2)の3乗則は、発電量の見積もりに直結します

電源設備利用率理由
★風力(陸上)★20 % 前後★風速が3乗で効くため変動が大きい
★風力(洋上)★30 % 前後★海上は風が安定している
太陽光15 % 前後夜は発電しない
地熱70 % 前後天候に左右されない

洋上のほうが高いのは、風が速く安定しているから——地形の影響を受けません

3乗則があるので、わずかな風速差が大きな差になります——洋上風力が注目される理由です。

風況の調べ方

建設前に1年以上かけて風速を測ります

年平均風速が6 m/s を超えるかどうかが1つの目安——それ以下では採算が取れません

風向きの偏りも重要——一定方向から吹くほうが効率よく発電できます

問題文の「安定して強い風が吹く場所が好ましい」——この一句に立地選定のすべてが凝縮されています

洋上風力という広がり

(2)の3乗則が、洋上へ向かわせています

陸上★洋上
★風速★遅い・乱れる★速い・安定
★騒音★問題になる★問題にならない
★大きさの制約★輸送路の幅で決まる★船で運べるので緩い
建設費安い2〜3倍

風速が2割速ければ出力は1.7倍——3乗則が効きます

(5)の騒音も、洋上なら心配が要りません——近くに人が住んでいないからです。

着床式と浮体式

方式水深特徴
★着床式★50 m 程度まで★海底に基礎を打ち込む
★浮体式★それ以深★浮かせて係留する

日本は近海がすぐ深くなるので、浮体式への期待が大きい——浅い海が広がる欧州とは条件が違います

要点をもう一度

誤りは(2)の「風速に比例」だけです。

記述正誤要点
(1)発電時にCO₂を出さない
★(2)★誤★風速の3乗に比例する
(3)離島のディーゼル代替に有効
(4)大形は同期又は誘導発電機
(5)翼の形状で騒音を低減

(2)は前半が誤りで、後半は正しい——1つの記述の中に両方が混ざっています

「安定して強い風が吹く場所が好ましい」という結論は正しい——むしろ3乗則が理由になります。

風力発電の課題を整理する

課題内容本問で触れられているか
★出力変動★3乗則による★(2)
★騒音★翼が空気を切る音★(5)
景観・バードストライク環境への影響

5つの記述で、風力発電の全体像が押さえられています

バードストライクと環境影響

問題文が触れていない課題も、実務では重要です

影響内容対策
★バードストライク★鳥が回転する翼に衝突する★渡りの経路を避けて立地する
★シャドーフリッカー★翼の影が周期的に横切る★住宅から離す・時間帯で停止
景観高さ100 m 超が目立つ配置を工夫する

シャドーフリッカーは、太陽を背にした翼の影が窓を横切る現象——不快感の原因になります

翼が毎分20回転なら、3枚羽根で毎秒1回の明暗——ちらつきとして感じられる速さです。

だから環境アセスメントで、季節ごとの影の動きを検討します——建設前に何年もかけて調べるのです。

問題文の(5)が挙げる騒音も含め、近隣との調整が導入の鍵になる——洋上へ向かう理由の1つでもあります。

まとめ

(1)再エネ燃焼なし・CO₂排出なし→正しい
(2)パワー風速の3乗に比例(比例は誤り)→誤り
(3)離島ディーゼルの重油削減に貢献→正しい
(4)発電機同期・永久磁石式・誘導(大形は同期or誘導)→正しい
(5)騒音翼の形の工夫で低減→正しい。答えは(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・風力はv³に比例(新エネ6・本問の再出題版):【電力】令和5年度上期 A問題5

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成24年度 問題一覧(全4科目)

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