今回は令和4年度上期 法規科目 A問題8、風車の施設に関する5項目を確認する空欄補充問題です。風力の技術基準のうち風車そのものを規定した条文です。
5項目は①負荷を遮断したときの最大速度に構造上安全 ②風圧に構造上安全 ③損傷を与える振動がない ④意図に反して起動しない ⑤他の工作物・植物等に接触しない。「遮断」「振動」「起動」の3語が空欄の常連です。
答えは(5):遮断・振動・起動
平成20年度 A問題6が同じ条文の別の箇所を問うています。
この記事は、対義語のダミーがなぜ誤りかを主軸にします。
令和4年度上期 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【風力設備技術基準】 令和4年度上期 A問題8
次の文章は、「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」に基づく風車に関する記述である。
風車は、次により施設しなければならない。
a) 負荷を(ア)したときの最大速度に対し、構造上安全であること。
b) 風圧に対して構造上安全であること。
c) 運転中に風車に損傷を与えるような(イ)がないように施設すること。
d) 通常想定される最大風速においても取扱者の意図に反して風車が(ウ)することのないように施設すること。
e) 運転中に他の工作物、植物等に接触しないように施設すること。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) 遮断 振動 停止 (2) 連系 振動 停止 (3) 遮断 雷撃 停止 (4) 連系 雷撃 起動 (5) 遮断 振動 起動

★★「遮断」と「連系」——切れたときが危険
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 負荷を遮断したとき | ★★負荷を遮断したとき | ★系統に連系したとき | ★★制動トルクが消える/通常の運転状態 |
| 風車が暴走する | ★★風車が暴走する | ★発電機が制動する | ★★危険の向きが逆 |
系統につないでいるときは、発電機が制動トルクを出しています——安定した状態です。
負荷が切れると、その制動が消えて風車が加速します——これが危険なのです。
「つないだとき」ではなく「切れたとき」が危険——直感と逆なので狙われます。
★無負荷増速の物理
トルクの差が角加速度を生む
風が吹く限り加速する
★2乗で増える
制動がなくなれば、風のエネルギーはすべて加速に使われます。
遠心力は回転速度の2乗に比例——設計値を大きく超えます。
その最大速度でも壊れない構造にせよ、というのがa号です。
★★「起動」と「停止」——防ぐのは起動
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 意図に反して起動しない | ★★意図に反して起動しない | ★意図に反して停止しない | ★★勝手に回り出さない/勝手に止まらない |
| 点検作業者を守る | ★★点検作業者を守る | ★発電を継続する | ★★目的が違う |
停止させておいたはずの風車が、強風で勝手に回り出す——これが防ぐべき事態です。
点検中の作業者が巻き込まれれば重大事故——人命に直結します。
技術基準は安全を目的とするので、防ぐのは「起動」——発電の継続は目的ではないのです。
★「振動」と「雷撃」——条文が違う
| 語 | どの条文か |
| ★振動 | ★★第4条c号(運転中の損傷) |
| ★雷撃 | ★★第5条b号(20m超の保護措置) |
雷撃は別の条文で扱われる別論点です——4条には入りません。
条文ごとに扱う危険が整理されている——混ぜないのが条文の作法です。
どの条の問題かを見れば、入る語も絞れます。
★共振と疲労破壊
振幅が急増する
S-N曲線の考え方
風車は細長いタワーの上に重い機械を載せた構造です——振動しやすい。
共振域を避けて運転する制御が組み込まれています——特定の回転数を通過させないのです。
「変形」は結果であって、損傷を与える原因は振動です。
5項目を通しで覚える
| 号 | 内容 | キーワード |
| ★a | ★★負荷を遮断したときの最大速度に構造上安全 | ★★遮断・暴走 |
| ★b | ★★風圧に対して構造上安全 | ★★風圧 |
| ★c | ★★損傷を与えるような振動がない | ★★振動・共振 |
| ★d | ★★意図に反して起動しない | ★★起動・作業安全 |
| ★e | ★★他の工作物、植物等に接触しない | ★★接触 |
5項目はどこが空欄になってもおかしくありません——通しで唱えられるようにします。
a・bが構造、c・d・eが施設方法——2つに分けると整理できます。
「通常想定される最大風速」
設計上考慮する上限の風速です——それを超える暴風は別の話。
その範囲では確実に停止を保つ——ブレーキやピッチ制御で押さえます。
台風時には人が近づかないことも前提です。
風力の技術基準は費用対効果が高い
条文が10条程度しかありません——全文を読んでも10分。
それで毎年1問(5点)が安定して得点できます——投資対効果は最高クラスです。
丸暗記が最も効率的な数少ない分野です。
風車の制御方式
| 方式 | 仕組み | 特徴 |
| ★ピッチ制御 | ★★ブレードの取付角を変える | ★★積極的に出力を調整できる |
| ★ストール制御 | ★★強風時に失速させる | ★★可動部がなく単純だが調整幅が狭い |
| ★ヨー制御 | ★★ナセルの向きを変える | ★★風向追従と退避の両方に使う |
大型機はピッチ制御が主流です——停止させる手段としても使えます。
d号の「意図に反して起動しない」も、ピッチを絞って風を受けない状態を保つことで実現します。
運転を止める風速
| 風速 | 状態 |
| ★カットイン風速(3m/s程度) | ★★発電を開始する |
| ★定格風速(12m/s程度) | ★★定格出力に達する |
| ★カットアウト風速(25m/s程度) | ★★安全のため停止する |
強すぎる風では、むしろ止めるのが安全です——発電より安全が優先。
台風時は停止させたうえで、勝手に回り出さないようにする——これがd号の場面です。
e号「接触しない」の意味
回転するブレードが樹木や建物にぶつかれば、破損して破片が飛散します——周囲への重大な危険。
樹木は成長するので、施設時に余裕を見ておく必要があります——「植物等」と明記されている理由です。
「影響しない」では曖昧すぎて技術基準になりません——物理的にぶつからないことを求めています。
⏱️ 本番での進め方
① 危険なのは負荷を「遮断」したとき——「連系」ではない。
② 損傷の原因は「振動」——「雷撃」は第5条の別論点。
③ 防ぐのは意図に反する「起動」——「停止」ではない。
④ ダミーは正解の対義語——意味で判断する。
💡 覚え方
発電用風力設備省令4条 風車=a負荷を遮断したときの最大速度に対し構造上安全 b風圧に対して構造上安全 c運転中に損傷を与えるような振動がないように施設 d通常想定される最大風速でも取扱者の意図に反して起動しない e運転中に他の工作物、植物等に接触しないように施設。
⚠️ よくある間違い
「連系」ではなく遮断——切れたときが危険。「停止」ではなく起動——勝手に回り出すのを防ぐ。「雷撃」は第5条——4条には入らない。
まとめ
| (ア) | 遮断(負荷を遮断したときの最大速度) |
| (イ) | 振動 |
| (ウ) | 起動(意図に反して) |
| 他の項目 | 風圧に安全・他の工作物等に接触しない |
| 答え | (5) |
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