風力設備技術基準4【電験3種 法規】回転速度・制御装置・地表・雷撃!令和6年度上期で再出題 平成29年度 A問題5 完全解説

電験3種 法規科目 風力設備技術基準 平成29年度 A問題5 風車の安全確保が再出題!4つの空欄を埋める

今回は平成29年度 法規科目 A問題5風車の安全な状態の確保の空欄補充問題です。令和6年度上期 A問題5でほぼそのまま再出題されました(選択肢の並びだけが違います)。

覚えるのは4語。自動停止の条件は回転速度の著しい上昇と制御装置の機能低下。雷撃保護は最高部の地表からの高さ20m超。この形で固定です。

目次

答えは(4):回転速度・制御装置・地表・雷撃

発電用風力設備に関する技術基準を定める省令 第5条(風車の安全な状態の確保)

a 風車は、次の場合に安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならない。/① 回転速度が著しく上昇した場合/② 風車の制御装置の機能が著しく低下した場合/b 最高部の地表からの高さが20mを超える発電用風力設備には、雷撃から風車を保護するような措置を講じなければならない。ただし、周囲の状況によって雷撃が風車を損傷するおそれがない場合は、この限りでない。

★数字は20mだけ。覚える語は回転速度・制御装置・地表・雷撃の4つ。

令和6年度上期 A問題5でほぼそのまま再出題されました。

この記事は、2つの自動停止条件の物理を主軸にします

平成29年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成29年度 A問題5 問題文
平成29年度 法規科目 A問題5 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5

電験3種 法規科目 【風力設備技術基準】 平成29年度 A問題5

 次の文章は、「発電用風力設備に関する技術基準を定める省令」に基づく風車の安全な状態の確保に関する記述である。

 a 風車(発電用風力設備が一般用電気工作物である場合を除く。以下aにおいて同じ。)は、次の場合に安全かつ自動的に停止するような措置を講じなければならない。

 ① (ア)が著しく上昇した場合 ② 風車の(イ)の機能が著しく低下した場合

 b 最高部の(ウ)からの高さが20mを超える発電用風力設備には、(エ)から風車を保護するような措置を講じなければならない。ただし、周囲の状況によって(エ)が風車を損傷するおそれがない場合においては、この限りでない。

 上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)回転速度制御装置ロータ最低部雷撃
(2)発電電圧圧油装置地表雷撃
(3)発電電圧制御装置ロータ最低部強風
(4)回転速度制御装置地表雷撃
(5)回転速度圧油装置ロータ最低部強風
答え(ア)回転速度・(イ)制御装置・(ウ)地表・(エ)雷撃 = (4)

★★2つの条件に共通するのは「止まらなくなる危険」

条件何が起きるか結果
★回転速度の著しい上昇★★遠心力が急増する★★ブレードの破壊・飛散
★制御装置の機能低下★★停止指令が効かなくなる★★暴走を止められない

どちらも「制御を失う」という一点でつながっています——だから自動停止が必要なのです。

人が気づいてから止めるのでは間に合いません——「自動的に」と明記されている理由です。

「発電電圧」「圧油装置」は条文にないダミーです。

★回転速度の上昇が危険な理由

F = m r \omega^2
ブレードに働く遠心力
★角速度の2乗に比例する
\omega \to 2\omega \Rightarrow F \to 4F
回転速度が2倍になれば遠心力は4倍
設計値を大きく超える

遠心力は回転速度の2乗に比例します——少しの超過が大きな力になるのです。

ブレードは根元で折れ、数百m先まで飛散します——周囲への重大な危険です。

だから「著しく上昇した場合」に自動停止させるのです。

★なぜ回転速度が上がるのか

T_{風} – T_{発電機} = J \dfrac{d\omega}{dt}
回転の運動方程式
トルクの差が加速を生む
T_{発電機} = 0 \Rightarrow \dfrac{d\omega}{dt} = \dfrac{T_{風}}{J} > 0
負荷が切れると制動トルクが消える
風のエネルギーがすべて加速に使われる

発電機の負荷が切れると、制動していた力がなくなります——これが無負荷増速(暴走)です。

第4条a号の「負荷を遮断したときの最大速度」もこの現象——4条は構造、5条は停止措置です。

2つの条文が同じ危険に別の角度から対処しています

★制御装置の機能低下

制御役割失われると
★ピッチ制御★★ブレード角度で回転数を調整・停止★★止められない
★ヨー制御★★ナセルの向きを風から外す★★風を受け続ける
★機械ブレーキ★★強制的に停止させる★★最後の手段が使えない

制御装置が止まれば、風車は風に任せて回り続けます——やがて暴走します。

だから制御装置の異常自体を検出して停止させる——二重の安全です。

★★なぜ「地表」から測るのか

条文の言葉ダミー語違い
最高部の地表からの高さ★★最高部の地表からの高さ★ロータ最低部からの高さ★★ブレードが真上を向いたときの先端/回転面の下端
落雷は最も高い部分に来る★★落雷は最も高い部分に来る★—★★だから最高部で判定するのが自然

雷は一番高いところに落ちます——だから最高部の高さで判定するのです。

「ロータ最低部」から測るのでは、危険度と対応しません——物理的に意味がないのです。

条文の測り方には理由がある——理解して覚えます

★風車の雷撃保護

部位対策
★ブレード先端★★受雷部(レセプタ)を設ける
★ブレード内部★★ダウンコンダクタで導く
★ナセル・タワー★★接地系統へ確実に流す

回転するブレードに落雷するので、対策が難しいのです——先端に受雷部を埋め込みます

落雷でブレードが破損すると、修理に大型クレーンが要ります——被害が大きいのです。

冬季雷(日本海側)は特にエネルギーが大きい——日本特有の課題です。

ただし書きの意味

「周囲の状況によって雷撃が風車を損傷するおそれがない場合」——例外規定です。

周囲に高い建物や山があり、風車に落ちにくい場合——そこまで求めないのです。

性能規定型の技術基準らしい書き方——目的が達成できれば手段は問わないのです。

第4条と第5条の役割分担

内容アプローチ
★第4条★★風車の施設(構造上安全・振動・接触等)★★壊れない構造にする
★第5条★★安全な状態の確保(自動停止・雷撃保護)★★危険な状態を検出して止める

4条は「耐える」、5条は「止める・守る」——2つの発想です。

どちらの条文の問題かを見分けると、答えが絞れます

風車の出力と風速の関係

P = \dfrac{1}{2}\rho A v^3 C_p
風車の出力(A:受風面積、v:風速、C_p:パワー係数)
★風速の3乗に比例する
v \to 2v \Rightarrow P \to 8P
風速が2倍になれば出力は8倍
強風時の負荷が急増する

風速の3乗に比例するので、強風時の負荷は急激に増えます——だから制御が要るのです。

定格風速を超えると出力を一定に抑える制御に入ります——ピッチ制御など

カットアウト風速(25m/s程度)を超えると停止します。

パワー係数(ベッツの限界)

C_{p,max} = \dfrac{16}{27} \approx 0.593
理論上の最大パワー係数
★ベッツの限界

風のエネルギーをすべて取り出すことはできません——取り出しきると風が止まってしまうから。

理論限界は約59.3%——実機では40〜50%程度です。

電力科目でも問われる知識——科目をまたいでつながっています

風力の技術基準は費用対効果が高い

条文は10条程度しかありません——全文を読んでも10分です。

それで毎年1問(5点)が安定して得点できます——投資対効果は最高クラス

丸暗記が最も効率的な、数少ない分野です。

⏱️ 本番での進め方
① 自動停止は①回転速度の著しい上昇 ②制御装置の機能低下
② 高さの起点は地表——「ロータ最低部」ではない。
20mを超える設備に雷撃保護。
④ 「発電電圧」「圧油装置」「強風」はダミー

💡 覚え方
発電用風力設備省令5条=①回転速度が著しく上昇した場合 ②風車の制御装置の機能が著しく低下した場合に、安全かつ自動的に停止する措置を講じる。最高部の地表からの高さが20mを超える設備には、雷撃から風車を保護する措置を講じる(周囲の状況により損傷のおそれがない場合を除く)。

⚠️ よくある間違い
「発電電圧」「圧油装置」は条文にない——回転速度・制御装置。高さは「ロータ最低部」ではなく地表から守る相手は「強風」ではなく雷撃

まとめ

(ア)回転速度
(イ)制御装置
(ウ)地表
(エ)雷撃
再出題令和6年度上期 A問題5と同一
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(風力設備技術基準2):【法規】令和6年度上期 A問題5
・風車の施設(風力設備技術基準3):【法規】令和4年度上期 A問題8

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