今回は平成29年度 法規科目 A問題7、低圧幹線の施設(電気設備技術基準の解釈第148条)に関する空欄補充問題です。低圧幹線の電源側に施設する過電流遮断器を省略できる条件が問われます。
覚える骨格は「許容電流が定格の55%以上/長さ8mで35%以上/長さ3mで負荷側に接続なし/電源が太陽電池のみで最大短絡電流以上」。55%・35%と8m・3mの数字の組合せがカギです。
平成29年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成29年度 A問題7
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における低圧幹線の施設に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における低圧幹線の施設に関する記述の一部である。低圧幹線の電源側電路には、当該低圧幹線を保護する過電流遮断器を施設すること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
a 低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の55%以上である場合
b 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又は上記aに掲げる低圧幹線に接続する長さ(ア)m以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線の電源側に接続する他の低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流の35%以上である場合
c 過電流遮断器に直接接続する低圧幹線又は上記a若しくは上記bに掲げる低圧幹線に接続する長さ(イ)m以下の低圧幹線であって、当該低圧幹線の負荷側に他の低圧幹線を接続しない場合
d 低圧幹線に電気を供給する電源が(ウ)のみであって、当該低圧幹線の許容電流が、当該低圧幹線を通過する(エ)電流以上である場合
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 10 5 太陽電池 最大短絡 (2) 8 5 太陽電池 定格出力 (3) 10 5 燃料電池 定格出力 (4) 8 3 太陽電池 最大短絡 (5) 8 3 燃料電池 定格出力

答えは(4):8m・3m・太陽電池・最大短絡
平成22年度 A問題6は同じ148条のa〜cを問う問題です。この記事は、dの「太陽電池」がなぜ特別なのかを主軸にします。
★太陽電池の短絡電流は増えない
| 電源 | 短絡したときの電流 |
| ★商用系統 | ★★定格の数十〜数百倍(電源インピーダンス次第) |
| ★発電機 | ★★定格の数倍〜十数倍 |
| ★太陽電池 | ★★定格電流の1.1〜1.2倍程度で頭打ち |
太陽電池は、日射で決まる電流以上は流せません——電流源に近い性質を持つのです。
短絡しても、短絡電流Iscは最大出力電流Impの1割増し程度——これが決定的な違いです。
だから電線がその電流に耐えられれば、遮断器がなくても焼けません。
★太陽電池のI-V特性
| 点 | 意味 |
| ★Isc(短絡電流) | ★★電圧0のときに流れる電流 |
| ★Voc(開放電圧) | ★★電流0のときの電圧 |
| ★Pmax(最大電力点) | ★★Imp×Vmpが最大になる点 |
| ★Isc / Imp | ★★おおよそ1.05〜1.15 |
I-V曲線は、電圧を下げていってもほぼ横ばいです——だから短絡電流が跳ね上がらないのです。
MPPT制御は、この曲線の最大電力点を追いかける仕組み——機械科目でも問われます。
★「最大短絡電流」という表現
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 最大短絡電流 | ★★最大短絡電流 | ★定格出力電流 | ★★短絡時に流れうる最大値 |
| 当該低圧幹線を通過する | ★★当該低圧幹線を通過する | ★太陽電池の定格 | ★★その幹線に流れる分だけ |
複数のストリングが並列なら、その幹線を通る分だけを考えます。
「定格出力」というダミーが置かれますが、守るべきは短絡時——だから短絡電流です。
条文の言葉が技術的に正確である理由を考えると、答えが見えてきます。
★a〜cとdの構造の違い
| 条件 | 何で判定するか |
| ★a | ★★許容電流が定格の55%以上 |
| ★b | ★★長さ8m以下+許容電流が35%以上 |
| ★c | ★★長さ3m以下+負荷側に幹線を接続しない |
| ★d | ★★電源が太陽電池のみ+許容電流が最大短絡電流以上 |
a〜cは「電線の長さと太さ」の話——dだけは「電源の性質」の話です。
この構造の違いを掴んでおくと、どの空欄に何が入るか予測できます。
なぜ8mと3mなのか
電線が短ければ、そこで事故が起きる確率も小さくなります——損傷を受ける区間が短いからです。
だから8m以下では35%、3m以下では制限なし——短くなるほど緩むのです。
「10m」「5m」というダミーに引っかからないこと——8と3のペアで覚えます。
分岐回路(解釈149条)との混同に注意
| 幹線(148条) | 分岐回路(149条) | |
| ★制限なし | ★★55%以上 | ★★8m超は55%以上 |
| ★8m以下 | ★★35%以上 | ★★35%以上 |
| ★3m以下 | ★★負荷側に幹線を接続しない | ★★制限なし |
同じ数字が違う並びで出てきます——「幹線か分岐か」を最初に見極めることです。
問題文の1行目に必ず書いてあります——見落とさないこと。
太陽電池からの逆潮流と保護
太陽電池が幹線に電気を送り込むと、電流の向きが通常と逆になります。
系統側の遮断器は、順方向を前提に選定されています——だから太陽電池側にも保護が要るのです。
dの規定は、その保護を電線の太さで代替する仕組み——合理的な設計です。
低圧幹線の許容電流の決め方
| 負荷の内訳 | 幹線の許容電流 |
| ★電動機等の定格電流の合計 ≦ その他の合計 | ★★両者の合計以上 |
| ★電動機等 > その他、かつ50A以下 | ★★電動機等×1.25+その他 |
| ★電動機等 > その他、かつ50A超 | ★★電動機等×1.1+その他 |
B問題の計算でこの表がそのまま使われます——148条は暗記だけの条文ではありません。
電動機の始動電流を見込んで1.25倍・1.1倍——50Aが境目です。
燃料電池は入らない
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 太陽電池のみ | ★★太陽電池のみ | ★燃料電池のみ | ★★dに書かれているのは太陽電池だけ |
| 短絡電流が頭打ち | ★★短絡電流が頭打ち | ★燃料電池は電流が伸びうる | ★★性質が違う |
選択肢には「燃料電池」というダミーが置かれます——条文には太陽電池としか書かれていません。
短絡電流が頭打ちになるという性質が、太陽電池に固有だから——理由から考えれば選べます。
太陽電池発電設備の直流側保護
| 装置 | 役割 |
| ★逆流防止ダイオード | ★★他のストリングから電流が逆流するのを防ぐ |
| ★バイパスダイオード | ★★影になったセルを迂回してホットスポットを防ぐ |
| ★直流開閉器 | ★★点検時にストリングを切り離す |
| ★SPD(避雷器) | ★★雷サージから機器を守る |
直流回路は電流のゼロ点がないので、開閉が難しいのです——直流用の開閉器が必要になります。
148条dが遮断器の省略を認めるのは、この開閉の難しさとも無縁ではありません。
短絡電流が頭打ちになる理由
太陽電池は、光が生む電子・正孔の数だけしか電流を出せません——日射量が電流の上限を決めます。
外部を短絡しても、内部で作れる電流は変わりません——これが電流源的な振る舞いです。
系統や発電機のように、インピーダンスが小さいだけ電流が増えるのとは対照的です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は8m、(イ)は3m——10mや5mではない。
② (ウ)は太陽電池——「燃料電池」ではない。
③ (エ)は最大短絡電流——「定格出力」ではない。
④ dの根拠は太陽電池の短絡電流が定格の1割増し程度で頭打ちになること。
💡 覚え方
解釈148条=低圧幹線の電源側には過電流遮断器を施設する。省略できるのは①許容電流が定格の55%以上 ②長さ8m以下で35%以上 ③長さ3m以下で負荷側に他の低圧幹線を接続しない ④電源が太陽電池のみで許容電流が通過する最大短絡電流以上——のいずれか。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「10m」ではなく8m、(イ)は「5m」ではなく3m。(ウ)は「燃料電池」ではなく太陽電池。(エ)は「定格出力」ではなく最大短絡電流。
まとめ
| a 原則 | 許容電流が定格の55%以上 |
| b(ア) | 長さ8m以下で定格の35%以上 |
| c(イ) | 長さ3m以下で負荷側に接続なし |
| d(ウ) | 電源が太陽電池のみ |
| d(エ) | 許容電流が最大短絡電流以上 |
| 答え | (4) |
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