今回は平成27年度 法規科目 A問題3、電磁誘導作用による影響の防止の空欄補充問題です。令和6年度下期 A問題5でそのまま再出題された頻出条文です。
覚えるのは1セット。変電所・開閉所は、人によって占められる空間に相当する空間の磁束密度の平均値が、商用周波数において200μT以下。守るのは設備ではなく人の健康、量は磁束密度です。
平成27年度 法規科目 A問題3:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題3
電験3種 法規科目 【電技省令】 平成27年度 A問題3
次の文章は、「電気設備技術基準」における、電気機械器具等からの電磁誘導作用による影響の防止に関する記述の一部である。
変電所又は開閉所は、通常の使用状態において、当該施設からの電磁誘導作用により(ア)の(イ)に影響を及ぼすおそれがないよう、当該施設の付近において、(ア)によって占められる空間に相当する空間の(ウ)の平均値が、商用周波数において(エ)以下になるように施設しなければならない。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 通信設備 機能 磁界の強さ 200 A/m (2) 人 健康 磁界の強さ 100 A/m (3) 無線設備 機能 磁界の強さ 100 A/m (4) 人 健康 磁束密度 200 μT (5) 通信設備 機能 磁束密度 200 μT

答えは(4):人・健康・磁束密度・200μT
(ア)(イ)は「人」「健康」——「通信設備の機能」ではありません。
(ウ)は「磁束密度」——単位を見れば一発、μTなら磁束密度です。
(エ)は「200 μT」——電技の電磁界規制はどこでも200μTです。
★「人の健康」と「設備の機能」は別の条文
| 条 | 守る対象 | 内容 |
| ★第16条 | ★★他の設備 | ★★電気的・磁気的障害の防止(誘導障害) |
| ★第27条 | ★★人 | ★★静電誘導・電磁誘導による感電の防止 |
| ★第27条の2 | ★★人の健康 | ★★磁束密度200μT以下(本条) |
似た条文が並んでいるので、混同しやすいところです——守る対象で区別しましょう。
「通信設備の機能」は第16条の話です——本条は人体影響を扱っています。
★磁束密度と磁界の強さ
| 量 | 記号 | 単位 |
| ★磁束密度 | ★★B | ★★T(テスラ) |
| ★磁界の強さ | ★★H | ★★A/m |
単位を見れば、どちらの量か一目で分かります——μTなら磁束密度、A/mなら磁界の強さです。
人体への影響は、体内に誘導される電界・電流で決まります——それが磁束密度に比例するので、Bで規制しています。
理論科目で学んだ B=μH の関係が、ここで効いてきます。
200μTという値の根拠
国際的なガイドライン(ICNIRP)を踏まえて定められました——2011年に新設された比較的新しい条文です。
この値は、体内に誘導される電流が神経を刺激しない水準です——健康影響が生じないよう、余裕をもって決められています。
商用周波数(50Hz/60Hz)での値です——周波数によって基準は変わります。
★第2項も同じ200μT
| 項 | 対象 | 基準値 |
| ★第1項 | ★★変電所・開閉所 | ★★200μT |
| ★第2項 | ★★発変電所等以外に施設する変圧器・電線路 | ★★200μT |
場所が違っても、値は同じ200μTです——覚えるのは1つだけで済みます。
令和3年度A問題3では、第2項が問われました——どちらが出ても200μTです。
「人によって占められる空間に相当する空間」
回りくどい表現ですが、要は人がいる高さの空間です——地上から数メートルの範囲を指します。
実際にそこに人がいなくても、いると仮定して測ります——だから「相当する空間」という言い方になります。
しかも「平均値」で判定します——一点だけ高くても、平均が基準内なら適合です。
身のまわりの磁束密度
| 場所 | おおよその磁束密度 |
| ★地磁気 | ★★約50μT(直流) |
| ★家電製品の近く | ★★数μT〜数十μT |
| ★規制値 | ★★200μT |
地磁気が約50μTなので、200μTはその4倍程度です——数字の感覚をつかんでおきましょう。
ただし地磁気は直流、規制対象は商用周波数の交流です——人体への影響のしかたが違います。
再出題で正解番号が変わる
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 人の健康 | ★★人の健康 | ★通信設備の機能 | ★★第16条の誘導障害と混同しない |
| 磁束密度 | ★★磁束密度 | ★磁界の強さ | ★★単位がμTなら磁束密度 |
| 200μT | ★★200μT | ★100A/m | ★★量と単位はセットで覚える |
令和6年度下期A問題5で、同じ内容が再出題されました——ただし正解番号は(5)です。
番号ではなく、人・健康・磁束密度・200μTという語で覚えましょう。
磁束密度はどう減るのか
距離に反比例
★距離の2乗に反比例
★距離の3乗に反比例
電線が複数あると、互いの磁界が打ち消し合います——だから距離とともに急速に減るのです。
変電所の外に出れば、磁束密度は大きく下がります——200μTを超えることはまずありません。
理論で学んだ磁界の式が、ここで効いてきます。
静電誘導と電磁誘導
| 静電誘導 | 電磁誘導 | |
| ★原因 | ★★電圧(電界) | ★★電流(磁界) |
| ★強さを決めるもの | ★★電圧の高さ | ★★電流の大きさ |
| ★条文 | ★★第27条 | ★★第27条・第27条の2 |
電圧が高いと静電誘導、電流が大きいと電磁誘導が問題になります——原因が違うので、対策も違います。
本条が扱うのは磁束密度なので、電磁誘導のほうです。
測定はどう行うのか
磁束密度は、専用の測定器で実測します——3軸のセンサで方向によらず測れるものが使われます。
人が占める空間の平均値で判定するので、複数点で測ります——一点だけの値では判断できません。
設計段階では、計算で予測することもあります——電流と配置が分かれば求められるからです。
電磁界の人体影響は、国際的にも関心の高いテーマです——だから条文が新設され、出題もふえています。
覚えることは4語だけなので、確実に取りましょう。
「通常の使用状態において」
条文は「通常の使用状態において」と限定しています——事故時の一瞬の値までは求めていません。
ふだん人がいる状況で基準を満たせばよい——現実的な線引きです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)(イ)は「人」「健康」——通信設備の機能は第16条。
② (ウ)は単位で判断——μTなら磁束密度、A/mなら磁界の強さ。
③ (エ)は200μT。第1項も第2項も同じ値。
④ 正解番号は年度で変わる。語で覚える。
出題履歴——比較的新しい条文
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成27年度 問3 | ★★第1項(本問) | ★★(4) |
| ★令和3年度 問3 | ★★第2項 | ★★— |
| ★令和6年度下期 問5 | ★★本問と同一内容 | ★★(5) |
2011年に新設された条文が、すでに3回出題されています——新しい条文ほど狙われるという傾向どおりです。
覚えることは4つだけなので、確実に取りたい問題です。
💡 覚え方
電技27条の2=変電所・開閉所は人の健康に影響を及ぼさないよう、人が占める空間に相当する空間の磁束密度の平均値が商用周波数において200μT以下。第2項(発変電所等以外の変圧器・電線路)も同じ200μT。
⚠️ よくある間違い
「通信設備の機能」(第16条の誘導障害)と混同しない。磁界の強さ[A/m]ではなく磁束密度[T]。令和6年度下期では正解番号が(5)。
まとめ
| (ア) | 人 |
| (イ) | 健康 |
| (ウ) | 磁束密度 |
| (エ) | 200 μT |
| 再出題 | 令和6年度下期 A問題5と同一 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(電技省令6):【法規】令和6年度下期 A問題5
・発変電所等以外の場合(電技省令21):【法規】令和3年度 A問題3

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