今回は平成25年度 法規科目 A問題8、住宅の屋内電路の対地電圧の制限(電気設備技術基準の解釈第143条)に関する空欄補充問題です。原則150V以下を超えて施設できる例外条件が問われます。
覚える骨格は「住宅の屋内電路は原則150V以下」「定格消費電力2kW以上の機器は300V以下まで可(直接接続・専用開閉器+過電流遮断器・簡易接触防護・地絡遮断)」。2kW・300Vが数値のカギです。
平成25年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成25年度 A問題8
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、住宅の屋内電路の対地電圧の制限に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、住宅の屋内電路の対地電圧の制限に関する記述の一部である。住宅の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く。)の対地電圧は、150V以下であること。ただし、定格消費電力が(ア)kW以上の電気機械器具及びこれに電気を供給する屋内配線を次により施設する場合は、この限りでない。
a.屋内配線は、当該電気機械器具のみに電気を供給するものであること。
b.電気機械器具の使用電圧及びこれに電気を供給する屋内配線の対地電圧は、(イ)V以下であること。
c.屋内配線には、簡易接触防護措置を施すこと。 d.電気機械器具には、簡易接触防護措置を施すこと。
e.電気機械器具は、屋内配線と(ウ)して施設すること。 f.電気機械器具に電気を供給する電路には、専用の(エ)及び過電流遮断器を施設すること。 g.電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 5 450 直接接続 漏電遮断器 (2) 2 300 直接接続 開閉器 (3) 2 450 分岐接続 漏電遮断器 (4) 3 300 直接接続 開閉器 (5) 5 450 分岐接続 漏電遮断器

答えは(2):2kW・300V・直接接続・開閉器
平成18年度 A問題7も同じ143条ですが、条件が4つに省略された形で出題されています。
この記事は、7つの条件を1つずつ確認します。
★7つの条件を役割で分ける
| 条件 | 内容 | 狙い |
| ★a 専用の屋内配線 | ★★当該機器のみに供給 | ★★他の負荷を混ぜない |
| ★b 300V以下 | ★★使用電圧・対地電圧の上限 | ★★電圧を抑える |
| ★c・d 簡易接触防護措置 | ★★配線と機器の両方に | ★★触れさせない |
| ★e 直接接続 | ★★コンセントを介さない | ★★誤接続を防ぐ |
| ★f 専用の開閉器・過電流遮断器 | ★★その回路だけの保護 | ★★過電流から守る |
| ★g 地絡遮断装置 | ★★漏電時に自動遮断 | ★★感電・火災を防ぐ |
「囲い込む(a・e・f)」「触れさせない(c・d)」「異常時に切る(g)」の3方向です。
bだけが電圧そのものの制限——残り6つはその代償として課される条件です。
★簡易接触防護措置が2か所にかかる
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| c 屋内配線に簡易接触防護措置 | ★★c 屋内配線に簡易接触防護措置 | ★d 電気機械器具に簡易接触防護措置 | ★★配線と機器の両方が対象 |
| 簡易接触防護措置 | ★★簡易接触防護措置 | ★接触防護措置 | ★★屋内1.8m以上/屋内2.3m以上 |
配線だけ、機器だけでは足りません——条文がc・dと分けて書いている理由です。
対地電圧が200Vになるので、触れれば危険度が上がります——だから両方に措置を求めます。
簡易接触防護措置は屋内で床上1.8m以上——定義は解釈1条です。
★なぜ「直接接続」なのか
コンセントがあれば、誰かが別の機器を挿します——100V用の機器を挿せば壊れ、火災の危険もあります。
直接接続なら、その機器専用であることが物理的に保証されます——選択肢の「分岐接続」は誤りです。
200Vエアコンが壁に直付けされているのは、この条文です。
★(エ)が「開閉器」である理由
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| f 専用の開閉器及び過電流遮断器 | ★★f 専用の開閉器及び過電流遮断器 | ★f 専用の漏電遮断器 | ★★地絡遮断装置はgで別に規定されている |
| 開閉器=手動で切る | ★★開閉器=手動で切る | ★遮断器=自動で切る | ★★役割が違う |
gに「地絡が生じたときに自動的に遮断する装置」があります——fで漏電遮断器を求めるのは重複です。
条文の構造から、fは開閉器と過電流遮断器——作業時に手動で切る装置が要るのです。
他の条文を見れば答えが決まる——これが空欄補充の解き方です。
なぜ2kWなのか
一般的な分岐回路(20A)を使い切ってしまう
電流が半分になり、電線も細くて済む
2kWを超えると、100Vでは電流が大きすぎます——電圧を上げるほうが合理的です。
電流が半分なら損失は4分の1——P=I²Rだからです。
住宅以外はどうか
| 場所 | 対地電圧の制限 |
| ★住宅の屋内電路 | ★★150V以下(原則) |
| ★住宅以外の場所の屋内電路 | ★★300V以下 |
| ★住宅の屋内電路(例外) | ★★300V以下(7条件を満たす場合) |
住宅だけが150V以下と厳しい——電気の知識がない人が日常的に触るからです。
例外を満たせば、住宅以外と同じ300Vまで使えます。
単相3線式の対地電圧
| 方式 | 線間電圧 | 対地電圧 |
| ★単相2線式100V | ★★100V | ★★100V |
| ★単相3線式100/200V | ★★100V/200V | ★★100V |
| ★三相3線式200V(非接地) | ★★200V | ★★200V |
単相3線式の200Vは、対地電圧は100Vのままです——中性線が接地されているから。
だから一般の200Vエアコンは原則の150V以下を満たします——例外規定が効くのは三相200V等です。
対象となる機器
| 機器 | 定格消費電力の目安 |
| ★IHクッキングヒーター | ★★4〜6kW |
| ★エアコン(大型) | ★★2〜4kW |
| ★電気温水器・エコキュート | ★★1〜5kW |
| ★電気自動車の充電設備 | ★★3〜6kW |
オール電化住宅では、この規定の出番が多い——大電力機器が増えたからです。
身近な設備の背景に条文がある——実感を持って覚えられます。
屋内配線の対地電圧が上がると何が変わるか
| 対地電圧 | 絶縁抵抗値(解釈14条) |
| ★150V以下 | ★★0.1MΩ以上 |
| ★150V超300V以下 | ★★0.2MΩ以上 |
| ★300V超 | ★★0.4MΩ以上 |
対地電圧が上がれば、求められる絶縁抵抗も上がります——143条の例外を使うと0.2MΩ以上が必要になります。
条文どうしが数値でつながっている——150Vと300Vが両方に出てきます。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は2kW以上——5kWや3kWではない。
② (イ)は300V以下——450Vではない。
③ (ウ)は直接接続——「分岐接続」ではない。
④ (エ)は開閉器——地絡遮断装置はgで別に規定されている。
💡 覚え方
解釈143条=住宅の屋内電路の対地電圧は150V以下。ただし定格消費電力2kW以上の機器は、a当該機器のみに供給 b使用電圧・対地電圧300V以下 c屋内配線に簡易接触防護措置 d機器に簡易接触防護措置 e屋内配線と直接接続 f専用の開閉器及び過電流遮断器 g地絡遮断装置——の7条件を満たせば施設できる。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「5kW」「3kW」ではなく2kW。(イ)は「450V」ではなく300V。(ウ)は「分岐接続」ではなく直接接続。(エ)は「漏電遮断器」ではなく開閉器。
まとめ
| 原則 | 住宅の屋内電路は対地電圧150V以下 |
| (ア)例外機器 | 定格消費電力2kW以上 |
| (イ)対地電圧 | 300V以下 |
| (ウ)接続 | 屋内配線と直接接続 |
| (エ)電路保護 | 専用の開閉器+過電流遮断器+地絡遮断 |
| 答え | (2) |
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