今回は平成25年度 法規科目 A問題5、アークを生じる器具の施設(電気設備技術基準の解釈第23条)に関する空欄補充問題です。高圧・特別高圧用の開閉器等でアークを生じるものの、可燃物からの離隔距離が問われます。
覚える数値は「木製の壁・天井等の可燃性のものから、高圧1m以上・特別高圧2m以上(35kV以下でアーク制限すれば1m)」。耐火性で囲むか離隔するかの2択が基本です。
平成25年度 法規科目 A問題5:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題5
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成25年度 A問題5
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、アークを生じる器具の施設に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)及び(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、アークを生じる器具の施設に関する記述である。高圧用又は特別高圧用の開閉器、遮断器又は避雷器その他これらに類する器具(以下「開閉器等」という。)であって、動作時にアークを生じるものは、次のいずれかにより施設すること。
a.耐火性のものでアークを生じる部分を囲むことにより、木製の壁又は天井その他の(ア)から隔離すること。
b.木製の壁又は天井その他の(ア)との離隔距離を、下表に規定する値以上とすること。【表】高圧→(イ)m/特別高圧35000V以下→(ウ)m(動作時に生じるアークの方向及び長さを火災が発生するおそれがないように制限した場合は(イ)m)/特別高圧35000V超過→(ウ)m
(ア) (イ) (ウ) (1) 可燃性のもの 0.5 1 (2) 造営物 0.5 1 (3) 可燃性のもの 1 2 (4) 造営物 1 2 (5) 造営物 2 3

答えは(3):可燃性のもの・1m・2m
令和7年度上期 A問題4は同一問題で、アークの正体と遮断器の消弧方式を主軸にしています。
この記事は、避雷器と変電所の防火という切り口で読み解きます。
★35 000Vという区分はどこから来るか
| 区分 | 実在する系統電圧 |
| ★7 000V以下 | ★★3.3kV・6.6kV(高圧) |
| ★35 000V以下 | ★★11kV・22kV・33kV |
| ★35 000V超 | ★★66kV・154kV・275kV・500kV |
35 000Vは、配電に近い特別高圧と、本格的な送電電圧とを分ける線です。
22kV・33kVの配電は、需要家の構内に入ることもあります——だから設計上の区切りとして使われるのです。
併架(104条)でも35 000Vが境目でした——解釈を通じて繰り返し登場する数字です。
★避雷器はなぜアークを生じるのか
避雷器は、雷サージが来たときだけ導通して大地へ逃がす装置です——ふだんは絶縁体として振る舞います。
放電するときには、内部で大電流が流れます——これがアークの正体です。
放電が終わったら、続流を速やかに切る必要があります——切らないと系統が地絡したままになるからです。
★避雷器の構造
| 方式 | 構造 |
| ★ギャップ付き(旧来形) | ★★直列ギャップ+炭化けい素(SiC)素子 |
| ★ギャップレス(現行主流) | ★★酸化亜鉛(ZnO)素子のみ |
酸化亜鉛素子は、電圧が上がると急激に抵抗が下がる非直線特性を持ちます——ギャップなしで済むのです。
ギャップがないぶんアークも小さくなりますが、条文は器具の種類で一律に規制しています。
制限電圧・公称放電電流は電力科目で問われる項目です。
★「耐火性のもので囲む」の中身
| 材料 | 性質 |
| ★鋼板 | ★★キュービクルの外箱に使われる |
| ★コンクリート・れんが | ★★防火壁として使われる |
| ★けい酸カルシウム板 | ★★軽量で耐火性の高い板材 |
耐火性とは、火にさらされても燃えず、一定時間形を保つ性質です。
「不燃」「準不燃」「難燃」という区分は建築基準法の用語——電気の条文は「耐火性のもの」とだけ書きます。
変電所の防火対策
| 対策 | 内容 |
| ★防火壁 | ★★変圧器どうしの延焼を防ぐ(10 000kVA以上等で必要) |
| ★油流出防止 | ★★防油堤を設け、絶縁油の拡散を防ぐ |
| ★消火設備 | ★★水噴霧・泡消火設備を設ける |
| ★離隔 | ★★アークを生じる器具を可燃物から離す(本条) |
変電所の火災は、絶縁油が主な燃料になります——大量の油が高温になれば手がつけられません。
だから「燃やさない」「広げない」の二段構え——23条は前者を担っています。
木製の柱や小屋が問題になる場面
農事用や工事用の仮設受電設備では、木製の柱や小屋が使われることがあります。
そこに開閉器を取り付ければ、条文の対象になります——「木製の壁又は天井」という例示が現実味を帯びる場面です。
都市部のキュービクルばかり見ていると忘れがちですが、条文はあらゆる場面を想定しています。
アークの長さは電圧で決まる
電圧が高いほど、遠くまで放電が伸びる
だから離隔距離も1mから2mへと大きくする
離隔距離が1mと2mで倍になるのは、アークの伸びる長さが電圧に応じて増えるからです。
「アークの方向及び長さを制限した場合」に緩和されるのも同じ理屈——伸びなければ離す必要がないのです。
「その他これらに類する器具」の広がり
| 器具 | 該当するか |
| ★高圧交流負荷開閉器(LBS) | ★★該当する |
| ★高圧限流ヒューズ | ★★該当する(溶断時にアーク) |
| ★計器用変成器(VT・CT) | ★★該当しない(アークを生じない) |
| ★変圧器 | ★★該当しない(通常はアークを生じない) |
判定基準は「動作時にアークを生じるか」です——器具の名前ではなく性質で決まります。
電流を切る・逃がす器具がアークを生じる——この見分け方を覚えます。
同じ問題が繰り返し出ている
| 年度 | 問われ方 | 正解番号 |
| ★平成25年度 問5 | ★★3空欄(本問) | ★★(3) |
| ★令和7年度上期 問4 | ★★同一の3空欄 | ★★(3) |
12年を経て、まったく同じ形で再出題されました——正解番号まで同じです。
解釈23条は確実に得点したい条文——覚えるのは3語だけです。
覚える語を絞る
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 可燃性のもの | ★★可燃性のもの | ★造営物 | ★★火災防止が目的だから |
| 1m(高圧) | ★★1m(高圧) | ★0.5m | ★★半分にするダミーが定番 |
| 2m(特別高圧) | ★★2m(特別高圧) | ★3m | ★★上乗せするダミー |
空欄になるのは(ア)(イ)(ウ)の3か所だけ——「可燃性のもの・1・2」を唱えれば足ります。
選択肢は0.5/1と2/3の組合せで作られています——1と2のペアを外さないことです。
⏱️ 本番での進め方
① 対象は可燃性のもの——「造営物」ではない。
② 高圧1m・特別高圧2m——0.5mや3mではない。
③ 35 000V以下+アーク制限で1mに緩和。
④ 耐火性のもので囲めば離隔は不要——「いずれか」。
💡 覚え方
解釈23条=高圧・特別高圧の開閉器・遮断器・避雷器等で動作時にアークを生じるものは、①耐火性のもので囲んで木製の壁・天井その他の可燃性のものから隔離するか、②離隔距離を高圧1m以上・特別高圧2m以上(35 000V以下でアークを制限した場合は1m以上)とする。
⚠️ よくある間違い
「造営物」ではなく可燃性のもの。「0.5m/1m」ではなく1m/2m。35 000V以下の緩和はアークを制限した場合に限る。
まとめ
| (ア)隔離対象 | 木製の壁天井等の可燃性のもの |
| 方法1 | 耐火性で囲んで隔離 |
| 方法2(イ)高圧 | 離隔1m以上 |
| (ウ)特別高圧 | 離隔2m以上 |
| 35kV以下でアーク制限 | 1mに緩和 |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・接地工事を施さないことができる場合(電気設備技術基準の解釈72):【法規】平成25年度 A問題4
・過電流遮断器(電気設備技術基準の解釈74):【法規】平成25年度 A問題6

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