今回は平成25年度 法規科目 A問題4、機械器具の金属製外箱等に接地工事を施さないことができる場合(電気設備技術基準の解釈第29条)に関する空欄補充問題です。接地を省略できる3つの条件が問われます。
覚える骨格は「2重絶縁構造」「絶縁変圧器(2次300V以下・3kV·A以下)で非接地」「漏電遮断器(定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下)」。漏電遮断器の15mA・0.1秒という数値がカギです。
平成25年度 法規科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題4
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成25年度 A問題4
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、機械器具の金属製外箱等に接地工事を施さないことができる場合の記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、機械器具(小出力発電設備である燃料電池発電設備を除く。)の金属製外箱等に接地工事を施さないことができる場合の記述の一部である。
a.電気用品安全法の適用を受ける(ア)の機械器具を施設する場合
b.低圧用の機械器具に電気を供給する電路の電源側に(イ)(2次側線間電圧が300V以下であって、容量が3kV·A以下のものに限る。)を施設し、かつ、当該(イ)の負荷側の電路を接地しない場合
c.水気のある場所以外の場所に施設する低圧用の機械器具に電気を供給する電路に、電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流が(ウ)mA以下、動作時間が(エ)秒以下の電流動作型のものに限る。)を施設する場合
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 2重絶縁の構造 絶縁変圧器 15 0.3 (2) 2重絶縁の構造 絶縁変圧器 15 0.1 (3) 過負荷保護装置付 絶縁変圧器 30 0.3 (4) 過負荷保護装置付 単巻変圧器 30 0.1 (5) 過負荷保護装置付 単巻変圧器 50 0.1

答えは(2):2重絶縁の構造・絶縁変圧器・15mA・0.1秒
接地は「漏電したときに電流を大地へ逃がす」ための備えです——そもそも漏電しない、あるいは切れるなら要らないのです。
★3つの省略条件を発想で分ける
| 条件 | 発想 |
| ★a 2重絶縁の構造 | ★★そもそも外箱が充電されない |
| ★b 絶縁変圧器+非接地 | ★★地絡しても回路が閉じない |
| ★c 高感度・高速の漏電遮断器 | ★★漏電しても危険になる前に切れる |
「充電させない」「電流を流さない」「すぐ切る」の3方向です——どれも接地と同等以上の安全を実現します。
条文の例外は、たいていこの形で整理できます。
★2重絶縁とはどんな構造か
| 層 | 役割 |
| ★機能絶縁(基礎絶縁) | ★★充電部を覆う通常の絶縁 |
| ★付加絶縁 | ★★基礎絶縁が壊れたときに備える2層目 |
2層あるので、片方が壊れてももう一方が守ります——外箱が充電されることがないのです。
電動工具や家電に「回」のマークが付いているのがこれ——接地極付きプラグが要りません。
「過負荷保護装置付」は関係ない——選択肢のダミーです。
★なぜ「絶縁変圧器」で「単巻変圧器」ではないのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 絶縁変圧器 | ★★絶縁変圧器 | ★単巻変圧器 | ★★1次と2次が電気的に分かれている/巻線を共用する |
| 2次側を独立した電路にできる | ★★2次側を独立した電路にできる | ★1次側の接地を引きずる | ★★非接地にできるかどうか |
単巻変圧器は巻線の一部を共用します——1次と2次が電気的につながっているのです。
それでは2次側を非接地にできません——b号の条件を満たせないのです。
水中照明(187条)でも絶縁変圧器が要求されていました——非接地を実現する道具です。
★15mA・0.1秒という数値
人体に流れる電気の量として、心室細動に至らない範囲
0.1秒なら約500mA——15mAはその30分の1以下
感電の危険は「電流×時間」で決まります——だから両方に条件が付くのです。
定格感度電流15mAは、人体保護用の中でも高感度——一般の30mAよりさらに厳しい値です。
「30mA」「0.3秒」というダミーが置かれます。
★「水気のある場所以外」という限定
c号は水気のある場所には適用できません——水中では人体抵抗が大きく下がるからです。
抵抗が下がれば、同じ電圧でも流れる電流が増えます——15mAで切っても間に合わないおそれがあります。
だから水気のある場所では接地を省略できない——条文の限定には理由があります。
29条が定める接地工事の種類
| 機械器具の使用電圧 | 接地工事 |
| ★300V以下の低圧用 | ★★D種接地工事 |
| ★300Vを超える低圧用 | ★★C種接地工事 |
| ★高圧用・特別高圧用 | ★★A種接地工事 |
300Vと600Vが区分の境目——金属ダクト(162条)と同じ考え方です。
省略できるのは低圧用の場合が中心——高圧では他の手段で代替しにくいからです。
他にも省略できる場合
| 条件 | 内容 |
| ★交流対地電圧150V以下 | ★★乾燥した場所に施設する機械器具 |
| ★木製の床等 | ★★絶縁性のものの上で取り扱うように施設 |
| ★鉄台等がない | ★★外箱のない計器用変成器等でゴム等で被覆したもの |
29条には他にも省略条件が並びます——本問はそのうち3つを問うています。
いずれも「接地しなくても危険が生じない」場合です。
漏電遮断器の種類
| 用途 | 定格感度電流 | 動作時間 |
| ★人体保護(高感度形) | ★★15mA・30mA | ★★0.1秒以内(高速形) |
| ★機器・火災保護(中感度形) | ★★100mA〜1A | ★★0.1〜2秒 |
接地の省略に使えるのは高感度・高速形だけです——15mA以下・0.1秒以下という条件。
一般の分電盤に付く30mAでは足りません——数値を正確に覚えます。
接地の目的をもう一度
機器の外箱が漏電で充電されたとき、触れた人に電流が流れるのを防ぐのが接地です。
接地抵抗が低ければ、電流は大地へ逃げます——人体には流れにくくなるのです。
同時に地絡電流が流れ、保護装置が動作します——接地は2つの役割を果たしています。
D種接地工事の要件
| 項目 | 基準 |
| ★接地抵抗値 | ★★100Ω以下(0.5秒以内に自動遮断すれば500Ω以下) |
| ★接地線の太さ | ★★直径1.6mm以上の軟銅線 |
| ★対象 | ★★300V以下の低圧用機械器具の金属製外箱等 |
29条が省略を認めるのは、このD種(又はC種)接地です——A種・B種は省略できません。
0.5秒以内の自動遮断で500Ωまで緩和——ここでも「速く切れば緩められる」という発想です。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は2重絶縁の構造——「過負荷保護装置付」ではない。
② (イ)は絶縁変圧器——「単巻変圧器」では非接地にできない。
③ (ウ)(エ)は15mA・0.1秒——30mAや0.3秒ではない。
④ c号は水気のある場所以外に限られる。
💡 覚え方
解釈29条=機械器具の金属製外箱等の接地を省略できるのは①電気用品安全法の適用を受ける2重絶縁の構造の機械器具 ②電源側に絶縁変圧器(2次側線間電圧300V以下・容量3kV·A以下)を施設し負荷側を接地しない場合 ③水気のある場所以外で電気用品安全法の適用を受ける漏電遮断器(定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型)を施設する場合——など。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「過負荷保護装置付」ではなく2重絶縁の構造。(イ)は「単巻変圧器」ではなく絶縁変圧器。(ウ)(エ)は「30mA」「0.3秒」ではなく15mA・0.1秒。
まとめ
| (ア) | 2重絶縁の構造 |
| (イ) | 絶縁変圧器(2次300V以下・3kVA以下) |
| (イ)の条件 | 負荷側を接地しない |
| (ウ)漏電遮断器の感度 | 15mA以下 |
| (エ)動作時間 | 0.1秒以下 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・接地工事を施す接地点(電気設備技術基準の解釈57):【法規】平成28年度 A問題2
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