電気設備技術基準の解釈94【電験3種 法規】太陽電池発電所は充電部露出せず・開閉器・短絡・合成樹脂管工事=(1) 平成21年度 A問題8 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成21年度 A問題8 太陽電池発電所の配線!合成樹脂管も使える

今回は平成21年度 法規科目 A問題8太陽電池発電所に施設する太陽電池モジュール等(電気設備技術基準の解釈第200条)に関する空欄補充問題です。充電部の防護・開閉器・短絡保護・屋内配線工事が問われます。

骨格は「充電部分を露出させない」「負荷側電路の接続点に近接して開閉器」「並列接続電路は短絡保護に過電流遮断器」「屋内配線は合成樹脂管・金属管・可とう電線管・ケーブル工事」。短絡保護と開閉器がポイントです。

目次

答えは(1):充電部分・開閉器・短絡・合成樹脂管工事

電気設備技術基準の解釈 第200条(太陽電池発電所等の電線等の施設)

1 充電部分が露出しないように施設すること。/2 太陽電池モジュールに接続する負荷側の電路(複数の太陽電池モジュールを施設した場合はその集合体に接続する負荷側の電路)には、その接続点に近接して開閉器その他これに類する器具(負荷電流を開閉できるものに限る。)を施設すること。/3 太陽電池モジュールを並列に接続する電路には、その電路に短絡を生じた場合に電路を保護する過電流遮断器その他の器具を施設すること。ただし、当該電路が短絡電流に耐えるものである場合は、この限りでない。/4 電線を屋内に施設する場合は、合成樹脂管工事、金属管工事、可とう電線管工事又はケーブル工事によること。

★4つの要件——露出防止・開閉器・短絡保護・屋内配線の工事。

太陽電池は日が当たる限り発電を続けます——「切れない電源」を扱うための条文です。

平成21年度 法規科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成21年度 A問題8 問題文
平成21年度 法規科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題8

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成21年度 A問題8

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく、太陽電池発電所に施設する太陽電池モジュール等に関する記述の一部である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

1.(ア)が露出しないように施設すること。

2.太陽電池モジュールに接続する負荷側の電路(複数の太陽電池モジュールを施設した場合にあっては、その集合体に接続する負荷側の電路)には、その接続点に近接して(イ)その他これに類する器具(負荷電流を開閉できるものに限る。)を施設すること。

3.太陽電池モジュールを並列に接続する電路には、その電路に(ウ)を生じた場合に電路を保護する過電流遮断器その他の器具を施設すること。ただし、当該電路が(ウ)電流に耐えるものである場合は、この限りでない。

4.電線を屋内に施設する場合にあっては、(エ)、金属管工事、可とう電線管工事又はケーブル工事により施設すること。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)充電部分開閉器短絡合成樹脂管工事
(2)充電部分遮断器過負荷合成樹脂管工事
(3)接続部分遮断器短絡金属ダクト工事
(4)充電部分開閉器短絡金属ダクト工事
(5)接続部分開閉器過負荷合成樹脂管工事
答え(ア)充電部分・(イ)開閉器・(ウ)短絡・(エ)合成樹脂管工事 = (1)

★なぜ「開閉器」で「遮断器」ではないのか

条文の言葉ダミー語違い
開閉器(負荷電流を開閉できるもの)★★開閉器(負荷電流を開閉できるもの)★遮断器★★手動で切り離す装置/自動で事故電流を切る装置
点検時に切り離す★★点検時に切り離す★事故時に自動で切る★★目的が違う

2の規定は、点検・保守のときに切り離すためのものです——自動で切る話ではありません

「負荷電流を開閉できるものに限る」という括弧書きが手がかり——断路器では負荷電流を切れません

短絡保護は3で別に規定されています——条文の構造から答えが決まります

★なぜ並列接続の電路に短絡保護が要るのか

I_{sc,1} \approx 1.1 I_{mp}
1ストリングの短絡電流
太陽電池は電流源的なので、短絡電流は定格の1割増し程度
I_{sc,n} = (n-1) I_{sc,1}
n並列のうち1ストリングが地絡した場合
他の(n-1)ストリングから電流が逆流してくる

1ストリング単体では、短絡電流は小さいままです——だから保護が要らないように見えます

ところが並列に多数つなぐと、他から電流が逆流します——合計すれば大電流になります。

だから並列接続の電路には短絡保護が要る——「過負荷」ではなく「短絡」なのです。

★屋内配線の工事は4種類

工事可否
★合成樹脂管工事★★可
★金属管工事★★可
★可とう電線管工事★★可
★ケーブル工事★★可
★金属ダクト工事★★不可

いずれも電線を管や被覆で覆う工事です——充電部を露出させないという1の要件と整合します。

金属ダクト工事は開口部があるので含まれません——選択肢のダミーです。

★太陽電池は「切れない電源」

普通の発電機は、止めれば電圧がゼロになります——太陽電池は日が当たる限り発電します

遮断器を開いても、モジュール側は充電されたまま——作業者にとっては常に活線です。

だから「充電部分が露出しないように」という1が最初に来る——条文の順序にも意味があります

直流回路の開閉が難しい理由

交流直流
★電流のゼロ点★★1秒間に100〜120回ある★★ない
★アークの消弧★★ゼロ点で自然に消える★★強制的に引き伸ばして消す必要がある
★開閉器★★一般的なもの★★直流用の専用品が必要

直流はアークが消えにくい——だから直流用の開閉器を使います

交流用を直流回路に使うと、アークが持続して焼損します——実務での重要な注意点です。

太陽電池発電設備の保護装置

装置役割
★逆流防止ダイオード★★他のストリングからの逆流を防ぐ
★バイパスダイオード★★影になったセルを迂回しホットスポットを防ぐ
★直流開閉器★★点検時にストリングを切り離す
★SPD(避雷器)★★雷サージから機器を守る

逆流防止ダイオードは、3の短絡保護を補う役割も果たします——他ストリングからの逆流を止めるからです。

ただし条文が求めるのは過電流遮断器等——ダイオードだけでは足りません

ただし書き——短絡電流に耐える場合

電路そのものが短絡電流に耐えるなら、保護器具は不要です——電線が焼けないから

太陽電池の短絡電流は定格の1.1倍程度で頭打ち——電線を太くすれば耐えられます

平成29年度 A問題7の低圧幹線(148条d号)でも同じ発想が使われていました。

太陽電池発電所の規模と区分

出力区分
★50kW未満(低圧連系)★★一般用電気工作物
★50kW以上2 000kW未満★★自家用(主任技術者の外部委託が可能)
★2 000kW以上★★自家用(主任技術者の選任が必要)

200条は規模を問わず適用されます——技術基準は出力で緩まないのです。

50kWと2 000kWは、法的な扱いの境目です。

近年の出題傾向

太陽光発電の普及に伴い、関連条文の出題が増えています——16条(絶縁耐力)・148条(低圧幹線)・200条・220条台

再生可能エネルギーは電験3種の重要テーマ——法規だけでなく電力・機械にもまたがります

まとめて学ぶと効率がよい分野です。

太陽電池発電設備の点検項目

項目見るところ
★モジュール外観★★割れ・変色・ホットスポットの痕跡
★接続箱・集電箱★★端子の緩み・浸水・ダイオードの健全性
★絶縁抵抗★★遮光してから測定する
★架台・基礎★★腐食・ボルトの緩み・地盤の沈下

絶縁抵抗の測定は、遮光するか夜間に行います——発電中は正しく測れないうえ危険だからです。

「切れない電源」であることが、点検の難しさそのものです。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は充電部分——「接続部分」ではない。
② (イ)は開閉器——「遮断器」ではない。負荷電流を開閉するもの。
③ (ウ)は短絡——「過負荷」ではない。並列接続で逆流するから。
④ (エ)は合成樹脂管工事——「金属ダクト工事」は不可。

💡 覚え方
解釈200条=太陽電池発電所等は①充電部分が露出しないように施設 ②負荷側電路の接続点に近接して開閉器(負荷電流を開閉できるもの)③並列接続の電路には短絡を生じた場合に保護する過電流遮断器等(短絡電流に耐えるものを除く)④屋内配線は合成樹脂管・金属管・可とう電線管・ケーブル工事のいずれか。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「接続部分」ではなく充電部分(イ)は「遮断器」ではなく開閉器(ウ)は「過負荷」ではなく短絡(エ)に「金属ダクト工事」は含まれない

まとめ

(ア)充電部分が露出しないように
(イ)負荷側接続点開閉器(負荷電流を開閉)
(ウ)並列接続電路短絡保護に過電流遮断器
(エ)屋内配線合成樹脂管/金属管/可とう電線管/ケーブル工事
除外短絡電流に耐える電路
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・太陽電池モジュールの絶縁性能(電気設備技術基準の解釈60):【法規】平成28年度 A問題6
・第1次接近状態及び第2次接近状態(電気設備技術基準の解釈93):【法規】平成21年度 A問題7

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