今回は平成21年度 法規科目 B問題13、低圧幹線の三相短絡電流を%インピーダンスで求め、配線用遮断器(CB)の遮断容量を選定する問題です。短絡点までのインピーダンスを合成するのがポイントです。
核心は「短絡点までの%Zだけを合成する」こと。F点(変圧器直下)は変圧器のみ、分電盤のCB2は変圧器+ケーブルを合成。遮断容量は短絡電流の直近上位の規格値を選びます。
答えは(a)23kA・(b)CB1=25kA・CB2=5kA
遮断器の選定は実務そのものです——遮断できなければ大事故になります。
平成21年度 法規科目 B問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題13
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成21年度 B問題13
三相210V低圧幹線の計画図。基準容量200kV·A・基準電圧210V、変圧器%R=1.4%・%X=2.0%、ケーブル%R=8.8%・%X=2.8%。F点は変圧器直下(ケーブル手前)、CB1は低圧配電盤、CB2は分電盤(ケーブルの先)。次の(a)及び(b)に答えよ。
(図は上の画像を参照してください。)
図は、三相210V低圧幹線の計画図の一部である。低圧配電盤から分電盤に至る低圧幹線に施設する配線用遮断器に関して、次の(a)及び(b)に答えよ。基準容量200kV·A・基準電圧210Vとして、変圧器の%R=1.4%・%X=2.0%、ケーブルの%R=8.8%・%X=2.8%とし、変圧器より電源側等は無視する。F点は低圧配電盤内(変圧器直下、ケーブル手前)、CB2は分電盤(ケーブルの先)にある。
(a) F点における三相短絡電流[kA]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)から一つ選べ。
(1)20 (2)23 (3)26 (4)31 (5)35 kA
(b) 配線用遮断器CB1及びCB2の遮断容量[kA]の値として、最も適切な組み合わせを選べ。ただし、CB1とCB2は、三相短絡電流の値の直近上位の遮断容量[kA]の配線用遮断器を選択するものとする。
CB1[kA] CB2[kA] (1) 5 2.5 (2) 10 2.5 (3) 22 5 (4) 25 5 (5) 35 10



★★基準電流を求める
★これが計算の土台
%インピーダンスは基準容量・基準電圧に対する値です——まず基準電流を出す。
三相なので√3で割ります——S=√3VI。
低圧210Vなので電流が大きくなります——だから短絡電流もkAオーダーに。
★★(a)F点は変圧器のみ
抵抗分とリアクタンス分の二乗和
(a)の答え=23kA
F点はケーブルの手前なので、ケーブルの%Zは入りません——ここが急所。
%Rと%Xは直交するので、単純に足さず二乗和の平方根です。
%Zが小さいほど短絡電流は大きい——反比例します。
★★CB2はケーブルも合成する
変圧器+ケーブル
直近上位は5kA
%Rどうし・%Xどうしは足せます——直列だから。
合成してから二乗和の平方根をとる——順序が大切です。
ケーブルが入ると%Zが4.6倍になり、短絡電流は1/4以下に。
★★ケーブルが短絡電流を抑える
| 位置 | %Z | 短絡電流 | 遮断容量 |
| ★F点(変圧器直下) | ★★2.44% | ★★22.5kA | ★★25kA |
| ★CB2(ケーブルの先) | ★★11.3% | ★★4.9kA | ★★5kA |
電源から遠いほど%Zが大きく、短絡電流は小さくなります——ケーブルの抵抗が効く。
だから分電盤の遮断器は小さい遮断容量で済む——経済的です。
CB1は配電盤にあるのでF点と同じ22.5kA——直近上位の25kAを選びます。
★遮断容量の規格値
| 遮断容量[kA] | 選定の考え方 |
| ★2.5・5・10 | ★★分電盤など電源から遠い場所 |
| ★25・35・50 | ★★配電盤など電源に近い場所 |
「直近上位」なので、22.5kAには25kA——10kAでは遮断できません。
4.9kAには5kA——2.5kAでは不足です。
切り上げるのは容量選定の鉄則です。
★遮断容量が不足するとどうなるか
| 事態 | 結果 |
| ★遮断できない | ★★アークが継続し遮断器が焼損・爆発する |
| ★事故の拡大 | ★★上位の遮断器が動作し停電範囲が広がる |
| ★人身災害 | ★★近くにいた作業者が被災する |
遮断容量は「これ以上の電流は切れない」という限界です——超えると装置が壊れる。
だから短絡電流を計算して確実に上回るものを選ぶのです。
設備を増設したときは再計算が必要になります。
%インピーダンスの意味
覚えるべき関係
%Zが小さいほど、短絡電流が大きくなります——電圧降下が小さい=電流が流れやすい。
大容量の変圧器ほど%Zが小さく、短絡電流が大きい——遮断器も大きくなるのです。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★基準電流=基準容量/(√3×基準電圧) | ★★√3を忘れない |
| ★② | ★★短絡点までの%Rと%Xをそれぞれ足す | ★★★短絡点より先は入れない |
| ★③ | ★★%Z=√(%R²+%X²) | ★★足してから平方根 |
| ★④ | ★★I_s=基準電流×100/%Z | ★★— |
| ★⑤ | ★★直近上位の規格値を選ぶ | ★★切り上げ |
②が本問の核心——どこで短絡したかで範囲が変わるのです。
⏱️ 本番での進め方
① 短絡点までの%Zだけを合成する。
② %Rどうし・%Xどうしは足せる——最後に二乗和の平方根。
③ I_s=基準電流×100/%Z。
④ 遮断容量は直近上位の規格値を選ぶ。
💡 覚え方
%Zによる短絡電流の計算=①基準電流=基準容量/(√3×基準電圧) ②短絡点までの%Rどうし・%Xどうしを足す ③%Z=√(%R²+%X²) ④三相短絡電流I_s=基準電流×100/%Z ⑤遮断容量は直近上位の規格値。電源から遠いほど%Zが大きく短絡電流は小さくなる。
⚠️ よくある間違い
短絡点より負荷側の機器の%Zは入れない。%Rと%Xを単純に足さない——それぞれ合成してから√(%R²+%X²)。
まとめ
| 基準電流 | 200e3/(√3×210)≒550 A |
| F点%Z | √(1.4²+2.0²)≒2.44% |
| (a)F点短絡 | 550×100/2.44≒22.5→23kA →(2) |
| CB1 | 22.5kA→直近上位25kA |
| CB2%Z | √(10.2²+4.8²)≒11.3%、I_s≒4.9kA |
| (b) | CB1=25/CB2=5kA →(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・三相短絡と%Z基準統一(電気施設管理-計算24):【法規】平成29年度 B問題12
・キュービクルの主遮断装置(電気施設管理15):【法規】平成23年度 A問題10
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