今回は平成21年度 法規科目 B問題11、低圧電路の一相の絶縁抵抗が低下したとき、B種接地工事の接地線に流れる電流I_Bの式と数値を求める問題です。地絡電流の式の構成を理解しているかが問われます。
式の骨格は「抵抗分(R_G+R_B)と、対地静電容量分(3ωC)の合成」。分母のC項は36π²f²C²(=(3ωC)²)が特徴。低圧では対地静電容量が小さく、実際にはほぼ抵抗和で決まります。
平成21年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成21年度 B問題11
相電圧E、周波数fの対称三相3線式低圧電路があり、変圧器中性点にB種接地工事(接地抵抗R_B)が施されている。一相当たりの対地静電容量C。一相のみが絶縁抵抗値R_Gに低下したとき、B種接地線に流れる電流I_Bを求める。次の(a)及び(b)に答えよ。
(図は上の画像を参照してください。上記以外のインピーダンスは無視。)
図に示すような、相電圧E[V]、周波数f[Hz]の対称三相3線式低圧電路があり、変圧器の中性点にB種接地工事が施されている。B種接地抵抗値をR_B[Ω]、電路の一相当たりの対地静電容量をC[F]とする。この電路の絶縁抵抗が劣化により、電路の一相のみが絶縁抵抗値R_G[Ω]に低下した。次の(a)及び(b)に答えよ。ただし、上記以外のインピーダンスは無視する。
(a) 劣化により一相のみが絶縁抵抗値R_Gに低下したとき、B種接地工事の接地線に流れる電流の大きさをI_B[A]とする。このI_Bを表す式として正しいものを選べ(他の相の対地コンダクタンスは無視)。
(1) E/√(R_B²+36π²f²C²R_B²R_G²) (2) 3E/√((R_G+R_B)²+4π²f²C²R_B²R_G²) (3) E/√((R_G+R_B)²+4π²f²C²R_B²R_G²) (4) E/√(R_G²+36π²f²C²R_B²R_G²) (5) E/√((R_G+R_B)²+36π²f²C²R_B²R_G²)
(b) 相電圧Eを100V、周波数fを50Hz、対地静電容量Cを0.1μF、絶縁抵抗値R_Gを100Ω、接地抵抗値R_Bを15Ωとするとき、(a)のI_Bの値[A]として、最も近いものを選べ。
(1)0.87 (2)0.99 (3)1.74 (4)2.61 (5)6.67 A



答えは(a)(5)・(b)0.87A
式の構成を理解しているかが問われる問題です。
★★(a)式の骨格を読む
| 部分 | 意味 |
| ★分子 E | ★★相電圧が電流を押し出す |
| ★(R_G+R_B)² | ★★★抵抗分(直列なので和) |
| ★36π²f²C²R_B²R_G² | ★★対地静電容量分(=(3ωC·R_B·R_G)²) |
抵抗分と静電容量分のベクトル和です——だから二乗和の平方根。
R_GとR_Bは直列なので足す——選択肢(1)(4)はR_Bだけ・R_Gだけで誤り。
分子が3Eの選択肢(2)も誤り——1相だけの劣化なので3倍しない。
★★36π²という係数の由来
これが式の特徴
3ωCを2乗すると36π²f²C²になります——係数の由来。
4π²f²(=(2πf)²)の選択肢(2)(3)は「3」が抜けている——3相分を考えていないのです。
係数を見るだけで選択肢が絞れます。
★電流が流れる経路
| 段階 | 経路 |
| ★① | ★★変圧器の中性点から電圧が加わる |
| ★② | ★★劣化した相の絶縁抵抗R_Gを通って大地へ |
| ★③ | ★★大地からB種接地抵抗R_Bを通って中性点へ戻る |
R_GとR_Bが直列につながった閉回路です——だから抵抗は和。
これがB種接地線を流れる電流I_B——漏電の実体です。
健全時は対地静電容量による充電電流だけ——絶縁が劣化すると大きく増えるのです。
★★(b)静電容量分は無視できる
★115に比べて無視できる
(b)の答え
静電容量分0.141は抵抗分115の1000分の1以下です——完全に無視できる。
だから I_B ≒ E/(R_G+R_B) で計算してよい——100/115=0.87A。
低圧では対地静電容量が小さいので、こうなるのが普通です。
★高圧との違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 低圧(本問) | ★★低圧(本問) | ★高圧 | ★★抵抗分が支配的/対地静電容量が支配的 |
| 絶縁抵抗が地絡電流を決める | ★★絶縁抵抗が地絡電流を決める | ★静電容量が地絡電流を決める | ★★非接地方式かどうかも影響 |
高圧の非接地系では、地絡電流は静電容量で決まります——I_g=3ωCE。
低圧のB種接地系では、抵抗で決まります——接地されているから。
接地方式によって支配要因が変わる——ここが理解の核心です。
★0.87Aという電流の意味
| 観点 | 内容 |
| ★漏電遮断器 | ★★定格感度電流30mAなら確実に動作する |
| ★人体への危険 | ★★870mAは致死的なレベル |
| ★検出 | ★★接地線の電流測定で発見できる |
0.87Aは大きな漏電電流です——絶縁抵抗100Ωは著しい劣化。
解釈14条の基準(0.1MΩ以上)から大きく外れています——100Ωは0.0001MΩ。
直ちに措置が必要な状態です。
B種接地の役割の再確認
低圧側全体の電位上昇
接地抵抗が小さいほど、電位上昇も小さいのです——13V。
もしR_Bが100Ωなら87Vになります——危険が増す。
だからB種接地抵抗値に上限が定められているのです。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★電流の経路を確認する | ★★R_GとR_Bは直列 |
| ★② | ★★抵抗分は(R_G+R_B) | ★★片方だけにしない |
| ★③ | ★★静電容量分は3ωCとして効く | ★★36π²の係数 |
| ★④ | ★★数値を入れて大小を比較する | ★★低圧では静電容量分を無視できる |
④で桁を比較する習慣が大切——計算が大幅に楽になるのです。
絶縁抵抗の管理値
| 電路の使用電圧 | 絶縁抵抗値(解釈14条) |
| ★300V以下(対地電圧150V以下) | ★★0.1MΩ以上 |
| ★300V以下(対地電圧150V超) | ★★0.2MΩ以上 |
| ★300V超 | ★★0.4MΩ以上 |
本問のR_G=100Ωは0.0001MΩ——基準の1000分の1以下です。
実際にはここまで劣化する前に発見・措置します——定期的な絶縁抵抗測定の意義がここにあります。
⏱️ 本番での進め方
① 抵抗分は(R_G+R_B)——直列なので和。
② 静電容量分は3ωCとして効き、2乗で36π²f²C²。
③ 分子はE——1相の劣化なので3Eではない。
④ 低圧では静電容量分は無視できる——ほぼE/(R_G+R_B)。
💡 覚え方
低圧電路の一相絶縁劣化時のB種接地線電流=I_B=E/√((R_G+R_B)²+36π²f²C²R_B²R_G²)。R_GとR_Bは直列なので抵抗は和。36π²f²C²は(3ωC)²から来る。低圧では対地静電容量が小さいため、実際はほぼ I_B≒E/(R_G+R_B)。
⚠️ よくある間違い
抵抗をR_BだけやR_Gだけにしない——直列なので和。係数は4π²ではなく36π²——3相分の3が2乗で9倍。分子は3EではなくE——1相のみの劣化。
まとめ
| (a)式 | E/√((R_G+R_B)²+36π²f²C²R_B²R_G²) →(5) |
| 抵抗分 | (100+15)²=13225 |
| C分 | 36π²×50²×(0.1e-6)²×15²×100²≒0.02 |
| (b)I_B | 100/√13225≒0.87 A →(1) |
| C項の意味 | 3ωC=6πfC(三相・零相) |
| 低圧の特徴 | Cが小さくほぼ抵抗和で決まる |
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