電気施設管理-計算38【電験3種 法規】接地線電流はC分でほぼ決まらず抵抗和!式(5)・0.87A=(a)(5)(b)(1) 平成21年度 B問題11 完全解説

電験3種 法規科目 電気施設管理 平成21年度 B問題11 B種接地線に流れる電流!0.87Aを導く

今回は平成21年度 法規科目 B問題11低圧電路の一相の絶縁抵抗が低下したとき、B種接地工事の接地線に流れる電流I_Bの式と数値を求める問題です。地絡電流の式の構成を理解しているかが問われます。

式の骨格は「抵抗分(R_G+R_B)と、対地静電容量分(3ωC)の合成」。分母のC項は36π²f²C²(=(3ωC)²)が特徴。低圧では対地静電容量が小さく、実際にはほぼ抵抗和で決まります。

目次

平成21年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成21年度 B問題11 問題文
平成21年度 法規科目 B問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11

電験3種 法規科目 【電気施設管理】 平成21年度 B問題11

 相電圧E、周波数fの対称三相3線式低圧電路があり、変圧器中性点にB種接地工事(接地抵抗R_B)が施されている。一相当たりの対地静電容量C。一相のみが絶縁抵抗値R_Gに低下したとき、B種接地線に流れる電流I_Bを求める。次の(a)及び(b)に答えよ。

(図は上の画像を参照してください。上記以外のインピーダンスは無視。)

図に示すような、相電圧E[V]、周波数f[Hz]の対称三相3線式低圧電路があり、変圧器の中性点にB種接地工事が施されている。B種接地抵抗値をR_B[Ω]、電路の一相当たりの対地静電容量をC[F]とする。この電路の絶縁抵抗が劣化により、電路の一相のみが絶縁抵抗値R_G[Ω]に低下した。次の(a)及び(b)に答えよ。ただし、上記以外のインピーダンスは無視する。

(a) 劣化により一相のみが絶縁抵抗値R_Gに低下したとき、B種接地工事の接地線に流れる電流の大きさをI_B[A]とする。このI_Bを表す式として正しいものを選べ(他の相の対地コンダクタンスは無視)。

(1) E/√(R_B²+36π²f²C²R_B²R_G²) (2) 3E/√((R_G+R_B)²+4π²f²C²R_B²R_G²) (3) E/√((R_G+R_B)²+4π²f²C²R_B²R_G²) (4) E/√(R_G²+36π²f²C²R_B²R_G²) (5) E/√((R_G+R_B)²+36π²f²C²R_B²R_G²)

(b) 相電圧Eを100V、周波数fを50Hz、対地静電容量Cを0.1μF、絶縁抵抗値R_Gを100Ω、接地抵抗値R_Bを15Ωとするとき、(a)のI_Bの値[A]として、最も近いものを選べ。

(1)0.87 (2)0.99 (3)1.74 (4)2.61 (5)6.67 A

平成21年度 B問題11 三相3線式低圧電路とB種接地
平成21年度 B問題11 三相3線式低圧電路とB種接地
平成21年度 B問題11 三相3線式低圧電路とB種接地
平成21年度 B問題11 三相3線式低圧電路とB種接地
答え(a)(5)/(b)100/(100+15)≒0.87A = (1)

答えは(a)(5)・(b)0.87A

低圧電路の絶縁劣化とB種接地線に流れる電流

★一相の絶縁抵抗がR_Gに低下すると、R_G → 大地 → R_B → 中性点という経路で電流が流れる。/★経路の抵抗はR_G + R_B(直列)/★対地静電容量分は3ωCとして効き、式の分母に 36π²f²C²R_B²R_G²(=(3ωC·R_B·R_G)²)が現れる。/★I_B = E / √((R_G+R_B)² + 36π²f²C²R_B²R_G²)

★低圧では対地静電容量が小さく、実際はほぼ抵抗和で決まります。

式の構成を理解しているかが問われる問題です。

★★(a)式の骨格を読む

部分意味
★分子 E★★相電圧が電流を押し出す
★(R_G+R_B)²★★★抵抗分(直列なので和)
★36π²f²C²R_B²R_G²★★対地静電容量分(=(3ωC·R_B·R_G)²)

抵抗分と静電容量分のベクトル和です——だから二乗和の平方根

R_GとR_Bは直列なので足す——選択肢(1)(4)はR_Bだけ・R_Gだけで誤り

分子が3Eの選択肢(2)も誤り——1相だけの劣化なので3倍しない

★★36π²という係数の由来

$$3\omega C = 3 \times 2\pi f \times C = 6\pi f C$$
3相分の対地静電容量のサセプタンス
$$(3\omega C)^2 = (6\pi f C)^2 = 36\pi^2 f^2 C^2$$
★2乗すると36π²が現れる
これが式の特徴

3ωCを2乗すると36π²f²C²になります——係数の由来

4π²f²(=(2πf)²)の選択肢(2)(3)は「3」が抜けている——3相分を考えていないのです。

係数を見るだけで選択肢が絞れます

★電流が流れる経路

段階経路
★①★★変圧器の中性点から電圧が加わる
★②★★劣化した相の絶縁抵抗R_Gを通って大地へ
★③★★大地からB種接地抵抗R_Bを通って中性点へ戻る

R_GとR_Bが直列につながった閉回路です——だから抵抗は和

これがB種接地線を流れる電流I_B——漏電の実体です。

健全時は対地静電容量による充電電流だけ——絶縁が劣化すると大きく増えるのです。

★★(b)静電容量分は無視できる

$$R_G + R_B = 100 + 15 = 115\,\Omega$$
抵抗分
$$3\omega C R_B R_G = 6\pi \times 50 \times 0.1\times10^{-6} \times 15 \times 100$$
静電容量分
$$\approx 6 \times 3.1416 \times 50 \times 10^{-7} \times 1500 \approx 0.141$$
計算結果
★115に比べて無視できる
$$I_B \approx \dfrac{100}{\sqrt{115^2 + 0.141^2}} \approx \dfrac{100}{115} \approx 0.87\,\mathrm{[A]}$$
実質的に抵抗だけで決まる
(b)の答え

静電容量分0.141は抵抗分115の1000分の1以下です——完全に無視できる

だから I_B ≒ E/(R_G+R_B) で計算してよい——100/115=0.87A

低圧では対地静電容量が小さいので、こうなるのが普通です。

★高圧との違い

条文の言葉ダミー語違い
低圧(本問)★★低圧(本問)★高圧★★抵抗分が支配的/対地静電容量が支配的
絶縁抵抗が地絡電流を決める★★絶縁抵抗が地絡電流を決める★静電容量が地絡電流を決める★★非接地方式かどうかも影響

高圧の非接地系では、地絡電流は静電容量で決まります——I_g=3ωCE

低圧のB種接地系では、抵抗で決まります——接地されているから

接地方式によって支配要因が変わる——ここが理解の核心です。

★0.87Aという電流の意味

観点内容
★漏電遮断器★★定格感度電流30mAなら確実に動作する
★人体への危険★★870mAは致死的なレベル
★検出★★接地線の電流測定で発見できる

0.87Aは大きな漏電電流です——絶縁抵抗100Ωは著しい劣化

解釈14条の基準(0.1MΩ以上)から大きく外れています——100Ωは0.0001MΩ

直ちに措置が必要な状態です。

B種接地の役割の再確認

$$V = I_B R_B = 0.87 \times 15 \approx 13\,\mathrm{[V]}$$
B種接地抵抗に生じる電圧
低圧側全体の電位上昇

接地抵抗が小さいほど、電位上昇も小さいのです——13V

もしR_Bが100Ωなら87Vになります——危険が増す

だからB種接地抵抗値に上限が定められているのです。

計算の手順をまとめる

手順やること落とし穴
★①★★電流の経路を確認する★★R_GとR_Bは直列
★②★★抵抗分は(R_G+R_B)★★片方だけにしない
★③★★静電容量分は3ωCとして効く★★36π²の係数
★④★★数値を入れて大小を比較する★★低圧では静電容量分を無視できる

④で桁を比較する習慣が大切——計算が大幅に楽になるのです。

絶縁抵抗の管理値

電路の使用電圧絶縁抵抗値(解釈14条)
★300V以下(対地電圧150V以下)★★0.1MΩ以上
★300V以下(対地電圧150V超)★★0.2MΩ以上
★300V超★★0.4MΩ以上

本問のR_G=100Ωは0.0001MΩ——基準の1000分の1以下です。

実際にはここまで劣化する前に発見・措置します——定期的な絶縁抵抗測定の意義がここにあります。

⏱️ 本番での進め方
① 抵抗分は(R_G+R_B)——直列なので和。
② 静電容量分は3ωCとして効き、2乗で36π²f²C²。
③ 分子はE——1相の劣化なので3Eではない。
④ 低圧では静電容量分は無視できる——ほぼE/(R_G+R_B)。

💡 覚え方
低圧電路の一相絶縁劣化時のB種接地線電流=I_B=E/√((R_G+R_B)²+36π²f²C²R_B²R_G²)。R_GとR_Bは直列なので抵抗は和。36π²f²C²は(3ωC)²から来る。低圧では対地静電容量が小さいため、実際はほぼ I_B≒E/(R_G+R_B)。

⚠️ よくある間違い
抵抗をR_BだけやR_Gだけにしない——直列なので和。係数は4π²ではなく36π²——3相分の3が2乗で9倍。分子は3EではなくE——1相のみの劣化。

まとめ

(a)式E/√((R_G+R_B)²+36π²f²C²R_B²R_G²) →(5)
抵抗分(100+15)²=13225
C分36π²×50²×(0.1e-6)²×15²×100²≒0.02
(b)I_B100/√13225≒0.87 A →(1)
C項の意味3ωC=6πfC(三相・零相)
低圧の特徴Cが小さくほぼ抵抗和で決まる

▼あわせて解きたい関連問題
・B種接地工事の計算(技術基準の計算):【法規】技術基準の計算
・1線地絡電流とZCT検出(電気施設管理-計算9):【法規】令和5年度下期 B問題11

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