クリッパ回路とは?ダイオードで波形を切り取るしくみと出力波形の描き方【電験3種 理論】

クリッパ回路|ダイオードで波形を切り取るしくみ(電験3種 理論 学習ガイド)

理論科目の電子回路で出てくる「クリッパ回路」。ダイオードと電池が組み合わさった回路図を見て、出力波形のどこが切れるのか迷う人が多い分野です。

この記事では、クリッパ回路のしくみを「ダイオードがオンになる条件」から整理し、出力波形の描き方、いろいろなクリッパの違いまでを図で解説します。

この記事でわかること
✓ クリッパ回路とは何か
✓ ダイオードがオン・オフする条件と出力電圧
✓ 入力と出力の波形の描き方
✓ 上側・下側・両側を切る回路の違い

よくあるつまずき:回路の形を見た目で覚えようとすると、ダイオードや電池の向きが変わっただけで答えを外します。大事なのは「ダイオードの両端の電位を比べて、オンかオフかを決める」ことです。

目次

クリッパ回路とは:波形の一部を切り取る回路

クリッパ回路は、ダイオードと直流電源(バイアス電圧)を組み合わせて、入力波形のうち、ある電圧より上(または下)の部分を切り取る回路です。出力電圧が一定の値を超えないように抑える用途などに使われます。

回路と動作:ダイオードがオンになると出力が E に固定される

クリッパ回路の回路図。入力viに抵抗Rが直列につながり、出力側にダイオードDと直流電源Eが直列で並列に接続されている。vi>EのときDがオンになりvo=E
上側を E で切り取るクリッパ回路(ダイオードは理想的なものとする)

抵抗 \(R\) を直列に入れ、出力と並列に「ダイオード D + 直流電源 \(E\)」をつないだ回路です。ここでは、ダイオードを理想的なもの(オンのときは導線、オフのときは切れた線)として考えます。

入力電圧ダイオード D出力電圧
\(v_i \le E\)オフ(電流が流れない)\(v_o = v_i\)
\(v_i > E\)オン(電流が流れる)\(v_o = E\)

入力が \(E\) を超えると、ダイオードの上側(アノード)の電位が下側(カソード)の \(E\) より高くなり、ダイオードがオンになります。すると出力端子は電池に直結された状態になり、出力は E に固定されます。はみ出した分の電圧 \(v_i – E\) は、抵抗 \(R\) にかかります。

波形で確かめる

クリッパ回路の入力と出力の波形。最大10Vの正弦波の入力に対し、出力は4Vを超える部分が切り取られて4Vで平らになり、負の半周期は入力と同じ
入力(最大 10 V)のうち、E = 4 V を超える部分が切り取られる

入力が 4 V を超えている間だけ、出力は 4 V で平らになります。負の半周期ではダイオードはオフのままなので、出力は入力と同じ波形です。

計算例:入力の最大値が 10 V、E=4 V、R=1 kΩ のとき(負荷はつながっていないとする)、入力が最大のときにダイオードに流れる電流は次のとおりです。

\[ i_D = \frac{v_i – E}{R} = \frac{10 – 4}{1\ \mathrm{k\Omega}} = 6\ \mathrm{mA} \]

抵抗 \(R\) は、ダイオードに流れる電流を制限する役目をしています。\(R\) がないと、入力から電池に大きな電流が流れてしまいます。

なお、実際のシリコンダイオードには約 0.6〜0.7 V の順方向電圧があるので、切り取られる電圧は \(E\) よりこの分だけ高くなります。試験では「理想ダイオード」か「順方向電圧を考える」かが問題文に書かれているので、条件を必ず確認しましょう。

いろいろなクリッパ回路

クリッパ回路の出力波形の例。上側を切る、下側を切る、両側を切る(リミッタ)、0Vで下側を切る(半波整流と同じ形)の4種類
ダイオードと電池の向き・組み合わせで、切り取る部分が変わる
出力波形回路の変え方
上側を E で切る基本形(この記事の回路)
下側を −E で切るダイオードと電池の向きを両方逆にする
両側を切る(リミッタ)上側用と下側用の回路を並列に2組つなぐ
0 V より下を切る下側を切る回路で E=0 にする(半波整流と同じ形)

つまずきポイント:どの形の回路でも、考え方は同じです。「入力がいくつのとき、ダイオードのアノードの電位がカソードより高くなるか」を調べれば、切り取られる電圧と向きが決まります。

よくある間違い

  • 回路の形だけで切れる側を覚える:ダイオードと電池の向きが変わると、切れる側も変わります。オン・オフの条件から判断しましょう。
  • オンのときの出力を 0 V にしてしまう:並列形では、オンのとき出力は電池の電圧 E に固定されます。
  • 抵抗 R の電圧を忘れる:はみ出した分の電圧 vᵢ − E は、抵抗にかかります。
  • 順方向電圧の条件を見落とす:理想ダイオードか、0.6〜0.7 V を考えるのかを問題文で確認しましょう。

解くときのコツ:波形を描く問題では、まず「ダイオードが切り替わる入力電圧」を求め、入力波形にその電圧の水平線を引きます。線を超えている間だけ出力を平らにすれば、出力波形が完成します。

過去問で確かめる

この記事の内容は、次の過去問で実際に問われています。

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まとめ

  • クリッパ回路は、ダイオードと電池で、入力波形の一部を切り取る回路。
  • 並列形では、ダイオードがオンになると出力は電池の電圧 E に固定される。
  • はみ出した分の電圧は抵抗 R にかかり、R はダイオードの電流を制限する。
  • 切れる側は、ダイオードのオン・オフの条件から判断する。
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