変電25【電験3種 電力】Y-Y結線は第三調波が弱点!Δ三次巻線で解消 平成29年度 A問題7 完全解説

電験3種 電力科目 変電 平成29年度 A問題7 Y-Y結線の泣きどころ!第三調波はΔ巻線で逃がす

今回は平成29年度 電力科目 A問題7、変圧器のY-Y結線方式の特徴に関する空欄補充問題です。中性点接地の利点と、第三調波という弱点、そしてそれをΔ三次巻線で解消する——Y-Y結線の要点が一問に詰まっています。

覚える骨格は2つ。利点は一次・二次とも中性点を接地できること(異常電圧の抑制・絶縁低減・保護リレーの確実動作)。弱点は相電圧が第三調波を含むひずみ波形になること。これをΔ結線の三次巻線で第三調波を還流させて解消します。

目次

平成29年度 電力科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 平成29年度 A問題7 問題文
平成29年度 電力科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7

電験3種 電力科目 【変電】 平成29年度 A問題7

 一般に、変圧器のY-Y結線は、一次、二次側の中性点を接地でき、1線地絡などの故障に伴い発生する(ア)の抑制、電線路及び機器の絶縁レベルの低減、地絡故障時の(イ)の確実な動作による電線路や機器の保護等、多くの利点がある。一方、相電圧は(ウ)を含むひずみ波形となるため、中性点を接地すると、(ウ)電流が線路の静電容量を介して大地に流れることから、通信線への(エ)障害の原因となる等の欠点がある。このため、(オ)による三次巻線を設けて、これらの欠点を解消する必要がある。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

次の文章は、変圧器のY-Y結線方式の特徴に関する記述である。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)異常電流避雷器第二調波静電誘導Δ結線
(2)異常電圧保護リレー第三調波電磁誘導Y結線
(3)異常電圧保護リレー第三調波電磁誘導Δ結線
(4)異常電圧避雷器第三調波電磁誘導Δ結線
(5)異常電流保護リレー第二調波静電誘導Y結線
答え正解は (3)——(ア)異常電圧 (イ)保護リレー (ウ)第三調波 (エ)電磁誘導 (オ)Δ結線 です。

(ア)(イ) 中性点接地の2つの利点

Y結線には中性点があります——そこを接地できることが最大の利点です。

利点内容
★異常電圧の抑制★1線地絡時に健全相の電位上昇を抑える
★絶縁レベルの低減★対地電圧が上がらないので絶縁を弱くできる
★保護リレーの確実な動作★地絡電流が流れるので検出できる

非接地なら1線地絡でも運転を続けられます——けれども健全相の対地電圧が√3倍に上がるのです。

だから接地して電位を固定する——それが(ア)の異常電圧の抑制になります。

接地していれば地絡電流が流れるので、検出できる——だから(イ)は保護リレーです。

「避雷器」は過電圧を逃がす装置で、故障を検出しません——問題文が「確実な動作による保護」と書いているのはリレーの話。

(ウ)(エ) Y-Y結線の弱点

利点の裏返しが、そのまま欠点になります

起きること
★鉄心が磁気飽和し、励磁電流に第三調波が含まれる
★②★Y-Yには第三調波の逃げ場がない
★③★相電圧が第三調波を含むひずみ波になる
★④★中性点を接地すると、線路の静電容量を介して大地へ流れる
★⑤★近接する通信線に電磁誘導障害を起こす

第三調波は3相とも同位相(零相)——打ち消し合わずに合流します

大地へ流れる零相電流が、近くの通信線に誘導を起こす——電流が作る磁界による誘導なので電磁誘導です。

「静電誘導」は電圧(電位)による誘導——問題文が「電流が流れる」と書いているので電磁誘導になります。

2つの誘導障害を区別する

★静電誘導★電磁誘導
★原因★電線の電位(電圧)★電線を流れる電流
★媒介★静電容量★相互インダクタンス
★起きるとき★常時も(不平衡があれば)★地絡など大電流が流れたとき

電圧なら静電、電流なら電磁——これで区別できます

(オ) 三次巻線をΔにする

Δ巻線を1つ加えれば、第三調波の逃げ場ができます

結線第三調波評価
★Y-Y★逃げ場がなく外へ流れる★実際には使わない
★Y-Y-Δ★三次のΔ内を環流する★大容量送電用の標準

三次巻線は「安定巻線」とも呼ばれます——波形を安定させるからです。

そのうえで、調相設備の接続や所内電源にも使えます——一石二鳥になります。

「Y結線」では逃げ場になりません——閉ループがないと環流できないのです。

⚠️ よくある間違い
(ア)を「異常電流」としてしまう——選択肢(1)(5)がそれです。中性点接地が抑えるのは電圧
(イ)を「避雷器」としてしまう——選択肢(1)(4)地絡故障を検出して動作するのは保護リレーです。
(ウ)を「第二調波」としてしまう——選択肢(1)(5)零相になるのは3の倍数次
(エ)を「静電誘導」としてしまう——選択肢(1)(5)電流が流れることによる誘導なので電磁誘導
(オ)を「Y結線」としてしまう——選択肢(2)(5)閉ループがないと環流できません
(ア)と(オ)の2欄で(3)に確定できます。

⏱️ 本番での進め方
①★中性点接地が抑えるのは異常電圧。電流ではない。
②★地絡を検出するのは保護リレー。避雷器ではない。
③★第三調波は零相。Δがないと外へ出る。
④★電流による誘導なので電磁誘導。三次巻線はΔ。

💡 覚え方
「Yは接地できるが第三調波が逃げられない」——利点と欠点が表裏一体です。だから三次巻線をΔにする——それがY-Y-Δになります。

Δ-Y結線の利点は平成22年度 A問題7変電:主変圧器の結線)にあります。そちらは一次Δなので第三調波の問題が起きません

中性点接地方式の比較

(ア)の異常電圧抑制を、方式ごとに見ましょう

方式地絡電流健全相の電位上昇採用
★非接地★小さい★√3倍に上がる★6.6 kV 配電系統
★直接接地★大きい★ほとんど上がらない★187 kV 以上
★抵抗接地★中程度★やや上がる★22〜154 kV
消弧リアクトル接地ほぼゼロ√3倍特殊な場合

高電圧の系統ほど直接接地にします——絶縁を弱くできる効果が大きいからです。

問題文の「絶縁レベルの低減」がその利点——500 kV 系統では絶縁費用が支配的になります。

段絶縁という設計

中性点を接地すると、中性点側の電位が低くなります

だから巻線の中性点側は絶縁を薄くできる——それが段絶縁です。

非接地なら全体を線間電圧に耐える絶縁にする必要がある——費用も大きさも増します

Y結線で中性点接地できることが、そのまま経済性につながる——本問が「多くの利点」と書く理由です。

要点をもう一度

Y-Y結線の利点と欠点が、5つの空欄に収まっています

空欄答え位置づけ
(ア)★異常電圧★利点:中性点接地で抑制
(イ)★保護リレー★利点:地絡を検出できる
(ウ)★第三調波★欠点:逃げ場がない
(エ)★電磁誘導★欠点:通信線への障害
(オ)★Δ結線★対策:三次巻線

前半が利点、後半が欠点、最後が対策——構成が明快です。

(ア)と(オ)の2欄で(3)に確定できます。

三次巻線のもう1つの用途

用途内容
★第三調波の環流★波形のひずみを抑える(安定巻線)
★調相設備の接続★電力用コンデンサや分路リアクトルをつなぐ
★所内電源★変電所内の機器へ電力を供給する

1つの巻線が3つの役目を果たします——だから大容量変圧器では標準的に備えられるのです。

三次電圧は通常10〜30 kV 程度——調相設備をつなぐのに扱いやすい電圧になります。

誘導障害の対策

(エ)の電磁誘導障害には、いくつかの手立てがあります

対策内容効果
★三次巻線をΔにする★第三調波を環流させる★根本対策
★遮へい線★通信線に沿って接地線を張る★誘導を打ち消す
★離隔距離★送電線と通信線を離す★相互インダクタンスを減らす
★遮断時間の短縮★地絡を速く切る★誘導の継続時間を減らす

誘導電圧は相互インダクタンスと電流の積で決まります——どちらかを減らせばよいのです。

三次巻線をΔにするのは、電流そのものを外へ出さない方法——だから最も確実です。

問題文が「これらの欠点を解消する」と書いている——三次巻線が根本対策だという意味になります。

なぜ静電容量を介して流れるのか

第三調波は零相なので、大地へ帰る経路を探します

送電線と大地の間には静電容量があります——そこを通って大地へ流れるのです。

中性点が接地されていれば、その電流が回路を作れる——非接地なら流れようがありません

接地の利点が、そのまま第三調波の弱点になる——問題文の構成がそれを示しています

まとめ

(ア)1線地絡時の異常電圧を抑制
(イ)地絡時に保護リレーが確実動作
(ウ)相電圧は第三調波を含むひずみ波形
(エ)第三調波電流で通信線に電磁誘導障害
(オ)Δ結線の三次巻線で解消→(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・Y-Y結線の中性点接地(変電7):【電力】令和5年度下期 A問題6
・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成29年度 問題一覧(全4科目)

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