火力40【電験3種 電力】蒸気タービンの分類!固定羽根では圧力は「下がる」 平成25年度 A問題3 完全解説

電験3種 電力科目 火力 平成25年度 A問題3 固定羽根で圧力は下がる!タービンの分類を整理

今回は平成25年度 電力科目 A問題3を解説します。蒸気の作用(衝動・反動)及び機能や用途(復水・背圧・再生)による蒸気タービンの分類について、誤っているものを選ぶ問題です。

ねらいは(3)の「固定羽根で蒸気圧力を上昇させ」という一節。タービンの中で蒸気の圧力が上がる場所はありません。固定羽根(静翼)は蒸気を膨張させて速度を与える部分で、圧力は低下します。

目次

平成25年度 電力科目 A問題3:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 火力 平成25年度 A問題3 問題文
平成25年度 電力科目 A問題3 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題3

電験3種 電力科目 【火力】 平成25年度 A問題3

 汽力発電所における蒸気の作用及び機能や用途による蒸気タービンの分類に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

復水タービンは、タービンの排気を復水器で復水させて高真空とすることにより、タービンに流入した蒸気をごく低圧まで膨張させるタービンである。
背圧タービンは、タービンで仕事をした蒸気を復水器に導かず、工場用蒸気及び必要箇所に送気するタービンである。
反動タービンは、固定羽根で蒸気圧力を上昇させ、蒸気が回転羽根に衝突する力と回転羽根から排気するときの力を利用して回転させるタービンである。
衝動タービンは、蒸気が回転羽根に衝突するときに生じる力によって回転させるタービンである。
再生タービンは、ボイラ給水を加熱するため、タービン中間段から一部の蒸気を取り出すようにしたタービンである。

答え誤っている記述は (3)——「上昇させ」を「降下させ」に直せば正しくなります

誤りは(3):固定羽根では圧力が下がる

「固定羽根で蒸気圧力を上昇させ」——です。

部位反動タービンでの働き圧力
★固定羽根(静翼)★蒸気を膨張させて加速する★下がる
★回転羽根(動翼)★さらに膨張させながら仕事を取り出す★下がる

タービンの中では、蒸気は常に圧力を下げながら進みます——圧力が上がる場所はありません

圧力を上げる装置は圧縮機やポンプ——タービンは逆に、圧力を仕事に変える機械です。

反動タービンの特徴は、固定羽根と回転羽根の両方で圧力が下がること——衝動タービンでは固定羽根(ノズル)だけでした。

用途による分類

本問は「機能や用途による分類」も問うています——排気をどう扱うかで分かれます

形式排気の行き先用途
★復水タービン★復水器(高真空)★発電専用。最も効率がよい
★背圧タービン★工場の蒸気配管へ★発電と熱利用を兼ねる
★抽気背圧タービン途中で抽気し、排気も利用2種類の圧力の蒸気が要る場合
★抽気復水タービン途中で抽気し、残りは復水発電が主で、一部を熱利用

「背圧」とは、排気の圧力が大気圧より高いこと——その圧力のまま工場へ送れるのです。

発電効率は落ちますが、熱として使うので全体では無駄がない——コージェネレーションと呼ばれる考え方です。

(5) 再生タービンと再熱タービン

形式やることねらい
★再生タービン★中間段から抽気して給水を加熱★ボイラで加える熱を減らす
★再熱タービン★高圧段の排気を再熱器へ戻す★湿り度を下げ、熱落差を増やす

名前が似ていますが、まったく別の工夫——再生は「分けて使う」、再熱は「戻して使う」です。

(5)の再生タービンの説明は正しい——「ボイラ給水を加熱するため、中間段から一部の蒸気を取り出す」そのとおりです。

⚠️ よくある間違い
(3)の後半を読んで正しいと判断する——「衝突する力と排気するときの力を利用」は正しいのです。
誤りは前半の「圧力を上昇させ」——膨張させるのですから下がります
(1)の復水タービンを疑ってしまう——「高真空とすることによりごく低圧まで膨張させる」で正しい
(2)の背圧タービンも正しい——「復水器に導かず、工場用蒸気に送気する」のが定義です。
(4)の衝動タービンも正しい——「衝突するときに生じる力」そのままです。

⏱️ 本番での進め方
①★タービン内で圧力が上がる場所はない。
②反動タービンは固定羽根でも回転羽根でも圧力が下がる。
③用途分類:復水・背圧・抽気背圧・抽気復水。
④★再生は「分けて使う」、再熱は「戻して使う」。

💡 覚え方
「タービンは圧力を下げる機械」——上がると書いてあれば、その時点で誤りです。圧力を上げるのはポンプと圧縮機——役割が正反対になります。

衝動と反動の違いは令和6年度下期 A問題3火力:衝動タービンと反動タービン)にあります。

圧力が下がる場所で見分ける

衝動と反動の違いは、この一点に集約されます

★衝動タービン★反動タービン
固定羽根(ノズル)★圧力が下がる★圧力が下がる
★回転羽根★圧力は変わらない★圧力が下がる
回す力衝動力のみ衝動力+反動力

どちらの形式でも、固定羽根では圧力が下がります——そこが違いではありません

違うのは回転羽根——反動タービンでは、ここでも膨張させるのです。

だから(3)が「固定羽根で圧力を上昇させ」としているのは、衝動でも反動でもあり得ない——形式の違い以前に誤りだと言えます。

反動力とは何か

羽根の通路が出口に向かって狭くなっています——そこを通る蒸気は加速されるのです。

加速された蒸気が羽根から噴き出す——その反作用で羽根が押されることになります。

ロケットや、庭の散水機が回るのと同じ原理——噴き出す向きと逆に力が働くのです。

コージェネレーションと背圧タービン

(2)の背圧タービンは、工場でよく使われます

復水タービン★背圧タービン
排気の圧力★5 kPa(真空)★大気圧以上
排気の行き先★復水器★工場の蒸気配管
発電効率★高い★低い
総合的な熱利用率40 % 前後★80 % 前後

発電効率だけを見れば背圧タービンは劣ります——排気に多くのエネルギーが残っているからです。

けれども、その排気を加熱に使えば無駄になりません——電気と熱の両方を取り出すことになります。

これがコージェネレーション(熱電併給)——熱の需要がある場所でこそ意味を持つ方式です。

抽気タービンとの組み合わせ

工場では、いくつもの圧力の蒸気が必要になることがあります

そこで途中の段からも蒸気を取り出す——抽気背圧タービンと呼ばれる形です。

高い圧力の蒸気と低い圧力の蒸気を、同時に供給できる——用途に応じた使い分けができることになります。

この1問で押さえること

タービンの中で圧力が上がる場所はありません——「上昇させ」と書いてあれば、その時点で誤りです。

反動タービンでは、固定羽根でも回転羽根でも圧力が下がる——衝動タービンとの違いは回転羽根のほうです。

作用による分類と用途による分類

分類の軸種類
★蒸気の作用★衝動タービン/反動タービン
★機能・用途★復水/背圧/抽気背圧/抽気復水/再生/再熱

本問は「蒸気の作用及び機能や用途による分類」——2つの軸をまとめて問うています

(3)(4)が作用による分類、(1)(2)(5)が用途による分類——どの軸の話かを見分けながら読むとよいでしょう。

圧力を上げる機械と下げる機械

機械圧力エネルギーの向き
★タービン★下げる★流体から取り出す
★ポンプ・圧縮機★上げる★流体へ与える

タービンとポンプは、まったく正反対の機械です——だからタービンの説明に「圧力を上昇させ」とあれば矛盾します。

水車とポンプの関係も同じ——ポンプ水車が1台で両方を兼ねられるのは、羽根の形が可逆的だからです。

蒸気タービンの分類を一枚にまとめる

本問で問われた分類を、最後に整理しておきます

種類決め手
★蒸気の作用★衝動/反動★回転羽根で圧力が下がるかどうか
★排気の扱い★復水/背圧★復水器へ導くかどうか
★抽気の有無★再生/抽気背圧/抽気復水★途中段から取り出すかどうか
★再熱の有無★再熱/非再熱★ボイラへ戻して温め直すかどうか

1台のタービンが、複数の分類に同時に当てはまります——「反動・復水・再熱再生タービン」といった具合です。

分類の軸が違えば、同時に成り立つ——水力発電所の「水路式・流込み式」と同じ考え方になります。

まとめ

(1)復水タービン復水器で高真空・ごく低圧まで膨張→正しい
(2)背圧タービン排気を復水器に導かず工場用蒸気へ→正しい
(3)反動タービン固定羽根では圧力は低下(上昇ではない)→誤り
(4)衝動タービン回転羽根への衝突力で回転→正しい
(5)再生タービン給水加熱用に中間段から抽気→正しい。答えは(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・衝動タービンと反動タービンの違い(火力6):【電力】令和6年度下期 A問題3

・この年度の問題を通しで解く:電験3種 平成25年度 問題一覧(全4科目)

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