変電39【電験3種 電力】直接接地は超高圧専用!77kV以下で採用は誤り 中性点接地方式 平成22年度 A問題8 完全解説

電験3種 電力科目 変電 平成22年度 A問題8 直接接地は超高圧だけ!77kV以下は別の方式

今回は平成22年度 電力科目 A問題8、変圧器Y結線の中性点接地方式4種類(非接地・直接接地・消弧リアクトル接地・抵抗接地)の特徴を問う誤り選択問題です。接地インピーダンスZnの大きさで各方式を整理できているかが問われます。

整理のコツ:Znが小さいほど地絡電流は大きく・健全相の電圧上昇は小さくなるトレードオフ。直接接地(Zn→0)=187kV以上の超高圧抵抗接地=154kV以下非接地(Zn→∞)=6.6kV配電消弧リアクトル=対地静電容量と並列共振と、電圧階級とセットで覚えます。

目次

誤りは(3):直接接地は下位系統では使わない

「わが国の77 kV 以下の下位系統でもしばしば採用」——採用されていません

方式地絡電流健全相の電位上昇誘導障害採用電圧
★非接地★小さい★√3倍★小さい★6.6 kV 配電
★直接接地★★大きい★1.3倍程度★★大きい★187 kV 以上
★抵抗接地★中程度★やや上がる★中程度★22〜154 kV
★消弧リアクトル接地★ほぼゼロ★√3倍★きわめて小さい★近年は新設が少ない

直接接地は187 kV 以上の超高圧に限られます——下位系統では地絡電流が大きすぎるからです。

なぜ超高圧だけに使うのでしょうか——絶縁費用の効果が大きいからです。

電圧絶縁を1.3倍にする費用直接接地の価値
★500 kV★きわめて大きい★★見合う
★77 kV 以下★小さい★★見合わない

超高圧では絶縁が設備費の大部分を占めます——それを下げられるなら大きな利益です。

低い電圧では、絶縁を強くしても費用はさほど増えません——むしろ地絡電流の大きさが問題になるのです。

問題文の前半「187 kV 以上の超高圧系統に広く採用」は正しい——誤りは後半だけになります。

平成22年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 変電 平成22年度 A問題8 問題文
平成22年度 電力科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8

電験3種 電力科目 【変電】 平成22年度 A問題8

 一般に、三相送配電線に接続される変圧器はΔ-Y又はY-Δ結線されることが多く、Y結線の中性点は接地インピーダンスZnで接地される。この接地インピーダンスZnの大きさや種類によって種々の接地方式がある。中性点の接地方式に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1) 中性点接地の主な目的は、1線地絡などの故障に起因する異常電圧(過電圧)の発生を抑制したり、地絡電流を抑制して故障の拡大や被害の軽減を図ることである。中性点接地インピーダンスの選定には、故障点のアーク消弧作用、地絡リレーの確実な動作などを勘案する必要がある。

(2) 非接地方式(Zn→∞)では、1線地絡時の健全相電圧上昇倍率は大きいが、地絡電流の抑制効果が大きいのがその特徴である。わが国では、一般の需要家に供給する6.6〔kV〕配電系統においてこの方式が広く採用されている。

(3) 直接接地方式(Zn→0)では、故障時の異常電圧(過電圧)倍率が小さいため、わが国では、187〔kV〕以上の超高圧系統に広く採用されている。一方、この方式は接地が簡単なため、わが国の77〔kV〕以下の下位系統でもしばしば採用されている。

(4) 消弧リアクトル接地方式は、送電線の対地静電容量と並列共振するように設定されたリアクトルで接地する方式で、1線地絡時の故障電流はほとんど零に抑制される。このため、遮断器によらなくても地絡故障が自然消滅する。しかし、調整が煩雑なため近年この方式の新たな採用は多くない。

(5) 抵抗接地方式(Zn=ある適切な抵抗値R〔Ω〕)は、わが国では主として154〔kV〕以下の送電系統に採用されており、中性点抵抗により地絡電流を抑制して、地絡時の通信線への誘導電圧抑制に大きな効果がある。しかし、地絡リレーの検出機能が低下するため、何らかの対応策を必要とする場合もある。

答え誤っている記述は (3)です。

(1) 中性点接地の2つの目的

相反する2つを、同時に満たそうとします

目的望ましい接地理由
★異常電圧の抑制★インピーダンスが小さいほうがよい★電位が固定される
★地絡電流の抑制★インピーダンスが大きいほうがよい★電流が流れにくい

片方を立てれば、もう片方が犠牲になります——だから「種々の接地方式」があるのです。

問題文が挙げる「アーク消弧作用」「地絡リレーの確実な動作」も——選定の判断材料になります。

地絡電流を抑えすぎると、リレーが検出できません——そこも折り合いが必要です。

(2)(4)(5) 残る3つの方式

(2) 非接地方式

6.6 kV 配電系統で広く使われています

1線地絡でも地絡電流が小さいので、すぐ停電させずに済みます——需要家への影響が小さいのです。

その代わり健全相の対地電圧が√3倍に上がります——絶縁を強くしておく必要があることになります。

(4) 消弧リアクトル接地方式

並列共振の条件
\( \omega L=\dfrac{1}{3\omega C} \)

リアクトルと対地静電容量が共振する

地絡電流と、リアクトルを流れる電流が打ち消し合います——だから故障電流がほぼゼロになるのです。

アークが自然に消えるので、遮断器を動かさずに済みます——瞬時電圧低下も起きません

けれども系統の構成が変わるたびに調整が要ります——だから新設は少ないのです。

(5) 抵抗接地方式

154 kV 以下の送電系統で使われます

抵抗で地絡電流を抑えるので、誘導障害が小さくなります——問題文の通りです。

その代わりリレーの検出が難しくなる——だから「何らかの対応策」が要ることになります。

⚠️ よくある間違い
(3)の前半「187 kV 以上に広く採用」を見て正しいと判断する——そこは正しいのです。誤りは「77 kV 以下でもしばしば採用」
「接地が簡単」という理由づけがもっともらしい——けれども下位系統では地絡電流が問題です。
(2)の「地絡電流の抑制効果が大きい」を疑ってしまう——非接地なので電流は小さい
(4)の「遮断器によらなくても自然消滅」を疑ってしまう——消弧リアクトルの本質です。
(5)の「リレーの検出機能が低下」を疑ってしまう——電流を抑えるので当然
電圧階級が書かれた記述を疑う——本問では(3)の後半でした。

⏱️ 本番での進め方
①★直接接地は187 kV 以上のみ。下位系統では使わない。
②★異常電圧の抑制と地絡電流の抑制は相反する。
③★消弧リアクトルは対地静電容量と並列共振させる。
④抵抗接地は誘導障害が小さいがリレー検出が難しい。

💡 覚え方
「高いほど直接接地、低いほど非接地」——絶縁費用の効果で決まります77 kV 以下で直接接地という記述を見たら誤り——電圧階級が判断の鍵です。

Y-Y-Δ結線と中性点接地は平成25年度 A問題6変電:Y-Y-Δ結線)にあります。

接地インピーダンスが決めるもの

(1)が挙げる選定の観点を、数式で見ましょう

1線地絡電流
\( I_g=\dfrac{E}{Z_n+Z_{線路}} \)

接地インピーダンスが大きいほど電流は小さい

Zn地絡電流健全相の電位方式
★0★最大★ほぼ上がらない★直接接地
★有限の抵抗★中程度★やや上がる★抵抗接地
★∞★最小★√3倍★非接地

Zn を大きくすれば電流は減りますが、電位は上がります——両立しません

だから系統ごとに、どちらを重視するかで選ぶ——それが「種々の接地方式」がある理由です。

地絡電流が大きいことの弊害

弊害内容
★通信線への誘導障害★大電流が磁界を作り通信線に電圧を誘起する
★機器の損傷★アークによる焼損が大きくなる
★瞬時電圧低下★広い範囲の需要家に影響する

だから下位系統では直接接地を避けます——絶縁を下げる利益より、弊害が大きいから。

要点をもう一度

誤りは(3)の後半だけです。

記述方式正誤
(1)接地の目的と選定
(2)非接地方式
★(3)★直接接地方式★誤(77 kV 以下では使わない)
(4)消弧リアクトル接地方式
(5)抵抗接地方式

前半の「187 kV 以上に広く採用」は正しい——後半で下位系統まで広げたのが誤りです。

電圧階級と接地方式の対応を覚える

電圧接地方式
★6.6 kV★非接地
★22〜154 kV★抵抗接地
★187 kV 以上★直接接地

電圧が上がるほど、接地インピーダンスが小さくなります——絶縁を下げる効果が大きくなるからです。

この対応を覚えておけば、電圧階級が書かれた記述を検算できます——本問はまさにそこを問うています

6.6 kV が非接地である理由

(2)の配電系統を、需要家の側から見ましょう

観点非接地の利点
★1線地絡時★地絡電流が数アンペアで済む
★停電★ただちに切らなくてもよい場合がある
★人身安全★電線に触れても大電流が流れにくい

配電線は需要家のすぐ近くを通ります——地絡電流が大きいと危険です。

樹木の接触や小動物による地絡も起きやすい——そのたびに停電させては使えません

だから電流を抑えて、しばらく運転を続けられるようにする——その代わり健全相の電圧が√3倍に上がるのです。

だから6.6 kV の機器は、線間電圧に耐える絶縁を持ちます——非接地を前提とした設計になります。

まとめ

誤り(3) 直接接地が77kV以下でも採用→採用されない
直接接地Zn→0。電圧上昇小・地絡電流大。187kV以上の超高圧用
抵抗接地154kV以下。地絡電流抑制・誘導電圧抑制・リレー感度に注意
非接地Zn→∞。6.6kV配電。地絡電流小・健全相は√3倍まで上昇
消弧リアクトル対地静電容量と並列共振。地絡電流ほぼ零・自然消弧
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・Δ-Y結線と第3調波・位相差(変電38):【電力】平成22年度 A問題7
・Y-Y-Δと中性点接地(変電31):【電力】平成25年度 A問題6

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