今回は令和6年度上期 電力科目 B問題15を解説します。水車の種類・回転速度・比速度の関係について、(a)比速度から回転速度と水車の種類、(b)同期発電機と直結したときの磁極数と比速度を求める問題です。
比速度は ns=N·P1/2/H5/4。これを変形して回転速度Nを求め、比速度の値から水車の種類(ペルトン/フランシス/カプラン)を判断します。同期発電機はN=120f/pで、磁極数は偶数しか取れない点がポイントです。
出題のポイント:比速度と同期速度

まず比速度の式を回転速度について解き、258 min⁻¹とフランシス水車を得ます。次に50 Hzの同期速度を偶数の磁極数ごとに比較し、最も近い24極・250 min⁻¹から比速度97を求めます。
令和6年度上期 電力科目 B問題15:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和6年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題15
電験3種 電力科目 【水力】 令和6年度上期 B問題15
水車の種類、回転速度と比速度の関係について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) ある水車を有効落差200m、水車出力85000kWで運転するときの水車の比速度が100m·kWであった。このときの水車の回転速度と、この水車に対し一般に用いられる水車の種類との組合せとして、最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
水車の種類 回転速度[min-1] (1) フランシス水車 217 (2) カプラン水車 217 (3) カプラン水車 258 (4) フランシス水車 258 (5) ペルトン水車 258 (b) この水車を同期発電機と直結し、50Hzの電力系統に接続して、同様に有効落差200m、水車出力85000kWで運転する場合、小問(a)の回転速度に最も近い回転速度で運転できる同期発電機の磁極数と、そのときの回転速度による比速度の組合せとして、最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
磁極数 比速度[m·kW] (1) 28 83 (2) 28 97 (3) 26 89 (4) 24 83 (5) 24 97
(a) 比速度から回転速度と水車形式を求める

H の5/4乗を計算する
ここが本問最大の関門——5/4乗は「1乗×1/4乗」に分けます。
★4乗根は平方根を2回
★約752
4乗根は「ルートを2回」——電卓の√キーを2回押せばよいのです。
★約258 min⁻¹
水車の種類を判定する
| 水車 | 比速度 | 本問の ns=100 |
| ペルトン | 12〜25 | 範囲外 |
| ★フランシス | ★50〜350 | ★該当 |
| カプラン | 400〜800 | 範囲外 |
落差200 m という条件とも合います——フランシスの適用落差は40〜500 m。比速度と落差の両方から確認できるのが心強い点です。
(b) 同期速度から磁極数と比速度を求める

258 min-1 をそのまま実現できる極数はありません——近いものを選ぶことになります。
| 極数 p | N=120×50/p | 258 との差 |
| 22 | 272.7 | +14.7 |
| ★24 | ★250.0 | ★−8.0(最も近い) |
| 26 | 230.8 | −27.2 |
| 28 | 214.3 | −43.7 |
極数は偶数しか取れません——N極とS極が対になるからです。だから回転速度も飛び飛びの値になります。
24極なら250 min-1——258に最も近いことになります。
回転速度が変われば比速度も変わる
★約97
比速度は回転速度に正比例——250/258=0.969 倍ですから、100×0.969=96.9 と暗算でも出せます。
97でもフランシス水車の範囲内——実際に成立する組み合わせだと確認できます。
⚠️ よくある間違い
(a)で H5/4 を H1.25 と扱えず止まる——√を2回押して1/4乗、それに H を掛ける。手順を覚えておけば詰まりません。
(a)で分母と分子を逆にする——100×291.5/752.1=38.8 となり選択肢にありません。元の式で H が分母ですから、解いた式では分子に来ます。
(b)で極数を奇数にする——23極で260.9 なら258により近いのですが、極数は偶数のみです。
(b)で比速度を(a)のまま100とする——選択肢に100はありません。回転速度が258→250に変わったのですから、比速度も変わります。
⏱️ 本番での進め方
①★H5/4=H×H1/4。4乗根は√を2回。
②比速度100+落差200 m ならフランシス水車。
③★極数は偶数。N=120f/p は飛び飛びの値になる。
④★比速度は回転速度に正比例。250/258 倍すればよい。
💡 覚え方
「4乗根はルート2回」——これだけで H5/4 が計算できます。そして極数は偶数だけ——ぴったりの回転速度は選べません。
比速度の定義は令和5年度上期 A問題1(水力:比速度の定義)、平成30年度 A問題2(水車の比速度とキャビテーション)にあります。
比速度の式の変形をまとめる
問われ方によって、どの文字について解くかが変わります——3通りを整理しておきましょう。
| 求めるもの | 式 |
| 比速度 | ns=nP1/2/H5/4 |
| ★回転速度 | ★n=nsH5/4/P1/2 |
| 出力 | P=(nsH5/4/n)2 |
H5/4 は常に ns と反対側にある——元の式で分母なら、解いた式では分子です。
指数の計算に慣れる
| 指数 | 電卓での操作 | 200 の場合 |
| 1/2 | √を1回 | 14.14 |
| ★1/4 | ★√を2回 | ★3.761 |
| ★5/4 | ★√を2回して元の数を掛ける | ★752.1 |
試験会場の電卓には累乗キーがないこともあります——√だけで計算できる手順を知っておくと安心です。
5/4=1+1/4——指数の足し算は掛け算になるという法則を使っています。
同期速度の早見表
(b)で極数を探すとき、この表があれば速いです。
| 極数 p | 50 Hz | 60 Hz |
| 2 | 3,000 | 3,600 |
| 4 | 1,500 | 1,800 |
| 12 | 500 | 600 |
| 20 | 300 | 360 |
| ★24 | ★250 | 300 |
| 30 | 200 | 240 |
50 Hz で覚えておけば、60 Hz は1.2倍——両方を暗記する必要はありません。
120f を先に計算しておくのが速い——50 Hz なら6,000、60 Hz なら7,200。あとは極数で割るだけです。
★本問の答え
この2つの数を覚えておけば、極数を変えながら素早く試せます——(b)のように「最も近い値」を探す問題で効いてきます。
水車と発電機のすり合わせ
本問(b)が示しているのは、設計上の妥協です——水車が望む258 min-1 は実現できません。
発電機の回転速度は N=120f/p で飛び飛び——そこに水車を合わせることになります。
結果として比速度は100から97へ少し下がる——それでもフランシス水車の範囲内なので問題ないのです。実際の設計も、こうしたすり合わせの繰り返しだと言えます。
比速度100という値の位置づけ
フランシス水車の範囲50〜350 の中では、下のほう——つまり高落差寄りのフランシスです。
| 比速度 | フランシスの中での位置 | 適用落差 |
| ★50〜100 | ★低比速度形 | ★200〜500 m |
| 150〜250 | 中比速度形 | 100〜200 m |
| 300〜350 | 高比速度形 | 40〜100 m |
本問の落差200 m と、比速度100 はきれいに対応——実在しそうな設定だと分かります。
まとめ
| 比速度の式 | ns=N·P^½/H^(5/4) |
| (a)N | 100×752.1/291.5≒258min⁻¹ |
| (a)種類 | ns=100・H=200m→フランシス→(4) |
| (b)磁極数 | p=120×50/258≒23.3→24極(N=250) |
| (b)比速度 | 250×291.5/752.1≒97→(5) |
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