今回は令和4年度上期 機械科目 A問題14を解説します。情報41(令和4年度下期A問題14)と同一テーマの姉妹問題で、センサ・アクチュエータが扱うアナログ信号、コンピュータが扱うディジタル信号、両者を橋渡しするA-D変換器・D-A変換器とインタフェースに関する空所補充問題です。
センサ・アクチュエータの信号は時間的に連続なアナログ信号、コンピュータの信号は0と1で符号化されたディジタル信号、アナログ→ディジタルの変換器がA-D変換器、その逆がD-A変換器、これらの橋渡し機能を持つものがインタフェースという対応を順に当てはめます。
令和4年度上期 機械科目 A問題14:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題14
電験3種 機械科目 【情報】 令和4年度上期 A問題14
次の文章は,電子機械の構成と基礎技術に関する記述である。
ディジタルカメラや自動洗濯機など我々が日常で使う機器,ロボット,生産工場の工作機械など,多くの電子機械はメカトロニクス技術によって設計・製造され,運用されている。機械にマイクロコンピュータを取り入れるようになり,メカトロニクス技術は発展してきた。
電子機械では,外界の情報や機械内部の運動状態を各種センサにより取得する。大部分のセンサ出力は電圧または電流の信号であり時間的に連続に変化する(ア)信号である。電気,油圧,空気圧などのエネルギーを機械的な動きに変換するアクチュエータも(ア)信号で動作するものが多い。これらの信号はコンピュータで構成される制御装置で(イ)信号として処理するため,信号の変換器が必要となる。(ア)信号から(イ)信号への変換器を(ウ)変換器,その逆の変換器を(エ)変換器という。センサの出力信号は(ウ)変換器を介してコンピュータに取り込まれ,コンピュータで生成されたアクチュエータへの指令は(エ)変換器を介してアクチュエータに送られる。その間必要に応じて信号レベルを変換する。このような,センサやアクチュエータとコンピュータとの橋渡しの機能をもつものを(オ)という。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) ディジタル アナログ D-A A-D インタフェース (2) アナログ ディジタル A-D D-A インタフェース (3) アナログ ディジタル A-D D-A ネットワーク (4) ディジタル アナログ D-A A-D ネットワーク (5) アナログ ディジタル D-A A-D インタフェース
出題のポイント:信号の流れを追えば決まる
センサ →変換器 →コンピュータ →変換器 →アクチュエータ——この流れが分かれば、5つの空欄はすべて埋まります。
| 位置 | 扱う信号 | 空欄 |
| センサ・アクチュエータ | 時間的に連続=アナログ | (ア)アナログ |
| コンピュータ | 0 と1 で符号化=ディジタル | (イ)ディジタル |
| センサ →コンピュータ | アナログ →ディジタル | (ウ)★A-D 変換器 |
| コンピュータ →アクチュエータ | ディジタル →アナログ | (エ)★D-A 変換器 |
| 橋渡しの機能 | — | (オ)インタフェース |
「A-D」は Analog to Digital の略——矢印の向きがそのまま名前になっているのです。「アナログをディジタルに」だからA-D——順序を覚えるより、意味で押さえるほうが確実です。
問題文の「時間的に連続に変化する」——これがアナログの定義です。連続量か、飛び飛びの値か——それがアナログとディジタルの違いになります。


⚠️ よくある間違い
(オ)を「ネットワーク」としている選択肢があります。ネットワークは機器どうしをつなぐ通信網——センサとコンピュータの橋渡しではありません。
問題文の「信号レベルを変換する」という記述がインタフェースを指定しています。電圧の範囲を合わせたり、絶縁したり——それがインタフェースの仕事です。
A-D変換の3つの段階
A-D変換は、じつは3段階の処理でできています。それぞれに意味があるので押さえておきましょう。
| 段階 | やること | 効果 |
| ①標本化(サンプリング) | 一定間隔で値を取り出す | ★時間を飛び飛びにする |
| ②量子化 | 取り出した値を段階に丸める | ★大きさを飛び飛びにする |
| ③符号化 | 段階の番号を2進数で表す | ディジタル信号になる |
時間方向を離散化するのが標本化、大きさ方向を離散化するのが量子化——2つの軸それぞれで飛び飛びにするのです。
標本化の間隔が粗いと、元の波形を再現できません。元の信号に含まれる最高周波数の2倍以上で標本化する必要がある——標本化定理(サンプリング定理)と呼ばれます。
量子化のときに生じる誤差が量子化誤差——ビット数を増やせば段階が細かくなり、誤差は小さくなります。8ビットなら256段階、12ビットなら4096段階です。
メカトロニクスという考え方
問題文の「メカトロニクス」——メカニクス(機械)とエレクトロニクス(電子)を合わせた言葉です。日本で生まれた造語だとされています。
| 要素 | 役割 | 例 |
| センサ | 状態を測る | エンコーダ、温度センサ、光電センサ |
| コンピュータ | 判断・演算 | マイコン、PLC |
| アクチュエータ | 動かす | 電動機、シリンダ、ソレノイド |
| インタフェース | 橋渡し | A-D/D-A変換器、増幅器 |
この4つがそろって初めて自動機械が成り立ちます——「測る・考える・動かす」の3つを電子回路がつないでいるのです。
電験3種で問われるのは、この全体像——細かい回路よりも、役割分担が理解できているかが試されます。用語の意味を正確に押さえておけば確実に得点できる設問です。
⏱️ 本番での進め方
①「時間的に連続」=アナログ、「0 と1」=ディジタル。
② A-D は Analog to Digital。矢印の向きが名前になる。
③ センサ側がA-D、アクチュエータ側がD-A。
④(オ)は橋渡し=インタフェース。ネットワークではない。
💡 覚え方
「A-D はアナログをディジタルに」——略語を意味で覚える。そして「センサ側がA-D、アクチュエータ側がD-A」——信号の流れを思い浮かべれば迷いません。

D-A変換とアクチュエータ側の事情
D-A変換器は、ディジタル値をアナログの電圧や電流に戻す装置です。A-D変換とは違う難しさがあります。
| A-D変換 | D-A変換 | |
| 向き | アナログ →ディジタル | ディジタル →アナログ |
| 主な課題 | 標本化・量子化の誤差 | ★段階的な出力をなめらかにする |
| 後段の処理 | — | フィルタで平滑化 |
D-A変換の出力は階段状——そのままではアクチュエータが滑らかに動きません。ローパスフィルタを通してなめらかにするのが普通です。
また、アクチュエータを動かすには電力が要ります——変換器の出力は微弱な信号なので、増幅器やドライバ回路が必要になります。
問題文の「必要に応じて信号レベルを変換する」——この一言がまさにそれです。インタフェースには、変換だけでなく増幅や絶縁の役割もあるのです。
なぜ絶縁が必要か
センサやアクチュエータは、大きな電力を扱う機器の近くにあります——ノイズや過電圧がコンピュータへ入り込む危険があるのです。
フォトカプラや絶縁アンプで電気的に切り離す——信号だけを光や磁気で渡すことで、制御装置を守ります。
接地電位の違いによる循環電流を防ぐという目的もあります。離れた場所にある機器どうしをつなぐときは、絶縁がほぼ必須——実務では欠かせない配慮です。
アナログとディジタルの使い分け
電子機械では、両方の信号が混在します——それぞれの得意分野を押さえておきましょう。
| アナログ信号 | ディジタル信号 | |
| 値 | ★連続 | ★飛び飛び |
| ノイズ | ★混入すると除けない | ★しきい値で判定でき強い |
| 伝送・記録 | 劣化が蓄積する | ★劣化しない(誤り訂正も可) |
| センサ・アクチュエータ | ★本来はこちら | 変換が必要 |
現実世界の量(温度・圧力・速度)はすべてアナログ——ところが処理はディジタルのほうが得意です。だからA-D変換器とD-A変換器が要るのです。
センサ →A-D変換 →マイコンで処理 →D-A変換 →アクチュエータ——これが電子機械(メカトロニクス)の基本構成になります。
ディジタルにしてしまえば、ノイズに強く、記録も伝送も劣化しない——だから制御はディジタルで行うのが現在の主流です。変換の手間を払ってでも、その利点が大きいということになります。
まとめ
| (ア) | アナログ |
| (イ) | ディジタル |
| (ウ) | A-D変換器 |
| (エ) | D-A変換器 |
| (オ) | インタフェース |
| 答え | (2) |
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