同期機31【電験3種 機械】同期発電機の種類と構造の穴埋め!平成30年 A問題5 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成30年度 A問題5 回転界磁形が主流の理由!構造を穴埋めで確認

今回は平成30年度 機械科目 A問題5を解説します。同期発電機の種類と構造(回転界磁形・突極形/円筒形)を問う穴埋め問題です。

水車発電機は低速・多極で突極形、タービン発電機は高速・少極で円筒形、という対比が軸です。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題5

 次の文章は,同期発電機の種類と構造に関する記述である。

 同期発電機では一般的に,小容量のものを除き電機子巻線は(ア)に設けて,導体の絶縁が容易であり,かつ,大きな電流が取り出せるようにしている。界磁巻線は(イ)に設けて,直流の励磁電流が供給されている。

 比較的(ウ)の水車を原動機とした水車発電機は,50 Hz又は60 Hzの商用周波数を発生させるために磁極数が多く,回転子の直径が軸方向に比べて大きく作られている。蒸気タービン等を原動機としたタービン発電機は,(エ)で運転されるため,回転子の直径を小さく,軸方向に長くした横軸形として作られている。磁極は回転軸と一体の鍛鋼又は特殊鋼で作られ,スロットに巻線が施される。回転子の形状から(オ)同期機とも呼ばれる。空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして正しいものを一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)
(1)固定子回転子高速度高速度突極形
(2)回転子固定子高速度低速度円筒形
(3)回転子固定子低速度低速度突極形
(4)回転子固定子低速度高速度円筒形
(5)固定子回転子低速度高速度円筒形

出題のポイント:同期機の分類軸は4つある

同期発電機の構造を問う問題では、複数の分類軸が同時に出てきます軸ごとに整理しておけば、どの組み合わせを聞かれても対応できます

分類の軸2つの型実用機はどちらか
界磁と電機子の配置回転界磁形/回転電機子形ほぼすべて回転界磁形
回転子の形突極形/円筒形低速機は突極形、高速機は円筒形
原動機水車/蒸気タービン水車=低速多極、タービン=高速少極
据付立軸/横軸水車発電機は立軸、タービン発電機は横軸が多い

本問は(ア)(イ)で1つ目の軸、(ウ)(エ)(オ)で2〜3つ目の軸を聞いています。軸が切り替わる場所を意識して読むと、混乱しません。

同期発電機の固定子電機子・回転子界磁と水車発電機・タービン発電機の構造比較図
水車機は低速・多極・突極形、タービン機は高速・少極・円筒形です。

(ア)(イ):なぜ電機子を固定子に置くのか

問題文が理由まで書いてくれています——「導体の絶縁が容易であり、かつ、大きな電流が取り出せるようにしている」(ア)=固定子、(イ)=回転子です。

電機子を固定子に置く(回転界磁形)電機子を回転子に置く(回転電機子形)
絶縁静止しているので容易回転部で高電圧を絶縁するのは困難
電流の取り出し端子から直接スリップリング経由(大電流は無理)
ブラシが扱う電流励磁電流(小さい)負荷電流(大きい)
採用小容量を除きほぼすべてごく小容量のみ

発電機が作る電圧は、大容量機では数千〜数万ボルトにもなります。それを回転しながらブラシ経由で取り出すのは、絶縁の面でも接触の面でも無理——だから電機子は動かさないのです。

一方の界磁は、直流の励磁電流だけです。電圧も電流も比較的小さいので、スリップリングとブラシで十分に渡せます——「小さいほうを回す」という合理的な選択です。

(ウ)(エ)(オ):速度が形を決める

水車は比較的低速度——(ウ)=低速度同じ商用周波数を作るには、遅い分だけ磁極を増やさなければなりません多くの磁極を円周上に並べるには直径が要るので、直径が大きく軸方向は短い形になります。

タービン発電機は高速度——(エ)=高速度遠心力に耐えるため直径を小さくし、そのぶん軸方向に長くします磁極は回転軸と一体の鍛鋼から削り出し、スロットに巻線を埋め込む——この形が円筒形です。(オ)=円筒形

同期速度が極数を決める

\( N_s=\dfrac{120f}{p} \)  周波数は系統で決まっている

回転速度が低いほど極数は多くなる——ここから直径も形も決まっていきます

答え(ア)固定子/(イ)回転子/(ウ)低速度/(エ)高速度/(オ)円筒形 ⇒ (5)
同期速度と極数の反比例、水車発電機とタービン発電機の回転子形状を示す図
Ns=120f/pより、多極は低速、少極は高速となり、適した回転子形状が決まります。
平成30年機械A問題5の空欄を固定子、回転子、低速度、高速度、円筒形と確定する図
5空欄の組合せから、正解は(5)です。

「回転軸と一体の鍛鋼」という記述の意味

問題文の「磁極は回転軸と一体の鍛鋼又は特殊鋼で作られ、スロットに巻線が施される」——この一文が円筒形回転子の作り方を正確に述べています

突極形(水車発電機)円筒形(タービン発電機)
作り方磁極を1つずつ作って円周に取り付ける1本の鍛鋼の塊から削り出す
巻線の置き方磁極に巻き付けるスロット(溝)に埋め込み、くさびで押さえる
遠心力への強さ磁極が飛び出す危険がある出っ張りがないので強い
適する速度低速高速

「一体の鍛鋼」から削り出すのは、継ぎ目をなくすためです。3 600 min−1 で回る回転子には、途方もない遠心力がかかります——接合部があれば、そこから壊れます

巻線も、溝に埋め込んでくさびで押さえます。突極形のように外に出ていたら、遠心力で吹き飛んでしまうからです——「出っ張りを作らない」のが高速機の設計原則だと言えます。

逆に水車発電機は低速なので、磁極を1つずつ作って取り付けるやり方が可能です。48極もの磁極を削り出すのは現実的でない——形式の違いは、製造のしやすさとも結びついています

⏱️ 本番での進め方
分類軸を4つ持つ:界磁と電機子の配置/回転子の形/原動機/据付。
電機子を固定子に置く理由は「絶縁と大電流」。問題文が書いてくれている。
低速=多極=大直径=突極形、高速=少極=小直径=円筒形
円筒形は鍛鋼から削り出して溝に巻線を埋める——出っ張りを作らない。

💡 覚え方
「大容量は回転界磁形(電機子=固定子、界磁=回転子)。水車=低速・多極・突極形、タービン=高速・少極・円筒形」電機子を動かさないのは、高電圧・大電流を回転部から取り出せないから円筒形は一体の鍛鋼から削り出し、巻線は溝に埋めてくさびで押さえる

⚠️ よくある間違い
電機子と界磁の位置を逆にするのが典型です。「絶縁が容易で大きな電流が取り出せる」のは静止している固定子——問題文が理由を書いてくれています。もう一つは突極形と円筒形の対応を逆にすること。高速機は遠心力のため出っ張りを作れない=円筒形です。

界磁の直流電流はどうやって作るのか

「界磁巻線は回転子に設けて、直流の励磁電流が供給されている」——では、その直流はどこから来るのでしょうか励磁方式には3つの世代があります

方式直流の作り方ブラシ特徴
直流励磁機方式同軸につないだ直流発電機整流子とブラシが必要古典的。保守の手間が大きい
ブラシレス励磁方式交流励磁機+回転整流器を回転子に載せる不要保守が楽。現在の主流
静止形励磁方式主機の出力の一部をサイリスタで整流スリップリングが必要応答が速い

ブラシレス励磁方式が画期的だったのは、回転する側で整流してしまうという発想です。交流励磁機の電機子を回転子側に置き、そこで発生した交流を回転整流器(ダイオード)で直流に直して、そのまま界磁巻線へ渡す——静止側とのやりとりが一切なくなります

ブラシもスリップリングもないので、摩耗する部品がありません。点検・交換の手間が消える——大形発電機では大きな利点です。

静止形励磁方式は応答の速さが持ち味です。サイリスタの位相制御で瞬時に励磁を変えられるので、系統事故のときに素早く電圧を立て直せます——安定度の面で有利になります。

「回転界磁形だからスリップリングが要る」というのが基本ですが、ブラシレス励磁方式ならそれすら不要——技術の進歩が構造上の制約を消していく好例だと言えます。

まとめ

(ア)固定子
(イ)回転子
(ウ)低速度
(エ)高速度
(オ)円筒形
答え(5)

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