電池の分類と、再生可能エネルギーの変動を抑える蓄電設備の役割を問う問題です。充電できる電池と、出力を平滑化する仕組みを結び付けて考えます。
問題文と選択肢|【電験3種】令和8年度上期 電力 問5

問題文
問5 次の文章は,電池及びその関連技術に関する記述である。
電池には,充電することによって繰り返し利用できる ( ア ) がある。その代表的なものに ( イ ) が挙げられ,携帯電子機器,電気自動車,電力貯蔵設備などのさまざまな用途で活用されている。蓄電能力の高い ( ア ) やその他の蓄電機器を,電力貯蔵設備として風力発電や太陽光発電と併せて用いることで,出力の ( ウ ) ができる。( エ ) は大電力貯蔵用の機器として用いられている。( エ ) の ( オ ) は,鉛蓄電池に比べて3倍程度高い。
上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
出典:電気技術者試験センター・公式問題PDF(該当問題を切り抜き)/公式解答PDF
解答・解説
解答
正答(4)
空欄を埋めた問題文
電池には,充電することによって繰り返し利用できる (ア)二次電池 がある。その代表的なものに (イ)リチウムイオン電池 が挙げられ,携帯電子機器,電気自動車,電力貯蔵設備などのさまざまな用途で活用されている。蓄電能力の高い (ア)二次電池 やその他の蓄電機器を,電力貯蔵設備として風力発電や太陽光発電と併せて用いることで,出力の (ウ)平滑化 ができる。(エ)ナトリウム・硫黄電池 は大電力貯蔵用の機器として用いられている。(エ)ナトリウム・硫黄電池 の (オ)単位質量あたりのエネルギー密度 は,鉛蓄電池に比べて3倍程度高い。
- STEP1充電できる電池と代表例を確認する二次電池・リチウムイオン電池
- STEP2充放電による平滑化を確認する多いときに充電、少ないときに放電
- STEP3NAS電池の比較指標を確認するエネルギー密度と電圧を区別

STEP1|充電できる電池と代表例を確認する
放電後に充電して繰り返し使う電池が二次電池です。リチウムイオン電池、鉛蓄電池などが該当します。
一次電池は通常、充電して繰り返し使う目的の電池ではありません。問題にある携帯電子機器や電気自動車の代表例はリチウムイオン電池です。
STEP2|充放電による平滑化を確認する
風力や太陽光の出力は、風や日射に応じて変わります。出力が多いときに蓄電池へ充電し、少ないときに放電して補うと、外部へ供給する電力の変動を小さくできます。
この働きが平滑化です。短絡事故を抑える機能を答える問題ではありません。蓄電はエネルギーを新しく生み出すことではなく、使う時間をずらすことです。

STEP3|NAS電池の比較指標を確認する
ナトリウム・硫黄電池は、略してNAS電池と呼ばれ、大規模な電力貯蔵に用いられます。問題文で比較している量は、電池1 kgあたりに蓄えられるエネルギーです。
その指標が単位質量あたりのエネルギー密度。この問題では鉛蓄電池の約3倍という関係が示されています。起電力(電圧)の3倍という意味ではありません。
指標の意味
\[e_m=\frac{E_{\mathrm{store}}}{m}\]
eₘ:質量あたりのエネルギー密度、Estore:蓄えられるエネルギー、m:電池の質量。例えばW・h/kgで表し、電圧とは区別します。

最後に、3つだけ確認
1. 充電して繰り返し使うのは二次電池。
2. 平滑化は、充放電で出力の変動を小さくすること。
3. エネルギー密度と起電力を混同しない。

コメント