電験3種の機械科目で出題が増えているブラシレスDCモータ。本記事では、令和3年度 A問題8の論説問題を解説します。
カギは「回転子=永久磁石、固定子=電機子巻線」「整流をブラシではなく半導体スイッチで行う」という構造の理解です。
令和3年度 機械科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 【直流機】 令和3年度 A問題8
ブラシレスDCモータに関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) ブラシレスDCモータは、固定子巻線に流れる電流と、回転子に取り付けられた永久磁石によってトルクを発生させる構造となっている。
(2) ブラシレスDCモータは、回転子の位置により通電する巻線を切り換える必要があるため、ホール素子などのセンサによって回転子の位置を検出している。
(3) ブラシ付きの直流モータに比べ、ブラシと整流子による機械的接触部分がないため、火花による電気雑音は低減し、モータの寿命は長くなる。
(4) ブラシ付きの直流モータに比べ、位置センサの信号処理や、駆動用の制御回路が必要となり、モータの駆動に必要な周辺回路が複雑になる。
(5) ブラシレスDCモータは効率がよくないため、エアコンや冷蔵庫のような省エネ性能が求められる大型の家電製品には利用されていない。
出題のポイント:機械整流を電子整流に置き換える

ブラシレスDCモータは、ブラシ付き直流モータが機械的に行っていた整流を、位置センサと半導体スイッチで電子化したものです。回転子に永久磁石、固定子に電機子巻線を置き、回転子位置に応じて通電相を切り換えます。機械的接触がない利点と、位置検出・制御回路が必要になる代償を対にして確認します。
ポイント解説:ブラシ付きDCとブラシレスDCの違い

ブラシ付きは「回転子=電機子」で、整流子とブラシが機械的に電流を切り換えます。ブラシレスはこの役割を電子回路に移したもので、長所(火花なし・長寿命・低雑音)と短所(駆動回路が必要で周辺回路が複雑)がそのまま出題されます。
| 項目 | ブラシ付きDCモータ | ブラシレスDCモータ |
|---|---|---|
| 回転子 | 電機子巻線 | 永久磁石 |
| 整流 | ブラシ+整流子(機械的) | 半導体スイッチ(電子的) |
| 位置検出 | 不要 | 必要(ホール素子など) |
| 火花・寿命 | 火花あり・ブラシ摩耗 | 火花なし・長寿命 |
| 周辺回路 | 単純 | 制御回路が必要で複雑 |
問題の解説:誤りは (5)「効率がよくない」

ブラシレスDCモータはブラシの機械損や接触電圧降下がなく効率がよいモータで、エアコン・冷蔵庫など省エネ性能が求められる家電製品に広く利用されています。「効率がよくないため利用されていない」は事実と逆で、正解は (5) です。
| 選択肢 | 正誤 | ポイント |
|---|---|---|
| (1) | 正しい | 固定子巻線の電流×回転子の永久磁石でトルク |
| (2) | 正しい | ホール素子で回転子の位置を検出 |
| (3) | 正しい | 機械的接触なし → 火花・雑音低減、長寿命 |
| (4) | 正しい | 制御回路・位置センサの分だけ周辺回路は複雑 |
| (5) | 誤り | 効率がよく、エアコン・冷蔵庫等に広く利用 |
ブラシレス=「回転子が永久磁石・固定子が電機子」(ブラシ付きの逆)。整流はホール素子+半導体スイッチで電子的に行う。
「ブラシがない=構造が単純」ではありません。機械的には単純でも、駆動用の制御回路が必要で周辺回路は複雑になります((4)は正しい記述)。
まとめ:ブラシレスDCモータ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 構造 | 回転子=永久磁石/固定子=電機子巻線 |
| 整流 | 半導体スイッチ(インバータ)で電子的に切換え |
| 位置検出 | ホール素子などのセンサ |
| 特長 | 火花・雑音なし、長寿命、高効率(省エネ家電に広く利用) |
同じブラシレスDCモータの穴埋め問題が【機械】令和元年度A問題6に、選択肢の一つとして登場する総合論説が【機械】平成30年度A問題2にあります。

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