変圧器43【電験3種 機械】返還負荷法(温度上昇試験)の結線とは?令和元年度 A問題9 完全解説

電験3種 機械科目 令和元年度 A問題9 返還負荷法(温度上昇試験)

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目で出題される、変圧器の温度上昇試験。本記事では、令和元年度 A問題9で問われた返還負荷法(かえし負荷法)の結線図に関する問題を、回路図を交えて解説します。

返還負荷法は、同一仕様の変圧器2台を接続し、外部からは損失分(鉄損+銅損)だけを供給して定格状態の発熱を再現する試験法です。カギは「鉄損は低圧側を並列にして定格電圧で供給」「銅損は高圧側を直列にして補助変圧器で定格電流を供給」という供給方法を正しく押さえることです。

出題のポイント:鉄損は「定格電圧」、銅損は「定格電流」で供給

鉄損は電圧で決まる無負荷損なので、定格電圧を加えれば発生します。銅損は電流の2乗に比例する負荷損なので、定格電流を流せば発生します。返還負荷法では、2台の低圧側を並列にして定格電圧を加えて鉄損を、高圧側を逆向き(直列)に接続して補助変圧器で定格電流を流して銅損を供給します。

目次

令和元年度 機械科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 令和元年度 A問題9 問題文(返還負荷法による温度上昇試験)
令和元年度 機械科目 A問題9 問題文

電験3種 機械科目 【変圧器】 令和元年度 A問題9

変圧器の試験方法の一つに温度上昇試験がある。小形変圧器の場合は実負荷法を用いるが、電力用等の大形変圧器では返還負荷法を用いる。返還負荷法では、外部電源から鉄損と銅損に相当する電力のみを供給すればよいので試験電源が比較的小規模なもので済む。単相変圧器におけるこの試験の結線方法及び図中に示す鉄損、銅損の供給方法として、次の(1)〜(5)のうちから正しいものを一つ選べ。ただし、T₁、T₂は試験対象となる同じ仕様の変圧器、T₃は補助変圧器である。

問題の解説:返還負荷法の結線

返還負荷法の結線図をもとに、鉄損・銅損の供給方法を確認します。正しい結線は(2)です。

令和元年度 A問題9 解説1/2 返還負荷法の結線(鉄損・銅損の供給)
解説(1/2):返還負荷法の結線
令和元年度 A問題9 解説2/2 鉄損・銅損の供給方法と答え
解説(2/2):鉄損・銅損の供給方法と答え

ステップ1:鉄損は低圧側を並列にして定格電圧で供給

同一仕様の単相変圧器 T₁・T₂ の低圧側巻線を並列にし、定格周波数・定格電圧の電源に接続します。鉄損は電圧で決まる無負荷損なので、定格電圧を加えることで鉄損が供給されます。

ステップ2:銅損は高圧側を直列にして定格電流で供給

高圧側巻線は電圧が打ち消し合うように逆向き(直列)に接続し、補助変圧器 T₃ で定格電流 \( I_n \) が流れるように電圧を調整します。銅損は電流の2乗に比例する負荷損なので、定格電流を流すことで銅損が供給されます。

ステップ3:正しい結線は(2)

「低圧側を並列にして鉄損供給」「高圧側を直列にして補助変圧器で銅損供給」という結線になっているのは(2)です。したがって、正しい結線は (2) です。

ポイント解説:返還負荷法を理解する

1. なぜ損失分だけで試験できるのか

温度上昇は損失による発熱で決まります。実際に定格負荷をかけなくても、鉄損と銅損に相当する電力さえ供給できれば、定格運転時と同じ発熱状態を再現できます。だから外部電源は損失分だけでよく、試験電源が小規模で済みます(大形変圧器に有効)。

2. 鉄損=電圧で供給、銅損=電流で供給

鉄損は電圧で決まる無負荷損なので低圧側に定格電圧を加えて供給。銅損は電流の2乗に比例する負荷損なので高圧側に定格電流を流して供給します。「鉄損=電圧、銅損=電流」と整理すると、結線図の役割が読み解けます。

3. 2台を逆向きに接続する理由

高圧側を逆向き(直列・差動)に接続すると、2台の起電力が打ち消し合うため、補助変圧器 T₃ の小さな電圧で定格電流を循環させることができます。これにより銅損分だけを効率よく供給できます。

まとめ:返還負荷法の鉄損・銅損の供給

供給するもの接続する側供給する量
鉄損低圧側を並列定格周波数・定格電圧
銅損高圧側を直列(逆向き)+補助変圧器T₃定格電流 \( I_n \)

返還負荷法は「鉄損=定格電圧・低圧側並列」「銅損=定格電流・高圧側直列」を押さえれば確実に得点できます。損失の分類を扱う変圧器35変圧器34(損失と効率)もあわせて確認しておきましょう。

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