自動制御27【電験3種 機械】積分器を負帰還すると一次遅れ!折れ点は1/T=5rad/s・低域20dB 令和7年度下期 B問題18 完全解説

電験3種 機械科目 自動制御 令和7年度下期 B問題18 積分器に負帰還をかける!一次遅れになる理由

今回は令和7年度下期 機械科目 B問題18を解説します。問17との選択問題で、積分要素を負帰還したブロック線図の伝達関数(a)と、そのボード線図のゲイン特性(b)を求めます。

鍵は帰還を取り出している場所です。K の後(出力C)ではなく、積分器の出力=Kの手前から戻しています。ここを正しく読めば 積分器の負帰還=一次遅れという定番の形になり、(b)は低域20dB・折れ点 1/T を確認するだけで決まります。

出題のポイント

目次

令和7年度下期 機械科目 B問題18:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 自動制御 令和7年度下期 B問題18 問題文
令和7年度下期 機械科目 B問題18 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題18

電験3種 機械科目 【自動制御】 令和7年度下期 B問題18

 図に示すように,フィードバック接続を含んだブロック線図がある.このブロック線図において,T=0.2s,K=10としたとき,次の(a)及び(b)の問に答えよ.

 ただし,ωは角周波数[rad/s]を表す.

 (a)入力をR(jω),出力をC(jω)とする全体の周波数伝達関数W(jω)として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.

 (b)次のボード線図には,正確なゲイン特性を実線で,その折線近似ゲイン特性を破線で示し,横軸には特に折れ点角周波数の数値を示している.上記(a)の周波数伝達関数W(jω)のボード線図のゲイン特性として,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.ただし,横軸は角周波数ωの対数軸であり,−20[dB/dec]とは,ωが10倍大きくなるに従って|W(jω)|が−20dB変化する傾きを表している.

図に示すように、フィードバック接続を含んだブロック線図がある。このブロック線図において、T=0.2s、K=10としたとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

ただし、ωは角周波数[rad/s]を表す。

(a)入力をR(jω)、出力をC(jω)とする全体の周波数伝達関数W(jω)として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 1 / (1+j0.2ω)
(2) 10 / (1+j0.2ω)
(3) 1 / (1+j5ω)
(4) 50ω / (1+j5ω)
(5) j2ω / (1+j0.2ω)

(b)次のボード線図には、正確なゲイン特性を実線で、その折線近似ゲイン特性を破線で示し、横軸には特に折れ点角周波数の数値を示している。上記(a)の周波数伝達関数W(jω)のボード線図のゲイン特性として、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、横軸は角周波数ωの対数軸であり、−20[dB/dec]とは、ωが10倍大きくなるに従って|W(jω)|が−20dB変化する傾きを表している。

図 フィードバック接続を含んだブロック線図
図 フィードバック接続を含んだブロック線図

ポイント解説:帰還の取り出し口はKの手前——積分器の負帰還は一次遅れ

この問題で真っ先に確認すべきは「帰還の線がどこから出ているか」です。図の分岐点は積分器 1/(jωT) の出口にあり、K の手前から線が下りて第1加合点の「−」に戻っています。K はループの外側(後ろ)に直列にぶら下がっているだけ——ここを読み違えると最後まで合いません。

そこで積分器の出力を X と置きます。加合点の出力は E = R − X、積分器を通って X = E/(jωT)。この2本を連立すると X(jωT) = R − X、すなわち X = R/(1+jωT) になります。

積分要素 1/(jωT) を単位帰還(ゲイン1)で負帰還すると、きれいに一次遅れ 1/(1+jωT) になる——これは制御工学の超定番の変形です。積分器そのものは低周波で無限大の利得を持ちますが、負帰還をかけると低周波の利得が1に抑えられ、高周波では元の積分特性(−20dB/dec)が残るのです。

最後にループの外の K を掛けます。W = C/R = K/(1+jωT) = 10/(1+j0.2ω)。答えは(a)(2)です。

(b)は一次遅れのボード線図の型そのもの。①低周波(ω≪1/T)では |W| ≒ K = 10 ⇒ 20log1010 = 20 dB の水平線②折れ点角周波数は ω = 1/T = 1/0.2 = 5 rad/s③そこから先は −20 dB/dec で下がる。この3点を満たすのは(2)だけです。

問題の解説

STEP1 (a)帰還の取り出し口を確認する

分岐点は積分器の出口=K の手前。したがってK は帰還ループの外

積分器の出力を X とすると C = K X

STEP2 (a)ループの式を立てる

E = R − X(第1加合点は「−」)。

X = E/(jωT) = (R − X)/(jωT)

STEP3 (a)Xについて解く

jωT・X = R − XX(1+jωT) = R

X = R/(1+jωT)——積分器の単位負帰還は一次遅れ

STEP4 (a)Kを掛けて答えを出す

W = C/R = K/(1+jωT)

T=0.2、K=10 を代入して W = 10/(1+j0.2ω)(2)

STEP5 (b)3つの特徴でグラフを絞る

低周波の利得:|W| → 10 ⇒ 20log1010 = 20 dB ⇒ 0 dB から始まる(3)(4)(5)は消える。

折れ点角周波数:ω = 1/T = 1/0.2 = 5 rad/s ⇒ 0.2 と書かれた(1)は消える。

高周波の傾き:−20 dB/dec(分母のjωが1個)⇒ 残った(2)が正解。

STEP6 検算する

折れ点 ω=5 では |W| = 10/√2 = 7.07 ⇒ 17 dB(20 dB より 3 dB 下)。

図の実線が破線よりちょうど3 dB 下で交わっているのは、この性質の表れです。

答え:(a)-(2),(b)-(2)

💡 覚え方
積分要素 1/(jωT) を単位負帰還すると一次遅れ 1/(1+jωT) になる——覚えておくと一瞬で解けます。帰還ループの外にあるゲインは最後に掛けるだけ。一次遅れ K/(1+jωT) のボード線図は「低域 20log10K [dB] の水平線 → ω=1/T で折れて → −20 dB/dec」の3点セット。折れ点は T ではなく 1/T折れ点での実際の値は折線より 3 dB 低い。K=10 なら 20 dB、K=1 なら 0 dB、K=100 なら 40 dB です。

⚠️ よくある間違い
【(a)の誤答】
(1) 1/(1+j0.2ω)K を掛け忘れた形。K がループの外にあるので、つい「関係ない」と落としてしまいがちですが、出力 C は K を通った後の値です。
(5) j2ω/(1+j0.2ω)1/(jωT) を jωT と読み違えた形、つまり積分要素を微分要素と取り違えたものです(K·jωT = 10×j0.2ω = j2ω)。ブロックの中は分数——分子と分母を必ず確認してください。
(3) 1/(1+j5ω)=K を忘れたうえ、時定数に T ではなく 1/T = 5 を代入した形。伝達関数の中身は T(=0.2)、ボード線図の折れ点が 1/T(=5)——この使い分けが本問の最大の分かれ目です。
(4) 50ω/(1+j5ω)=上の2つの誤りを重ねたものです。
【(b)の誤答】
(3)(4)(5)はいずれも低域が 0 dB。これはK=10 による 20 dB のゲタを忘れた形で、(a)で(1)や(3)を選んだ人がそのまま落ちる先です。K=10 ⇒ 20log1010 = 20 dB
(1)折れ点を 0.2(=T そのもの)としたもの。折れ点は 1/T = 5 です。時定数が小さいほど応答が速く、折れ点は高い周波数へ動く——物理的にもそう考えれば逆にはなりません。
(5)は折れ点 0.5 で、T と 1/T のどちらでもない値です。
なお本問は問17との選択問題で、両方解答すると採点されません。解答用紙のマークにも注意してください。

帰還の取り出し口で結果が変わる

本問の要点は「帰還がどこから出ているか」でした。同じ要素の並びでも、取り出し口が違えば結果が変わります

帰還の取り出し口閉ループ伝達関数低域ゲイン
積分器の出口(K の手前・本問)★K/(1+jωT)20log K=20 dB
K の後(出力C)1/(1+jωT/K)0 dB

K の手前から戻せば、K は閉ループの外側——だから分子に K がそのまま残ります出力から戻せば K も閉ループの中に入り、分子が1 になるのです。

図を読むときは、分岐点の位置を必ず確認してください。線が重なって見づらいこともある——指でたどるくらいの慎重さでちょうどよいと言えます。

ボード線図の2つの数値

(a)が K/(1+jωT) の形だと分かれば、(b)は2つの数値で決まります

読む値本問での計算結果
低域ゲイン20log1010★20 dB
折れ点角周波数1/T=1/0.2★5 rad/s

低域ゲインを0 dB としてしまう誤りと、折れ点を T そのもの(0.2)としてしまう誤り——この2つが定番の落とし穴です。

「K が分子に残っているか」「折れ点は時定数の逆数か」——この2点だけ確認すれば、(b)は迷わず選べます(a)を正しく出せていれば、(b)は確実に取れる設問だと言えます。

まとめ

帰還の取り出し口積分器の出口=Kの手前 ⇒ K はループの外
ループの式E=R−X、X=E/(jωT)
積分器の単位負帰還X/R=1/(1+jωT)(=一次遅れ)
(a)伝達関数W=K/(1+jωT)=10/(1+j0.2ω) …… (2)
低域のゲイン20log₁₀K=20log₁₀10=20 dB
折れ点角周波数ω=1/T=1/0.2=5 rad/s(T そのものではない)
高域の傾き−20 dB/dec
折れ点での実値折線近似より 3 dB 低い(10/√2=7.07 ⇒ 17 dB)
答え(a)-(2),(b)-(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・ブロック線図の合成周波数伝達関数(自動制御26):【機械】令和7年度下期 A問題13
・三相整流装置の損失と出力電圧(パワエレ54):【機械】令和7年度下期 B問題16

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