電気設備技術基準の解釈93【電験3種 法規】接近状態は3m・切断・倒壊・接触=(4) 平成21年度 A問題7 完全解説

電験3種 法規科目 電気設備技術基準の解釈 平成21年度 A問題7 第1次接近状態は水平3m以上!用語の定義

今回は平成21年度 法規科目 A問題7第1次接近状態及び第2次接近状態(電気設備技術基準の解釈第49条)に関する空欄補充問題です。架空電線が他の工作物に接近する程度を表す2つの用語の定義が問われます。

覚える骨格は「水平距離3m未満=第2次接近状態、支持物高さ相当距離以内で3m以上=第1次接近状態」「電線の切断・支持物の倒壊等で工作物に接触するおそれ」。3mを境に第1次・第2次を区別します。

目次

平成21年度 法規科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成21年度 A問題7 問題文
平成21年度 法規科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題7

電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成21年度 A問題7

 次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における、第1次接近状態及び第2次接近状態に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる語句又は数値として、正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

1.「第1次接近状態」とは、架空電線が他の工作物と接近(併行する場合を含み、交さする場合及び同一支持物に施設される場合を除く。以下同じ。)する場合において、当該架空電線が他の工作物の上方又は側方において水平距離で架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されること(水平距離で(ア)m未満に施設されることを除く。)により、架空電線路の電線の(イ)、支持物の(ウ)等の際に、当該電線が他の工作物(エ)おそれがある状態をいう。

2.「第2次接近状態」とは、架空電線が他の工作物と接近する場合において、当該架空電線が他の工作物の上方又は側方において水平距離で(ア)m未満に施設される状態をいう。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)1.2振動傾斜を損壊させる
(2)2振動倒壊に接触する
(3)3切断倒壊を損壊させる
(4)3切断倒壊に接触する
(5)1.2振動傾斜に接触する
答え(ア)3・(イ)切断・(ウ)倒壊・(エ)に接触する = (4)

答えは(4):3m・切断・倒壊・に接触する

電気設備技術基準の解釈 第49条(電線路に係る用語の定義)

「第1次接近状態」とは、架空電線が他の工作物と接近(併行する場合を含み、交さする場合及び同一支持物に施設される場合を除く。)する場合において、当該架空電線が他の工作物の上方又は側方において水平距離で架空電線路の支持物の地表上の高さに相当する距離以内に施設されること(水平距離で3m未満に施設されることを除く。)により、架空電線路の電線の切断、支持物の倒壊等の際に、当該電線が他の工作物に接触するおそれがある状態をいう。

★括弧書きが2つ入る、読みにくい条文です。

令和4年度上期 A問題5は同じ49条で、「下方」が入らない理由と幾何学的な意味を扱っています。

この記事は、括弧書きの読み方と、接近状態が決まった後に何が起きるかを追います

★括弧書き①——何が「接近」に含まれるか

位置関係接近に含まれるか
★併行する(並んで走る)★★含む
★交さする(立体的に交わる)★★除く(別に規定される)
★同一支持物に施設される★★除く(併架・共架として規定)

交差は一瞬すれ違うだけなので、接近とは別に扱われます——「接近又は交差する場合」という書き方が各条にあります

同一支持物なら併架(80条)・共架(81条)の世界——接近状態の話ではありません

括弧書きは、条文の適用範囲を精密に切り分けています

★括弧書き②——3m未満を除く

水平距離状態
★支持物の高さより遠い★★接近状態ではない
★3m以上、支持物の高さ以内★★第1次接近状態
★3m未満★★第2次接近状態

本問の条文は「3m未満を除く」という書き方をしています——令和4年度版の「3m以上」と同じ意味です。

同じ内容を、除外の形で書くか、条件の形で書くか——年度によって条文の版が違います

どちらの書き方でも読めるようにしておくのが大切です。

★第2次接近状態になると何が変わるか

相手第2次接近状態で求められること
★建造物(71条)★★高圧保安工事によること
★道路等(72条)★★高圧保安工事+離隔距離の確保
★索道(73条)★★高圧保安工事+防護措置
★他の電線等(74条)★★高圧保安工事+離隔距離

いずれも「高圧保安工事によること」が発動します——電線を太く、径間を短くするのです。

令和3年度 A問題6が高圧保安工事の中身を扱っています。49条の定義が、そこにつながります

★「に接触する」と「を損壊させる」

条文の言葉ダミー語違い
他の工作物に接触するおそれ★★他の工作物に接触するおそれ★他の工作物を損壊させるおそれ★★位置関係の定義であって、被害の定義ではない
接触=事実★★接触=事実★損壊=結果★★定義条文は事実で書く

接触した結果どうなるかは、条文の関心事ではありません——接触しうる位置関係かどうかだけです。

助詞の「に」と「を」でも区別できます——「工作物に接触する」「工作物を損壊させる」

細かいようですが、選択肢はここで分かれます

第1次と第2次で危険度が逆

番号が小さいほうが遠く、大きいほうが近い——直感と逆になりやすいところです。

「第2次のほうが危険」と覚えます——3m未満まで近づいているからです。

接近の度合いが進むほど番号が上がる——そう考えると自然です。

支持物の高さが上限である理由

$$d > h \Rightarrow \text{接近状態でない}$$
水平距離dが支持物の高さhを超える場合
倒れても届かないので、接近状態にならない
$$d \leq h \Rightarrow \text{接近状態}$$
水平距離が支持物の高さ以内
倒壊すれば届きうる範囲

電柱が倒れる先は、最大でもその高さの分だけです——物理的な上限

だから「支持物の地表上の高さに相当する距離以内」——幾何学的に必然の書き方です。

実際の設計での使われ方

段階やること
★① ルート選定★★他の工作物との水平距離を測る
★② 接近状態の判定★★3mと支持物高さで区分する
★③ 工事種別の決定★★第2次なら高圧保安工事
★④ 離隔距離の確保★★相手ごとの規定値を満たす

接近状態の判定は、設計の入口です——ここを誤ると工事全体が基準違反になります。

定義条文が実務を動かしている好例です。

同じ条文が繰り返し出ている

年度問われ方正解番号
★平成21年度 問7★★除外の形の条文(本問)★★(4)
★令和4年度上期 問5★★条件の形の条文★★(2)

13年を経て再出題されましたが、条文の書き方が変わっています——内容は同じです。

正解番号は違うので、番号で覚えてはいけません——語と数値で覚えます

架空電線と建造物との離隔距離

部位高圧絶縁電線等ケーブル
★上部造営材の上方★★2m以上★★1m以上
★その他の部分★★1.2m以上★★0.4m以上

上部造営材(屋根・ひさし・物干し台等)は人が上がるおそれがある場所です——だから大きな離隔が要ります

ここでも「ケーブルなら緩和」が効いています——接近状態の判定と離隔距離はセットで考えます

交差する場合の規定

相手求められること
★他の低高圧架空電線と交差★★上に施設する側が高圧保安工事によること
★弱電流電線等と交差★★離隔距離の確保+保安工事
★道路・鉄道と交差★★高さの確保(路面上6m・レール面上5.5m)

交差は接近状態の定義から除かれていますが、規制がないわけではありません

別の条文で、上に施設する側に義務が課されます——「下を通るものを守る」という発想は同じです。

⏱️ 本番での進め方
① (ア)は3m——1.2mや2mではない。
② (イ)(ウ)は切断・倒壊——「振動・傾斜」ではない。
③ (エ)はに接触する——「を損壊させる」ではない。
④ 括弧書き——併行は含み、交さと同一支持物は除く

💡 覚え方
解釈49条=第1次接近状態は、架空電線が他の工作物(併行を含み、交さと同一支持物を除く)の上方又は側方において、水平距離で支持物の地表上の高さに相当する距離以内(3m未満を除く)に施設され、電線の切断・支持物の倒壊等の際に他の工作物に接触するおそれがある状態。第2次接近状態は水平距離3m未満。

⚠️ よくある間違い
(ア)は「1.2m」「2m」ではなく3m(イ)(ウ)は「振動」「傾斜」ではなく切断・倒壊(エ)は「を損壊させる」ではなく「に接触する」

まとめ

(ア)境界水平距離3m
第1次接近状態支持物高さ相当距離以内(3m以上)
第2次接近状態水平距離3m未満
(イ)(ウ)想定事態電線の切断・支持物の倒壊
(エ)危険工作物に接触するおそれ
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・電線路の接近状態(電気設備技術基準の解釈31):【法規】令和4年度上期 A問題5
・高圧用の機械器具の施設(電気設備技術基準の解釈92):【法規】平成21年度 A問題6

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