今回は平成26年度 法規科目 A問題10、電源供給用低圧幹線に電動機が接続される場合の過電流遮断器の定格電流と保護協調(電気設備技術基準の解釈第148条)に関する空欄補充問題です。遮断器の定格電流の決め方と、保護協調曲線の読み方が問われます。
覚える数値は「電動機定格電流合計の3倍+他の機器」「許容電流の2.5倍」「標準定格に無ければ直近上位」。保護協調曲線では電源配線の電線許容電流時間特性が最も右(大電流側)にきます。
平成26年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 平成26年度 A問題10
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、電源供給用低圧幹線に電動機が接続される場合の過電流遮断器の定格電流及び電動機の過負荷と短絡電流の保護協調に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
1.低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流は、次のいずれかによることができる。a.その幹線に接続される電動機の定格電流の合計の(ア)倍に、他の電気使用機械器具の定格電流の合計を加えた値以下であること。b.上記aの値が当該低圧幹線の許容電流を(イ)倍した値を超える場合は、その許容電流を(イ)倍した値以下であること。c.当該低圧幹線の許容電流が100Aを超える場合であって、上記a又はbの規定による値が過電流遮断器の標準定格に該当しないときは、上記a又はbの規定による値の(ウ)の標準定格であること。
2.図(保護協調曲線)は、電動機を電動機保護用遮断器(MCCB)と熱動継電器(サーマルリレー)付電磁開閉器を組み合わせて保護する場合の一例で、電流の小さい側から電動機電流・①(サーマルリレー動作特性)・破線(電動機の許容電流時間特性)・②(MCCB動作特性)・③の順に並ぶ。図中(エ)は電源配線の電線許容電流時間特性を表す曲線である。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 3 2.5 直近上位 ③ (2) 3 2 115%以下 ② (3) 2.5 1.5 直近上位 ① (4) 3 2.5 115%以下 ③ (5) 2 2 直近上位 ②

答えは(1):3倍・2.5倍・直近上位・③
始動電流で落ちないように3倍まで認め、電線を守るために2.5倍で頭を押さえる——2つの要求の折り合いです。
★2つの上限のうち小さいほうを採る
電動機の始動で遮断器が落ちないようにする
幹線の許容電流I_Wの2.5倍を超えてはならない
小さいほうを採らないと電線が守れない
3倍だけを見ると、遮断器が大きすぎて電線が守れません——だから2.5倍という天井があるのです。
2.5倍だけを見ると、始動電流で落ちることがあります——だから3倍という余裕も認めるのです。
両方を満たす値を選ぶ——これが条文の構造です。
★具体的に計算してみる
まず2つの上限を計算する
aの式
bの式
小さいほうの110A以下とする
この例ではaのほうが小さいので110A以下——bの制限は効きません。
幹線が細ければbが効いてきます——どちらが効くかは条件次第です。
★「直近上位」という考え方
| 計算値 | 標準定格 | 選ぶ値 |
| ★110A | ★★100・125・150・175・200A… | ★★125A(直近上位) |
遮断器は決まった定格でしか売られていません——110Aちょうどの製品はないのです。
だから直近上位=すぐ上の標準定格を選びます——「115%以下」ではありません。
ただし許容電流が100Aを超える場合に限る——条文の限定を読み落とさないことです。
★保護協調曲線の読み方
| 曲線 | 内容 | 位置 |
| ★電動機電流 | ★★定格電流・始動電流 | ★★最も左(小電流側) |
| ★①サーマルリレー動作特性 | ★★過負荷を検出して動作する | ★★電動機のすぐ右 |
| ★破線 | ★★電動機の許容電流時間特性 | ★★①の右 |
| ★②MCCB動作特性 | ★★短絡を検出して遮断する | ★★破線の右 |
| ★③電源配線の許容電流時間特性 | ★★電線が耐えられる限界 | ★★最も右(大電流側) |
左から順に「守るもの」「守る装置」「守られる限界」——この順序が保護協調です。
電線の許容電流時間特性が最も右にある——電線が壊れる前に必ず装置が動くということです。
★なぜ電線の特性が最も右なのか
電線が焼ける前に、遮断器が動作しなければなりません——逆なら電線が先に燃えます。
グラフでは、右にあるほど「大きな電流に長く耐えられる」——電線が最も丈夫であるべきなのです。
設問の(エ)は③——最も右にある曲線です。
サーマルリレーとMCCBの役割分担
| 装置 | 担当する異常 | 動作時間 |
| ★サーマルリレー | ★★過負荷(じわじわ増える電流) | ★★数秒〜数分 |
| ★MCCB(配線用遮断器) | ★★短絡(瞬時の大電流) | ★★瞬時〜数十ms |
過負荷はゆっくり、短絡は瞬時に——異常の性質に合わせて切り方を変えます。
2つを組み合わせて、電動機と電線の両方を守ります——これが保護協調の実際です。
148条の全体像
| 項目 | 内容 |
| ★許容電流 | ★★I_M+I_H/1.25I_M+I_H/1.1I_M+I_H |
| ★遮断器の定格電流 | ★★3I_M+I_H かつ 2.5I_W 以下 |
| ★遮断器の省略 | ★★55%/8m35%/3m/太陽電池のみ |
148条は低圧幹線に関するすべてを定めた大条文です——A問題でもB問題でも出ます。
平成19年度 A問題9が許容電流の計算を扱っています。本問と合わせて148条の計算が完成します。
なぜ3倍なのか
| 始動方式 | 始動電流 |
| ★全電圧始動(直入れ) | ★★定格の5〜7倍 |
| ★スターデルタ始動 | ★★直入れの1/3(定格の2倍程度) |
始動電流は定格の数倍ですが、流れるのは数秒間です——遮断器の時間特性で吸収できます。
3倍という値は、その実態を踏まえた妥協点——大きすぎず、落ちすぎず。
低圧幹線の許容電流の決め方
| 負荷の内訳 | 幹線の許容電流 |
| ★電動機等の合計 ≦ その他の合計 | ★★両者の合計以上 |
| ★電動機等 > その他、かつ50A以下 | ★★電動機等×1.25+その他 |
| ★電動機等 > その他、かつ50A超 | ★★電動機等×1.1+その他 |
まず許容電流を決め、次に遮断器の定格を決めます——この順序でB問題は解けます。
許容電流の係数は1.25/1.1、遮断器は3倍/2.5倍——4つの数値を混同しないことです。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は3倍——電動機の始動電流を見込む。
② (イ)は2.5倍——電線を守る上限。
③ (ウ)は直近上位——「115%以下」ではない。
④ (エ)は③——電線の許容電流時間特性が最も右。
💡 覚え方
解釈148条=低圧幹線を保護する過電流遮断器の定格電流は①電動機等の定格電流の合計の3倍+他の機器の定格電流の合計 以下 ②その値が幹線の許容電流の2.5倍を超える場合は、許容電流の2.5倍以下 ③許容電流が100Aを超え、標準定格に該当しないときは直近上位の標準定格。保護協調曲線では電源配線の許容電流時間特性が最も右にくる。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「2.5倍」「2倍」ではなく3倍。(イ)は「1.5倍」「2倍」ではなく2.5倍。(ウ)は「115%以下」ではなく直近上位。電線の特性は最も右——先に壊れてはならないから。
まとめ
| (ア)遮断器定格 | 電動機定格の3倍+他機器 |
| (イ)上限 | 許容電流の2.5倍 |
| (ウ)100A超 | 標準定格に無ければ直近上位 |
| 保護協調の並び | 電動機電流→サーマル→電動機許容→MCCB→電線特性 |
| (エ)電線許容電流特性 | 最も右=③ |
| 答え | (1) |
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