今回は令和3年度 法規科目 A問題9、分散型電源の低圧連系時及び高圧連系時の施設要件(電気設備技術基準の解釈第226・228条)に関する空欄補充問題です。単相3線式の中性線保護、逆潮流の制限が問われます。
これは令和5年度上期 問7と全く同じ問題です。骨格は「単相3線式は負荷不平衡→系統側に3極遮断器・逆変換装置なしは逆潮流禁止・高圧は配電用変圧器でバンク逆潮流禁止」。
令和3年度 法規科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題9
電験3種 法規科目 【電気設備技術基準の解釈】 令和3年度 A問題9
次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」における分散型電源の低圧連系時及び高圧連系時の施設要件に関する記述である。上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a)単相3線式の低圧の電力系統に分散型電源を連系する場合において、(ア)の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときは、分散型電源を施設した構内の電路であって、負荷及び分散型電源の並列点よりも(イ)に、3極に過電流引き外し素子を有する遮断器を施設すること。
b)低圧の電力系統に逆変換装置を用いずに分散型電源を連系する場合は、(ウ)を生じさせないこと。
c)高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、分散型電源を連系する配電用変電所の(エ)において、逆向きの潮流を生じさせないこと。ただし、当該配電用変電所に保護装置を施設する等の方法により分散型電源と電力系統との協調をとることができる場合は、この限りではない。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 負荷 系統側 逆潮流 配電用変圧器 (2) 負荷 負荷側 逆潮流 引出口 (3) 負荷 系統側 逆充電 配電用変圧器 (4) 電源 負荷側 逆充電 引出口 (5) 電源 系統側 逆潮流 配電用変圧器

答えは(1):負荷・系統側・逆潮流・配電用変圧器
太陽光・蓄電池・V2Hなど、分散型電源はいまや当たり前の存在——この分野の出題は年々増えています。
★単相3線式で中性線が危ない理由
両側の負荷電流の差だけが中性線に流れる
だから中性線は細くてもよい設計になっている
単相3線式は、負荷が平衡していれば中性線に電流が流れません——それを前提に設計されています。
ところが分散型電源が片側に入ると、不平衡が大きくなることがあります。
中性線に想定外の大電流が流れれば、焼損します——だから3極の遮断器で保護するのです。
★なぜ「系統側」なのか
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 並列点よりも系統側 | ★★並列点よりも系統側 | ★並列点よりも負荷側 | ★★系統側なら分散型電源も含めて切れる |
| 3極に過電流引き外し素子 | ★★3極に過電流引き外し素子 | ★2極 | ★★中性線も含めて3本すべてを検出する |
負荷側に置いたら、分散型電源からの電流を検出できません——並列点より下流だからです。
系統側なら、負荷と電源の両方を含めた電流を見られます——位置が保護の成否を決めるのです。
「3極に」というのも重要——中性線を含めて3本すべてを検出します。
★逆潮流と逆充電の違い
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 逆潮流 | ★★逆潮流 | ★逆充電 | ★★電気を系統へ送り返す/停電中の系統を充電する |
| 平常時の電力の向き | ★★平常時の電力の向き | ★事故・停電時の現象 | ★★問われている場面が違う |
逆潮流は、需要場所から系統へ電気が流れ出すことです——太陽光の売電がまさにこれ。
逆充電は、系統が停電しているのに分散型電源が電圧をかけてしまう現象です。
bの条文が禁じているのは逆潮流——2語は似ていますが指すものが違います。
★逆変換装置がないと逆潮流できない理由
逆変換装置(パワーコンディショナ)は、系統の電圧・周波数に合わせて出力を作ります。
これがないと、系統と同期をとる仕組みがありません——電圧上昇や位相のずれを制御できないのです。
だから逆変換装置なしの連系では、逆潮流を禁じます——自家消費に限る、という意味です。
バンク逆潮流はなぜ困るのか
| 段階 | 起きること |
| ★需要家から配電線へ | ★★通常の逆潮流(売電)——認められる |
| ★配電線から配電用変圧器へ | ★★バンク逆潮流——原則禁止 |
| ★理由 | ★★保護装置が順方向の潮流を前提に設計されている |
配電用変電所の保護継電器は、電気が上から下へ流れる前提で整定されています。
逆向きに流れると、事故の検出に失敗するおそれがある——だから原則禁止なのです。
ただし保護装置を施設して協調がとれれば認められます——ただし書きの意味です。
分散型電源の連系区分
| 連系する系統 | おおよその出力 | 条文 |
| ★低圧 | ★★50kW未満 | ★★解釈226条 |
| ★高圧 | ★★50kW以上2 000kW未満 | ★★解釈228条 |
| ★特別高圧 | ★★2 000kW以上 | ★★解釈229条 |
出力が大きいほど、上位の系統に連系します——系統の容量に見合った接続です。
50kWと2 000kWという境目は、主任技術者の選任の区分とも重なります。
単独運転の検出方式
| 方式 | 原理 |
| ★受動的方式 | ★★電圧位相・周波数の急変を検出する |
| ★能動的方式 | ★★常時わずかな変動を与え、応答の変化を見る |
受動的方式だけでは、発電と負荷が偶然つり合うと検出できません。
だから能動的方式を組み合わせます——両方を備えるのが標準です。
復旧作業者の感電を防ぐための、決定的に重要な機能です。
なぜ「電源」ではなく「負荷」の不平衡なのか
単相3線式の不平衡は、まず負荷の偏りで生じます——片側にエアコン、片側に照明という具合です。
条文は現実に起きる原因を書いています——「電源の不平衡」という言い方は普通しません。
選択肢の「電源」はここを狙ったダミーです。
電圧上昇という別の課題
逆潮流が増えると、配電線末端の電圧が上がります——電流の向きが逆になり、電圧降下が電圧上昇に変わるのです。
101±6V/202±20Vの範囲を超えるおそれがある——電技26条の維持義務に関わります。
だからパワーコンディショナには電圧上昇抑制機能があります——出力を絞って電圧を下げる仕組みです。
整定値の協調
| 継電器 | 役割 |
| ★OVR(過電圧継電器) | ★★系統電圧が上がりすぎたら解列する |
| ★UVR(不足電圧継電器) | ★★系統電圧が下がったら解列する |
| ★OFR・UFR(周波数継電器) | ★★周波数の異常で解列する |
| ★RPR(逆電力継電器) | ★★逆潮流を検出して解列する |
逆潮流なしの連系では、RPRで逆潮流を監視します——bの条文を実現する装置です。
継電器の記号は電力科目でも問われます——まとめて覚えると効率的です。
同じ問題が繰り返し出ている
本問は令和5年度上期 A問題7とまったく同じ問題です——2年で再出題されました。
分散型電源は出題頻度が高い分野——226条・228条は繰り返し狙われます。
数値ではなく語の穴埋めなので、条文の言い回しを覚えます。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)は負荷の不平衡——「電源」ではない。
② (イ)は系統側——並列点より下流では検出できない。
③ (ウ)は逆潮流——「逆充電」は停電時の別の現象。
④ (エ)は配電用変圧器——「引出口」ではない。
💡 覚え方
解釈226条・228条=①単相3線式で負荷の不平衡により中性線に最大電流が生じるおそれがあるときは、並列点より系統側に3極に過電流引き外し素子を有する遮断器 ②低圧で逆変換装置を用いない連系は逆潮流を生じさせない ③高圧連系は配電用変電所の配電用変圧器で逆向きの潮流を生じさせない(協調がとれる場合を除く)。
⚠️ よくある間違い
(ア)は「電源」ではなく負荷。(イ)は「負荷側」ではなく系統側。(ウ)は「逆充電」ではなく逆潮流。(エ)は「引出口」ではなく配電用変圧器。
まとめ
| (ア)不平衡の原因 | 負荷 |
| (イ)遮断器の位置 | 並列点の系統側(3極過電流) |
| (ウ)逆変換装置なし | 逆潮流を生じさせない |
| (エ)高圧連系 | 配電用変圧器で逆向き潮流禁止 |
| 例外 | 協調可の場合 |
| 答え | (1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・分散型電源の連系施設要件・同一問題(電気設備技術基準の解釈23):【法規】令和5年度上期 A問題7
・屋内電路の対地電圧の制限(電気設備技術基準の解釈36):【法規】令和3年度 A問題8

コメント